ZZZ×ARMORED CORE 6 作:ジョシュア・オブライエン
C4-621、”独立傭兵レイヴン”がアキラや猫又と”デッドエンドホロウ”を移動していた時…三人の目の前には廃棄された列車の車両が、奇妙な角度で橋を横切っており、
彼らの行く手を塞いでいた。
「ん?この電車は一体……プロキシ、あたしたち道を間違えてない?」
『猫又。あんたたちの進路は間違ってないよ。見た感じ、この車両は外的な力で破壊されてる。おそらくエーテリアスに投げられたんだと思う。』
「うにゃっ!恐ろしい馬鹿力だぞ……」
リンの言葉に猫又は戦慄した。
『次の目的地は車両の向こう側だけど……何とかしていけそう?』
「あたしだけなら、ギリギリ下をくぐっていけるかもしれないけど……ボンプを連れてくのは無理。レイヴンは──聞くまでもないな……しかもこの辺りは地盤沈下のせいで深い穴ばっかりだから回り込むこともできないぞ?」
『…621。グレネードキャノン「SONGBIRDS」を活用しろ。それを使えば電車の破壊は容易なはずだ。お前たちは621と車両から十分に距離を取れ。消し飛ばされるぞ。』
全員が621と車両から離れたのを確認した後。
621のACが右肩部分に装備してある二連装肩部グレネードキャノン「SONGBIRDS」の標準を車両に合わせ、爆破しようとしたが…
「あわわっ!?ま、待ってください!」
『……!? 待て、621。人がいるようだ。止まれ。』
そう言うウォルターの言葉に、621は手を止め、「SONGBIRDS」の発射シーケンスをキャンセルした。
「んにゃっ!?今、誰か喋った……?まさか、電車が!?しかも可愛い女の子の声だったぞ!」
「ええっ?わ、私ですか……?」
「電車さん!あたしたち急いでるの。ちょっとだけでいいから、そこをどいてくれない?」
『猫又、君ね……向こう側に誰かいるんだろう。』
『そうだよ。緊張をほぐしたいのはわかるけど、向こうの女の子が怖がるでしょ?』
猫又の天然ボケをアキラがツッコみ、リンもそう言うアキラに加勢した。
「あの……皆様はホロウ調査協会の調査員様ですか?」
『どうしたんだい?何か手伝えることはあるかな?』
「待って、あたしたちが協会の人間かどうかより、まずは”電車さん”から名乗るのが業界のルールだぞ。」
そうアキラを咎める猫又は、電車の向こうに居る女の子を警戒している。
「えっ?そ、そうなんですか?
ごめんなさい。そのようなルールを……存じ上げておりませんでした。」
「えっと…私はカリン、家事代行会社の従業員です」
「星座は双子座、血液型はRh-、好きな事はお掃除です。市民ナンバーは──」
「そ、そんなに細かく紹介してくれなくても…それで、カリンちゃんはどうしてそんなところに?」
『…家事代行業者がホロウ内部で仕事を行うはずもないだろう。』
カリンにそう言った猫又にウォルターも付け加える。
「つ、ついさっき、危険なエーテリアスを避けてと通ろうとしましたら、
同行していた皆さんとはぐれてしまったんです!」
「私は”キャロット”データを所持していなくて…」
「調査員の皆様なら、きっとホロウから脱出するルートをご存知ですよね?」
「ど、どうか私も連れて行っていただけませんか?」
「…ホロウで迷った一般人、か。それにしても…どうする?あのコを助けてあげる?」
『助けたくっても、まず向こう側に行けないからなぁ…無理なら今すぐ引き返して他のルートで行かないと、計画の時間に間に合わないよ。』
「あ、あの!勝手に聞き耳を立てちゃってすみません!」
「も、もし私が、皆さんを車両のこちらまでご案内出来れば…そのまま調査員様について行ってよろしい、ということでしょうか?」
「ちょっとだけ、お待ちください!!すぐに済みますので!」
その瞬間、高速回転する刃が電車のドアを突き破った。
「にょわあ!!ヤな音だ!…って、いやあっ!?」
『…!?621、下がるんだ。お前も巻き込まれるぞ。』
『気を付けて!』
チェーンソーにより無理やりこじ開けられる電車の扉。
そこから出てきたのはメイド姿の少女、カリンだった。
◇◇◇
「お、お待たせいたしました!はじめまして!」
「調査員様!カリン、ただ今電車を潜り抜けて参りました! ……えっ?先程からお話させていたのはこちらのボンプ様だったのですか……?」
カリンはイアスと呼ばれるボンプを見て驚きの声をあげる。
「あ、すみません!ボンプ様のご身分を疑っている訳ではなくて……」
『本当に、ただの家事代行会社?』
チェンソーを持ったメイド服のその姿にアキラは正直困惑しているようだ。
「すみません……その、弊社は幅広い分野でビジネスを展開していまして、中にはホロウ関連の業務もあるんです……」
「そうだ!調査員様は先をお急ぎなんですよね?」
「きっと道中お役に立ちますので、どうかカリンをホロウから連れ出してください!お、お願いします!」
「…あんたたちはどう思う?このコが電車を壊してくれたから、もう迂回する必要もないよね?」
『まあ、無理な話ではないしね。』
『私もお兄ちゃんと同意見だよ。彼女をホロウの出口に連れて行くのはいいけど、
一応知らない人なんだから、お互い内緒にしたいこともあるでしょ。』
C4-621ら、独立傭兵はクライアントの指定に従って行動する。621も全員と同じく、カリンを連れていくことに関しては肯定するようだ。
「カリンちゃん、あたしたちについてきてもいいぞ!その代わり余計なおしゃべりはナシ。それでいい?」
◇◇◇
《注意。半径100m以内にホロウの出口を確認。旅のお供。家事代行会社の従業員:カリンの依頼を達成可能。》
アキラとリンが所持する謎の人工知能「Faily」から、メッセージが来た。
ここに到達するまで、エーテリアスと遭遇することもなく、安全にカリンを連れていけたようだ。
「ん?何か聞こえたような…?」
『ううん、お客さんの目的地に着いたよって。』
猫又が何か感づいたが、アキラがはぐらかした。
「ほ、本当ですか?出口が見つかったんですね?よ、よかった!…」
「あの…本当にありがとうございました!調査員様のお力がなければ、カリンはきっとこのホロウを永遠に彷徨っていました!」
「よ、よろしければ、皆様のお名前を教えていただけませんか?今度、従業員一同でお礼に伺いたんです!」
カリンは単純にお礼したいと言っているようだ。…何か裏があるわけではなそうだが。*1
『それは……やめた方がいいかも。この業界では、あんまり深入りはしない方がお互いの為だよ。縁があればまた会おう、カリン』
「バイバイ、カリンちゃん!」
再び目的地へ向かう三人。
カリンはその背中へ深々とお辞儀をし、ホロウの出口へと向かった。
『…終わったようだな。621、本来の仕事に戻れ。』
『あいつらが作戦を行っている間、お前は周囲のエーテリアスを排除し、この一帯の安全を確保するんだ。頼んだぞ。』
なんか戦闘なくてグダグダになっちゃった…
次回こそは…戦闘シーンを何としてもねじ込みます…!