透き通った世界に鏡を通して   作:紙吹雪

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余談ですが今作は尊厳破壊枠が多めになる予定
理由は私とプロムンの性癖です
申し訳ない事にこの形式の話だと普段の半分以下の長さになってしまいますね……
書いててかなり楽しかったケド




★★★ ゲヘナ学園風紀委員長

 

 子供の持つペンが紙に擦れる音だけが響く。

 静かな風紀委員室の様子はこの学園ではそう長く続かないんだ。

 どれだけ違法行為を取り締まろうが、良くも悪くも自由な校風だからね。

 だけど、子供の活躍のお陰で近頃は最低限の統制は取れているみたい。

 悲しい事に、それは束の間の平和でしかないのだけど。

 

「……委員長、今度は温泉開発部が」

 

「あら、またなの? 前に問題を起こしたのは……えっと、一昨日と三日前、それに七日前もだったかしら」

 

 子供の言う通り、温泉開発部と呼ばれる集団は非常に問題をよく起こすね。

 そのリーダーは何者をも恐れない気質でカリスマ性があるからかな。

 ゲヘナらしさを語るなら、温泉開発部の話は欠かせないんだ。

 

「カヨコ行政官、今日の予定は崩れそう?」

 

「はぁ、一々役職名は付けなくていいよ。逆に格好悪いし」

 

「そ、そうかしら?」

 

 少し話が脱線したけど、それは子供の資質もあるんだろうね。

 他に誰も居なかったからその役職に就いたけど、本当なら別の道を行きたかったから。

 それでも、子供が今ここに居るのはちゃんと自身の選択によるものなんだ。

 見えない強制力なんかじゃなく自らの意志で子供はその席を選んだ。

 

「今日はたしか、万魔殿と会談の予定があったと思うのだけど」

 

「そうだね。イブキが楽しみにしてたよ」

 

「あら、あの子が……ふふ、お土産は何にしようかしら」

 

 子供は楽しそうに持って行くお菓子を何にするか考えているみたい。

 万魔殿と言う組織は曲者が多いけど、子供は上手く付き合っているようだね。

 無意識だけど、人付き合い自体はどちらかと言うと嫌いではないからかな。

 

「あと、シャーレの先生も出席するんだとか」

 

「えっ、本当!?」

 

 子供の表情が更に喜面一色に染まる。

 仕事で忙しい子供にとって、その者の存在はとても大きいんだ。

 依存とまではいかないけど……それでも、かなり心理的にも頼っている事は間違いないね。

 

「なら、丁重にもてなさないと! 問題がなるべく起こらないようにしたいのだけれど、大丈夫かしら?」

 

「……一応手を余している人員は居るから、余程大きな問題が起こらなければ対応出来ると思う」

 

「備えと覚悟はしておかないとね。この学園の生徒達ったら、本当によく問題を起こすんだから」

 

 静かにそう漏らす子供の顔は一見威厳があるように見えるね。

 内心ではお願いだから問題を起こさないで欲しいと悲鳴を上げているけど、虚勢を張るのは子供にとっては得意分野だから。

 尤も、近しい者からしたらバレバレだけど。

 

「そうだね、何事もなく終わらない……そう思って行動するくらいが丁度良い」

 

「いつもありがとうね」

 

 子供は席を立ち、横に立てかけた自らの愛銃を持ち上げる。

 長らく規則違反者達を取り締まるのに使って来たそれは、子供にとってはもう一つの手足とも言えるんだ。

 学園に入学した時からずっと使って来たのだから。

 

 何人もの違反者を撃ち抜いたそれは、学園に居る生徒の大半に知られている。

 流石に学園外まで名声が轟く程ではないけれど、それでもゲヘナ自治区内には効果があった。

 放たれる銃弾は正確に規則違反者に鉄槌を下すんだ。

 風紀委員会と言う組織が恐れられている理由の一つだね。

 

 でも、この学園の治安を完全に守るには子供だけでは力不足だったみたい。

 たった一人の力で何とか出来る程、この学園は甘くなかった。

 それでも子供の頑張りのお陰で治安はある程度守られているんだ。

 

「……はぁ、何人かは逃げられてしまったわ」

 

「後はムツキに任せよう。そんなに落ち込まないでよ」

 

 温泉開発部の指導者が優秀なのか、何人かは子供の追跡も振り払って逃げて行く。

 それでも大半のメンバーを捕縛出来ているけれど、それではまだ駄目だと思っているみたい。

 がくりと肩を落としている姿は、誰から見ても落ち込んでいるのは間違いないね。

 

 本人に自覚はないだろうけど、その姿は風紀委員の皆に親近感を湧かせたみたい。

 完璧な超人でもなく圧倒的な強さを持っている訳でもない。

 でも、だからこそ子供を慕う者は多いんだ。

 自分の事を助けたいと思わせる……そんなカリスマ性を孕んでいたんだ。

 

「委員長……」

「自分は役職で呼ばれたくないのに、私の事はそう呼ぶのかしら? もう、自分の方が歳上の癖に」

「……アル。風紀委員長になって変わったね」

「そうね、こうも忙しいと変わらずにはいられないからかしらね」

「本当はもっと別に、やりたかった事があるんじゃないの?」

 

 その質問には彼女なりの気遣いもあったんだ。

 一番近くで子供の事を見てたのは、幼馴染を除けば間違いなく彼女だったから。

 何処か寂しげな様子で子供をこう答えたんだ。

 

「正直、あの頃の事は凄く忙しかったからあんまり思い出せないの。思い返せばくだらない夢だった気もするし……」

 

 明後日の方向を向いたまま、子供は続けた。

 

「やってもやっても終わらない業務が虚しく感じる時もある。それでも、それが諦める理由にはならないから。私がやらなくちゃ他に誰もやらないから、ね。だから、今の私があるの」

 

 たしかに夢は捨てたのかもしれないけど……こうして治安を守るのもまた、彼女の心に従った結果なんだろうね。

 現実だけを見つめていると、人は夢を忘れるものだから。

 





風紀委員長人格 陸八魔アル
ヒナのポジションにアルが居る世界線。
アコがカヨコになっていたり、イオリ(銀鏡の方)がムツキになっていたりする。
残念ながらハルカの姿は見えない。

万魔殿とは意外にも上手くやっている。
お互いのトップがポンコツ同士だから気が合うのだろうか?
本編よりも頻度は減ったが、仕事している時以外ではちゃんとアルちゃんも白目を剥いているから安心(?)してください。
なお、先生のことが大好きなのはヒナと同様。
まあそれは本編も同じか……

ちなみに、

・「風紀委員長が不在ならば好き勝手できる」と言う風潮がない
・万魔殿との関係がそこまで悪くない
・アル本人が仕事を背負い込める程強くない為仕事が分散する
・と言うかカヨコがアルの分まで仕事を抱えている

と言った理由により、本編の風紀委員長よりもややイージーモード。
それでもヒナよりも実力面のスペックに差があるので結構キツイが。
まあ……アルなら何とかするんじゃないかな(根拠はない)

なお、アルは2年生なので雷帝関連の皺寄せが3年生のカヨコに行っている説もあるが、真偽は定かではない。
アウトローの夢は日々の忙しさの中で泡沫のように消えたようだ。

この形式のお話は書きたい生徒が数人程居るのでまた書きます。
どのキャラが来るのか予想してみても面白いかもしれませんね?
念の為言っておくと、動いてないのに暑い人とか折る人とか例のアレ語録の人とかは多分書きません。

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と言うかブルアカとプロムンのクロスを書きたいのは大半がおじさんの存在が原因だと思う。
だから怖いんだ、ユメ先輩。


※余談
pixivを探すと実際にヒナ委員長の格好をしているアルちゃんのイラストがありますが、本作とは無関係です。
単なるネタ被りです……イラストを挙げていた方に申し訳ございません。
一応弁明しておくと、私はただヒナ委員長に自分以外が委員長をやっていたら今よりも楽だったと思わせて曇らせたかったのとアウトローの夢を失ったアルちゃんが書きたかっただけなのです……それが動機なんです……

リンバスとブルアカのプレイ経験はありますか?

  • リンバスだけプレイしている
  • ブルアカだけプレイしている
  • 両方プレイしている
  • 両方プレイしたことがない
  • プロムンの過去作はプレイしたことがある
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