なぜ信子さまと彬子さまで皇族費に大きな差がついたのか

 皇族には定額の「皇族費」が支給される。2012年に寛仁親王が逝去された後、妃の信子さまは親王家(当時、寛仁親王家として独立)の当主にならず、娘の彬子さま・瑶子さまとともに「三笠宮家」に合流している。

 そのため、信子さまは「親王妃(=親王の妻)」という扱いのままで、皇族費は独立した宮家当主の半額の1525万円だった。

 今回、独立した信子さまは、新たな宮家の当主となったことで、皇室経済法に則り倍額の年間3050万円が支給されることになる。

 しかし、三笠宮家を百合子さまから受け継がれた彬子さまは、宮家の女王という身位から、これまで年間640万5000円が支給されてきたが、皇室経済法、皇室経済法施行法の規定から、当主となったとはいえ、信子さまの約3分の1の年間1067万5000円と大きな差がついた。

 この点について山下氏は、こう指摘する。

「そもそも今回のような状況を法律は想定していないということです。長く続いてきた三笠宮家としてのお付き合いに伴う費用や祭祀に関する費用も負担しない信子妃殿下が定額の3050万円となり、それらを負担する三笠宮家は彬子女王殿下の1067万5000円と瑶子女王殿下の640万5000円を合わせた1708万円になる。宮家を継承していくためには定額の3050万円が必要だという条文の趣旨に合っていません」(山下氏)

 とはいえ、これは条文の自動適用による結果であり、現行法上は是正できない。

 昭和28年、秩父宮殿下の逝去に伴い、妃が当主となった際に法律を改正し、「妃が当主となった場合にも同額支給」が可能となってはいたが、その改正が想定していたのは、当主亡き後に、男子の跡継ぎがおらず、妃が祭祀を継ぐ場合であり、今回のように「妻が新宮家を立て、娘が旧家を継ぐ」という状況は想定外だ。

 一連の三笠宮家の分裂によって「皇族費」が増加し、「国の支出が増える」と報じる記事もいくつか散見されるが、山下氏は長期的な視点で見るべきだと語る。

「2012年に寛仁親王が亡くなって以降、前例どおり信子妃殿下が当主になっていれば皇族費は定額の3050万円になっていました。約1年間、当主不在が続き、結局、三笠宮家に合流しましたが、今年の8月までの約13年2カ月間、信子妃殿下の皇族費は半額の1525万円でした。結果、この期間で国の支出は2億円強、少なくなりました。

 信子妃殿下の皇族費が前例どおりだったとすると、今回の措置で増えるのは彬子女王殿下の427万円だけとなります。これまで抑えられてきた国の支出と相殺するには40年以上かかることになります。ですから、トータルで見ると増額とは言えません」(山下氏)

2025年9月30日、皇室経済会議に臨む石破首相(右から2人目)(写真:代表撮影/共同通信社)