3年前の死亡事故。明るみに出た「ひたかみ園」での出来事と、社会の沈黙。
3年前の出来事。違和感あり。
3年前、社会福祉法人祥心会が運営する障がい者施設「ひたかみ園」で起こった死亡事件。
3年前の「入浴中に大やけどでいのちが亡くなった」事件が今明るみになった。つまり、この重大な事故は長らく社会に公表されることなく、施設側も、監督責任を負う宮城県も、3年間にわたり沈黙を守り続けてきた。市民や関係者の多くが知ることのないまま、事故は闇に葬られていたのである。
一部では知られていた噂。語られなかった理由
実際には、この事故に関する情報は一部の関係者の間では共有されていたようです。施設の職員や法人関係者の他、地域で障がい福祉に関わる人々、障がいのある子どもを育てる親御さんたちの間では、すでに知られていたという声もあります。
なぜ、誰もそれを語らなかったのか――。
臭い物には蓋をしろの雰囲気
石巻には、「臭いものには蓋をする」という空気が根強く残っているように感じます。例えば、「女川原発」の問題や「震災時の大川小学校」の悲劇も、声をあげる市民は一部に限られ、大多数は対立や争いを避け、心に思いを潜めてきたように見えます。
今回の事故についても同様です。
「石巻で一番大きな福祉法人。もしかしたら我が子も将来、あの法人の施設に通ったり入所するかもしれない。こんな事件が起きたことは本当は不安だけれど、それを口に出すことはできない」
――多くの親御さんが、そのような思いを胸に秘めている現実があります。
この「声に出せない声」には、子を持つ親の深い葛藤と恐れ、社会的弱者としての立場の心理がにじみ出ています。
法人・行政の責任と、問われる説明責任
最も問われるべきは、法人および宮城県の説明責任の放棄です。なぜこの重大事故が社会に公表されなかったのか。
なぜ第三者による原因究明がなされず、再発防止策の徹底もされてこなかったのか。なぜ、3年もの間、事実がゆがめられたまま放置されていたのか。
遺族が令和6年2月に刑事告訴を行い、警察が動き出したことで、ようやくメディアに取り上げられ、広く社会に知られることとなりました。
その中で明るみになったのは、事故当時の「40度だった」「腕で撹拌していた」という法人側の報告や、40度を示す温度計の写真など、事実を歪める証言でした。これが3年前の段階で報告されていたにもかかわらず、宮城県はなぜ十分な監査・指導と追及を行わなかったのでしょうか。
形式的な再発防止策だけでは、本質的な再発防止にはつながりません。真相が解明されていない状態で、どのように再発防止を指導することができるのでしょうか。
ご報告とお詫び全文
「この度、当法人が運営する施設において入浴介助中に発生した事故により、ご利用者様がお亡くなりになるという重大な事態を招いてしまいました。亡くなられたご本人様のご冥福を心よりお祈り申し上げますとともに、ご遺族の皆様に深くお詫び申し上げます。今回の事故は、当施設の安全管理体制に不備があったことに起因するものであり、私たちに重大な責任があると認識しております。利用者様の生命と安全を守ることを第一の使命としていながら、その使命を果たすことができなかったことを、痛恨の極みとして受け止めております。現在、事故の詳細について捜査機関の調査に全面的に協力しております。同時に、再発防止に向けて次のような取り組みを進めております。・入浴設備の改修および安全機器の導入(改修済み)・湯温管理の徹底と複数名による確認体制の強化(体制整備済み)・全職員への安全管理研修および定期的な技術確認今後もこれらの取り組みを継続的に見直し改善を重ねてまいります。ご利用者様とそのご家族の皆様に安心して生活を託していただけるよう、また同様の事故を二度と起こさぬよう、組織一丸となって徹底的な改善に取り組んでまいります。このような重大な事故を起こした施設として、社会の皆様からの信頼を失ったことを厳粛に受け止め、誠意ある対応と情報公開を続けてまいります。どうか今後の取り組みを厳しくご注視いただければ幸いです。」 令和7年9月8日社会福祉法人石巻祥心会
3年前の何月何日に起こった事なのかも明記せず「この度…」と始まり、「
誠意ある対応と情報公開を続けてまいります。」と3年間果たしていない事をこれからも続ける意気込みを語る…この文章からも体質が見え隠れします。
「声を上げること」の大切さ
この事件は、施設や行政の責任だけでなく、地域に根付いた「沈黙の雰囲気」も関係していると感じています。
声を上げること。語ること。そして、問い続けること。それらがなければ、また同じような悲劇が繰り返されるかもしれません。
「なぜ、これほど大きなことが、3年間も隠されたままだったのか」
「このままで、本当にいいのか」
問いかけを止めてはいけない。
それが、亡くなられた方へ私達が出来る事だと思います。


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