ゲヘナ学園風紀委員会所属オートマタのバルバトスさん 作:とろろんぼ〜ん。
一つ、彼───ガンダム・バルバトスは転生者。厳密に言えばガンダム・バルバトスに宿っている魂こそが転生者のものだ。
その魂の名は
彰は人生最後の試合となった総合格闘技日本グランプリで優勝したが、その翌日、決勝戦で彰に負け、惜しくも準優勝となった男───
彰も最初は抵抗したが、後頭部を何度も殴られ、その上出血量も多く、意識は朦朧とし、身体に力も入らず、最終的には救急が来る前に出血多量で死亡してしまった。
しかし、彼にはまだ意識があった。
目を覚ませばそこは砂の海。周りには建築物も、雑草も、人一人として居ない。
そこに居たのは白い異形の天使と数百と居る黒い天使の遣いのみだった。
(あれから、大分経ったなぁ)
十数年前、自分が始めて目を覚ました時。
周りには専門的な機器や、機材。よく分からないものまであった。
目の前には様々な人影があった。
そこは《メティス》という研究所。今で言う《ミレニアムサイエンススクール》の前身となった研究所の1つ。そこで解析、改修が行われ、復活した。
そこからメティスの研究対象として解析が施され、10年程が経ち、メティス含む他研究所が統合され、ミレニアムサイエンススクールへと変わり、データは生徒会であるセミナーへと委託。バルバトスの身柄は傭兵施設を経て、ゲヘナ学園へと受渡された。
「あっ、イオリだ。パトロール終わったのか?」
「あぁ、ちょうど今終わったところだ」
メイス片手にゲヘナ風紀委員会の門の前で見張りをしていると、長い銀髪ツインテールで尾骶骨辺りから悪魔を彷彿とさせる尻尾が生えている褐色の女子生徒───《銀鏡イオリ》が前を通りかかり、挨拶をした。
イオリはちょうど昼の定期パトロールから帰ってきて、疲れている様子だった。
バルバトスはそれを見ながらも、嫌な予感がするなと《毎度の定番》を頭に思い浮かべた。
その瞬間、イオリの後ろから轟音と共に巨大な爆炎が立ち上がった。
「あ〜れま…………」
「アイツら………!」
爆発の大きさと種類で誰がやったのかが嫌でも分かる自分に嫌気を覚えながらも、頭を抱えて唸っているイオリを見る。
「まー…その……うん。俺も……手伝うよ…。だから……ね…?」
「すまない………」
気持ち悪いくらいのぎこちない喋り方でイオリを励まし、事件現場へと向かった。
事件が終わる。主犯はやはりゲヘナツートップの問題部───温泉開発部の仕業だった。
部員21名は確保出来たが、部長の《鬼怒川カスミ》、副部長の《下倉メグ》、その他部員20名近くを取り逃してしまった。
だが、温泉開発部が所有する重機3台、何故か保有している戦車1台を破壊、重機1台、戦車4台を確保する事ができ、一応の収入はあり、プラマイゼロ、という事で一悶着ついた。
「これで今日は何も起きないな………」
「一悶着ついた、って言いたいけど。これを日常の騒動として考えるのも、いささかどうかとは思うもんよ………」
2人、1人は音声だが、疲れからため息を吐いた。
これが月一程度であればまだマシ。これが毎日、最低週3で起こると考えれば頭が痛くて仕方がない。
爆発の盾に使ったメイスや、砲撃を食らった装甲は傷が所々着いており、そろそろメンテナンスに行くかと心の中でバルバトスは悩んだ。
行こうと思えば行けそうに思えるが、そう簡単に行かないからこそ悩む。仕事を終わらせればまた仕事。その仕事を終わらせてもまた仕事と、仕事がプラマイゼロどころかプラス2くらいされていくのが日常のここで休みを得るのなんて至難の業。メンテナンスの為にミレニアムに行こうにも行きづらいのだ。
「……アコに頼み込んでみる、かぁ………」
メイスを肩に乗せて、空に向かってそう呟くのだった。