カレーうどんが好きだ。
真夏でも、白いTシャツを着ていても、夏コミに行って汗だくになった帰りでも、うどん屋でカレーうどんを見かけるとついつい注文してしまう。
それくらい、カレーうどんが好きだ。
そんな私が、最近食べたくてもなかなか巡り会えないカレーうどんがある。
それがこちら。
うどんつゆの上にカレーライス用のルーをぶっかけただけの、「カレールーぶっかけうどん」です。そういうのが、あります。
通常の飲食店では、「うどんつゆ」「カレーライスルー」「カレーうどんルー」の3種は別々に用意しているものなのですが……
「カレールーぶっかけうどん」は、カレーうどんの注文が入ったらまず通常のうどんを作り、その上にカレーライス用のルーをおたまでどろりと乗っけて完成させます。
こうすることで、わざわざ「カレーうどんルー」を単体で用意しなくてもOKになるという、かなりいい加減なカレーうどんです。
かつてはサービスエリアの食堂など、「うどん」と「カレーライス」がメニューとして用意されている庶民的な飲食店でしばしば提供されていたのですが…
「このカレーうどん、どういうわけか、うますぎる……」
そう。何故かとってもうまいのです。
理由を述べます。
「カレールーぶっかけうどん」は「うどんつゆ」と「カレールー」の2層構造になっているので、混ぜないで食べると初めはかなり濃厚なルーがうどんにダイレクトに絡みつくのですが、最初は濃厚くらいがちょうどいい(だよね…?)からむしろ美味しい。
そして食べ進めていくと上層のルーがどんどん減っていき、徐々にうどんつゆ要素多めの、さらりとしたカレーうどんに変化していくのです。(終盤にはちょうどいいね…)
つまり、食べ進めるごとに「うどんつゆ」と「カレールー」の比率が変化し、リアルタイムで最適な味変が行われるのです。
「うどんつゆ」と「カレールー」の相互作用が生み出す、有機的な味変ハーモニー。いい加減なメニューなはずなのに、妙に合理的な丼メカニズム。
それが「カレールーぶっかけうどん」の魅力です。
私は大学の学食でこの「カレールーぶっかけうどん」を食べまくっていたのですが、ある時から学食はおしゃれなカフェテリアに変わり、「カレールーぶっかけうどん」もメニューから姿を消してしまいました。
最近はサービスエリアもテナント化が激しく、このチープでいい加減だけど妙な魅力を持ったカレーうどんは絶滅しかけている状態です。
思い出の味、「カレールーぶっかけうどん」。もう一度食べたいものの、現在も提供している飲食店を私は知りません……。
ただ、一箇所だけ、まだ提供しているかもしれない場所に心当たりがあります。
そこは…
埼玉県民から僻地と恐れられる、ある場所……
そう、鴻巣免許センターです!!!!
ということで、あの「カレールーぶっかけうどんはまだ存在するのか?」を確かめるため、最後の希望の地、鴻巣免許センターへ向かいます。
最後の希望の地「鴻巣免許センター」とは…?
免許をもつ埼玉県民が避けて通れない場所、鴻巣免許センター。
私も免許を取得した10年以上前に訪れたのですが、その際に免許センター内の食堂で「カレールーぶっかけうどん」を食べた記憶があります。
10年以上も前のことなので、今もあのカレーうどんがあるのか分かりませんが、もはや心当たりのある飲食店がここしかないので、今でも食べられるのか確かめに行くことにします。
鴻巣免許センター模型
ちなみに、鴻巣免許センターは埼玉県民から「僻地すぎる」と揶揄され、もはや埼玉の定番あるあるネタになっているほどアクセスしづらい場所にあります。
最寄り駅「鴻巣駅」から鴻巣免許センターまではバスで10分ほどなので、別にそこまで僻地にあるわけではないのですが……
赤いところが鴻巣
✅️埼玉県は東京寄りの南部に7~8割の人口が偏ってるので、北部側の鴻巣免許センターは多くの県民にとってアクセスしづらく、もはや東京の免許センターより遠い
✅️埼玉の電車網は横移動がかなりしにくく、一度大宮などを経由しないと鴻巣まで電車でたどり着けないエリアが多いため、実際の距離以上に電車移動に時間がかかる
✅️埼玉クラスの人口だと複数箇所に免許センターを設けるところが多い(東京5箇所・沖縄5箇所・千葉2箇所)が、埼玉は鴻巣の1箇所のみ
✅️️鴻巣免許センターは学科試験を午前しか実施していない(東京は午後もある)ので、午前9時15の受付締め切りに間に合わせるため始発で向かう埼玉県民も普通にいる
✅️学科講習(裏校)を受ける場合、始発でも間に合わないので前泊する埼玉県民もいる
✅️なので、鴻巣駅に唯一ある旅館の利用目的1位は観光でなく「運転免許の取得・更新」
といった具合で、鴻巣自体はそんなに田舎ではないものの、アクセスがしづらいと感じる県民が多く、「免許更新が小旅行」「旅館が免許センター送迎サービスを実施」なんて状況が発生しています。
ということで、どうせ鴻巣免許センターまで行くなら所要時間を計測し、
①思い出メニュー「カレールーぶっかけうどん」はまだ鴻巣免許センターに存在するのか?
②埼玉県民から僻地と揶揄されている鴻巣免許センターにランチしに行ったら、往復でどのくらいかかるのか?(今回は川越市の自宅からスタート)
この2つを検証したいと思います。
鴻巣免許センターは実際の距離以上に遠いので、そのあたりのリアルを他県民の皆さんにお伝えできれば幸いです。
やるぞっ……!!
検証開始
【12:00】自宅出発
ということで、埼玉県川越市にある自宅を12:00に出発。
今回は埼玉県川越市の自宅から最寄駅まで自転車で移動し、自宅最寄り駅から鴻巣駅までを電車、鴻巣駅から鴻巣免許センターまでをバスで移動し、往復の所要時間を計測します。
【12:11】自宅最寄り駅 出発
自宅最寄り駅からは電車で、もっとも時間のかからないルートで鴻巣駅を目指します。
【12:16】川越駅到着
まずは1回目の乗り換え。
ちなみに川越には「川越駅」「川越市駅」「本川越駅」の3駅があり非常にややこしい上、お祭り期間中はこの3つの駅を三角形に結んだ内側の大部分が車両通行禁止エリアになります。
街の中心エリアほぼ全域が車両通行禁止になるのでかなり大変なことになるのですが、それを分かったうえでお祭りを高頻度でやりまくる川越。
お祭りわっしょいピーポーすぎる……
【12:25】川越駅 出発
川越駅から直接で鴻巣駅までは行けないため、まずは大宮方面へ向かいます。
引用:withnews
ちなみに、JR川越駅の乗車位置はサツマイモになっててカワイイ。
インバウンドの外人さんには全く意味がわからないと思うので、どうか日本の突然のユーモアにビビらないで欲しい。
【12:47】大宮駅 到着
【埼玉 Tips】
埼玉人が集まるときは集合場所を大宮に指定されがちだが、川越~大宮間は20分に1本しか電車がないので、川越市民は大宮に行くのがうっすら嫌い(個人差はあるが、たぶんみんなうっすら嫌い)
【12:56】大宮駅 出発
大宮駅から鴻巣駅に向かいます。
そして自宅最寄り駅を出発して1時間10分後――
【13:20】鴻巣駅 到着
ようやく鴻巣駅に到着しました!
ここからはバスで免許センターへ向かいます。
【13:26】免許センター行きバス 乗車
ちなみに、駅前ロータリーの奥には……
当日の学科試験の問題を予想する、競馬の予想屋みたいな学校「裏校」があります。地域によっては闇校と呼ばれるらしい。
もっと路地裏とかにあると思ったら、めちゃめちゃ駅前一等地ですごい。
「予想できないようにランダム出題とかにしないのなんで……?」ってずっと思ってるんですけど、そうしないのなんで……???
【13:33】免許センター行きバス 降車
バスを降りたらいよいよ……
【13:35】鴻巣運転免許センター 到着
自転車・電車・バスの組み合わせで、出発から1時間35分。ようやく目的地の免許センターに到着しました。
まだ片道ですが、すでに結構な小旅行感があります。
ちなみに、正式名称は「埼玉警察運転免許センター」。門のタイルがところどころツギハギでかわいい。
そして門をくぐると……
アイアンやぐらがお出迎え。
子どもなら絶対に登りたくなる形状をしているが、登ってはいけないらしい。
そんな……
でも安心、そんなわんぱくっ子向けに「いこいの広場」もあるってよ!!!
思ったより侘び寂び感強めのやつだ…!!
ということで、食堂は免許センター内にあるのでさっそく中へ。ちなみに、今回はランチタイムを30分で設定しました。
13:35に免許センターに到着したので、30分後の14:05分にはバス停に戻らなくてはなりません。
入口の案内
え……今ってもう、支払い原則キャッシュレスのみなの………!?
ついこないだまで、変な切手みたいな奴(収入証紙)で払ってたのに……!?
振れ幅すごくない……!?!?
免許センター内にはおみやげコーナーもありました。
さわやかポリス(大)ペアだってある。(高さが50cmくらいあって、すごくでかい)
センター内には鴻巣免許センターの模型もありました。
こんなに広い駐車場と試験コースを確保しようとしたら、それなりに郊外になってしまうのは仕方ないよね~。
そして、およそ10年ぶりの食堂へ……
果たして「カレールーぶっかけうどん」はまだあるのか!?
まずはメニューを確認。そもそもカレーうどんがメニューにない可能性もあるので、緊張の瞬間です。
カレーうどん、ありました!!!!!!!
(メニューをアップで撮影するの忘れてました)
ということで、注文して渡されたのがこちらのカレーうどん。
最高気温37度の酷暑の中、汗だくになり100分ほどの時間をかけ、ようやくカレーうどんと対面しました。
もう最後の希望の地となってしまったこの免許センターのカレーうどんですが、はてして……
このカレーうどんは「カレールーぶっかけうどん」なのか!?
それとも普通のカレーうどんなのか……!?!?
………
………………
………………………
「カレールーぶっかけうどん」はもうここにはいないと分かった瞬間の写真。
一気に10歳くらい老けた気がする。
また会える日まで。
ものすごくカッコよかった、食堂の照明
今回企画を2本立てにしておいたのは、なんとなく、もう「カレールーぶっかけうどん」には会えないんじゃないかと言う気がしたから。
「カレールーぶっかけうどん」の有力情報がありましたら、シュゴウまでご一報ください。
【14:05】鴻巣運転免許センター 出発
14:07分にバスが発射するので、気持ちを切り替え急いでバス停へ向かいます!
【14:12】鴻巣駅行きバス 乗車
事前に調べたときには14:07分発のバスがあったと思ったのですが、見間違えていたのか14:07のバスは来ず……。
結局14:12発のバスに乗車しました。
バスの床に落ちていた証明写真。せつない
生花モリ?
【14:19】鴻巣駅 到着
バスの料金表、いまだに見方がよくわからない……
【14:33】鴻巣駅 出発
帰宅時も、最短時間で帰れるルートに乗車します。
なんか良すぎる絵
【14:55】大宮駅 到着
ちなみにこの時計、基準となる親玉の時計がいて、それを調整すると他の子時計も一斉に連動して調整される仕組みらしい。
なんか、本体を攻撃しないと駄目なタイプのボスみたいでかっこいい。
【15:11】大宮駅 出発
【15:34】川越駅 到着
【15:40】川越駅 出発
ダイヤが乱れていたので、15:33分発の電車に15:40に乗車しました。
【15:47】自宅最寄り駅 到着
【16:01】自宅 到着!!!!
という感じで、ようやく自宅に到着。
埼玉県民から僻地と揶揄されている鴻巣免許センターに川越市民が電車でランチしに行ったら、果たして往復でどのくらい時間がかかるのか?
その結果は……?
12:00に自宅を出発し、30分だけランチをして、その後すぐに最短時間で帰れる電車で帰宅したにもかかわらず、自宅に到着したのは16時1分でした。
つまり、往復で4時間という結果に……!
地図で見ると分かるのですが、川越市と鴻巣市って結構近い方なんですよね。
それなのに往復4時間。30分のランチタイムを除いても、実に3.5時間もの時間がかかっています。
最寄り駅からバスで10分の場所にあるにもかかわらず、埼玉県民から僻地と言われている「鴻巣免許センター」の謎。
これで他県民の方にもわかってもらえたのではないでしょうか……。
ちなみに、鴻巣駅の周辺はこんな感じでそこそこ大きい商業施設があるし、
駅直結の映画館もあり、全然「僻地」という感じではないです。
しかもこの「こうのすシネマ」、市が所有し民間に業務を委託している全国的にも珍しい公設民営のシネコンで、住民・通勤者向けに発行している「こうのすシネマ市民カード」所持者はなんと通常2000円の鑑賞料金が1600円になるそうです。
なにそれスゲッ!!
多分住んだら暮らしやすい。
だけども大多数の埼玉県民からはアクセスしづらい。
それが免許センターの街、鴻巣……
そして、「カレールーぶっかけうどん」ですが、もしも有力情報がありましたら、シュゴウまでご一報ください。
何卒、よろしくお願いいたします。