プレミアムシネマ

映画史上の名作から話題作まで

共有

「ポルターガイスト」

スピルバーグ×フーパー、2人の巨匠の傑作ホラー

NHK BS 10月22日(水)午後1:00〜

郊外の新興住宅地クエスタ・ベルデで暮らす5人家族のフリーリング一家。ある日、末娘のキャロル・アンが放送終了後のテレビに話しかけたことをきっかけに次々不思議なことが起こります。いったい何なのか…。今回ご紹介するのは、80年代を代表するホラー映画の傑作です。

製作・原案・脚本はスティーブン・スピルバーグ。「ジョーズ」(1975)から半世紀、大ヒット作を発表し続けている巨匠のなかの巨匠です。1946年生まれのスピルバーグは、少年時代を郊外の住宅地で過ごしました。そうした少年時代の体験や記憶をもとに構想したのが、宇宙人と少年との絆の感動の物語「E.T.」(1982)と本作。当時スピルバーグは「E.T.」を製作中だったため、本作はトビー・フーパーが監督を務めました。

トビー・フーパー監督の代表作は何といっても「悪魔のいけにえ」(1974)。チェーンソーをふりまわす殺人鬼“レザーフェイス”は世界中を震えあがらせ、その後の映画はもちろん、コミックやアニメにも大きな影響を与えました。スピルバーグも「悪魔のいけにえ」の傑出した演出に感服し、監督を依頼したということです。

前半は、平凡な家庭での日常がユーモアたっぷりに描かれます。次第に不穏な空気が立ち込め、クライマックスにむかってつるべ打ちのように迫力の場面が続くのはフーパー監督の真骨頂。巧みに計算しつくした息つく暇もない演出は何度見ても感服します。

子どもと夫、家族を邪悪なものから守ろうと奮闘する母・ダイアンを演じるのがジョベス・ウィリアムズです。1948年、テキサス生まれのウィリアムズは「クレイマー、クレイマー」(1979)で映画デビュー。ダスティン・ホフマンの職場の同僚を演じて注目されます。ドラマでも活躍し、94年の監督作「On Hope」はアカデミー賞の短編映画賞にノミネート、全米映画俳優組合賞のテレビスペシャルではプロデューサーを務めるなど、多彩な才能を発揮しています。夫スティーブを演じるクレイグ・T・ネルソンもコメディー、アクション、アニメ「Mr.インクレディブル」(2004)の主人公の声の出演など幅広く活躍しています。さらに、続編とあわせ3作でキャロル・アンを演じ、12歳で病気のために急死したヘザー・オルークも印象的です。

本作は特殊メークや光学合成など、SFXを駆使して製作されました。デジタル全盛の今となっては、アナログの特撮映像はややほほ笑ましくも感じられ、魅力的です。

どうぞお楽しみください!


コラム執筆者】坂本朋彦(さかもと ともひこ)

1990年アナウンサーとしてNHK入局。キャスターやニュースなどさまざまな番組を担当。

プレミアムシネマ
配信ページへ