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政策金利を4.75%に引き下げ、国内の経済成長見通しの悪化を受けて
(フィリピン)
マニラ発
2025年10月22日
フィリピン中央銀行(BSP)は10月9日、金融政策定例会合で政策金利の翌日物借入金利 (リバース・レポ金利、RRP)を25ベーシスポイント(1bp=0.01%)引き下げ、4.75%とすることを決定した。BSPは8月28日の会合でも、25ベーシスポイントの引き下げを行い、政策金利を5.0%としていた。2025年に入ってからは計1.00ポイント、2024年8月以降では7回にわたり合計1.75ポイントの引き下げを行っている(2025年7月22日記事参照)。一方、翌日物預金金利と貸出金利はそれぞれ4.25%と5.25%に引き下げられた。
今回の利下げは、洪水対策予算の支払いをめぐる問題(注)を通じてインフラ関連支出のガバナンスへの懸念が高まったことなどで、国内の経済成長の見通しが弱まったことを受けて実施された。直前の現地報道では、大半のアナリストが政策金利は据え置かれる可能性が高いと予想していた(10月6日付「マニラ・タイムス」紙)。
10月7日のフィリピン統計庁(PSA)の発表によると、2025年9月のインフレ率は前年同月比1.7%だった。2025年1月から9月までの平均インフレ率は1.7%で、7カ月連続でBSPの目標範囲である2.0~4.0%を下回った(添付資料図参照)。BSPは、電気料金の調整やコメの輸入関税引き上げにより、インフレ率の上昇圧力が高まる可能性があるが、インフレ見通しは引き続き良好だとした。
BSPのエリ・レモロナ総裁は、「事業を拡大する企業が減少しているため、景況感は鈍くなっている」「需要の低迷で経済成長が鈍化している」と指摘した。また、「2025年は12月に追加利下げを行い、2026年はさらに追加緩和する可能性がある」と述べた。
(注)フィリピン公共事業道路省(DPWH)の洪水対策事業予算5,450億ペソ(約1兆4,170億円、1ペソ=約2.6円)のうち約1,000億ペソが、請負業者2,409社のうちわずか15社に集中して配分されていたことが問題視されていて、国民からの批判が高まっている。
(西岡絵里奈、アギラー・パールホープ)
(フィリピン)
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