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【平野謙 我が道16】星野さんもあきれた 異例の3月挙式と思わぬケガ

スポニチアネックス / 2025年10月16日 7時3分

87年3月10日、結婚披露宴でウェディングケーキ入刀

 盗塁王になった1986年(昭61)のオフは星野仙一さんの監督就任が決まっただけじゃない。嫁さんになる清美との運命の出会いがあった。

 鈴木ヒロミツさんが司会を務める「ヒロミツのスーパードラゴンズ」(東海テレビ)というローカル番組に呼ばれたら、彼女は秋本理央というタレント名でアシスタントをしていた。

 番組の中で「応援している選手」を聞かれた彼女が「平野さんです」と答えたら、レギュラー解説者の権藤博さんたちから「平野だけはやめといた方がいい」と忠告されたらしい。

 後日、スタッフとみんなで食事をした時、バットにサインをして渡したのかな。そこからお付き合いが始まった。感覚。インスピレーション。すぐ彼女と結婚しようと思った。優柔不断な男なのに、この時ばかりは決断が速かった。

 そうと決まれば、早い方がいい。明けて87年。キャンプが終わってオープン戦期間中の空いた日に結婚したい。星野監督に電話をかけて「いつが休みですか?」と聞いた。

 プロ野球選手の結婚はシーズンオフが相場。「その日に披露宴をやりたいんですけど」と言ったら、仙さんは「へえーっ!?」と言って、怒るよりあきれていた。

 3月10日、愛知県一宮市の瑞仁寺(ずいにんじ)で式を挙げた。姉の旦那さん、内藤元雄(げんゆう)さんの実家のお寺だ。名古屋市内のホテルナゴヤキャッスルで開いた披露宴では約300人の皆さんに祝っていただいた。

 僕が31歳で嫁さんが21歳。みんなに「犯罪だ」と言われた披露宴で乾杯のご発声をお願いしたのは星野監督だった。

 「このクソ忙しい時に披露宴をやりやがって。平野謙のホームラン王に乾杯!」

 ちょっと嫌みの入ったスピーチで盛り上げてもらった。

 嫁さんのためにも頑張らなきゃいけないシーズン。前年苦しんだ座骨神経痛と左ふくらはぎはオフにできる限り手入れしたつもりだったが、万全と言うにはほど遠かった。

 開幕6戦目、4月16日の広島戦(ナゴヤ球場)だった。6回の打席で、山内一弘さんに教わった打ち方をしてみようかとぼんやり考えていたら、北別府学の投球はど真ん中へ。不意を突かれ、振るのではなく、思わずグリップを出してしまった。

 集中力を欠いたプレーで、投球を右手の小指で受けてしまう。ストライクゾーンだから死球にはならず、判定はファウル。最後は左手一本で打って二直に終わった。

 翌17日の阪神戦(同)は先発を外れ、9回に代走で出場。二盗を試みてスライディングした時、いつもの習慣でポンと右手を突いたら激痛が走った。この時、折れたんじゃないかと思う。

 病院に行ったら、右手小指亀裂骨折。復帰まで1カ月半もかかった。

 ◇平野 謙(ひらの・けん)1955年(昭30)6月20日生まれ、名古屋市出身の70歳。名古屋商大から77年ドラフト外で中日入団。88年に西武、94年にロッテ移籍。右投げ両打ち。俊足強肩の外野手として活躍する。ゴールデングラブ賞9回。盗塁王1回。歴代2位の通算451犠打。引退後はロッテ、日本ハム、中日、社会人、独立リーグなどで指導を続ける。現在はクラブチーム、山岸ロジスターズ監督。

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