「泣いたら殺すよ」5人の女児を脅して性的暴行を繰り返した男の裁判で明らかになった〝鬼畜の所業〟

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被告は事件について何も語らなかった

次に弁護人が「この事件は痛ましい事件です」と冒頭陳述を始めた。「この裁判では、友野さんが、事件やそれ以外のことについても話をしないことになっています」と述べ、さらに次のように裁判員たちに説明していた。

「友野さんは、どの質問にも答えないことになっています。友野さんの気持ちについて話すことも、何か言い訳をすることもありません。友野さんが黙秘をしたという事実のみをもって、もちろん、刑を軽くすることも重くすることもできません」

前述の通り友野被告は取り調べを拒否して捜査には協力しなかったが、裁判でも、冒頭で起訴事実を認めた以外は何も語らないというのだ。また、弁護人は、検察官が証拠として提出した犯行の場面が映った動画についても次のように要請した。

「この証拠には、事件の場面が映っています。当然、女の子が映っています。もし将来、女の子が、自分のこの映像が、裁判で他の人の目に触れたと知ったら、取り返しのつかない傷になります。弁護人はそういった傷も考えて、動画は証拠にしないべきだと考えています」

裁判員は、犯行状況が撮影された動画の一部をキャプチャーした静止画に、検察官により被害女児の目に黒いマスキング、友野被告の性器にモザイクがかけられ、友野被告の発言内容や撮影された状況を文字起こししたものを見ることとなった。

裁判員が動画を見る前に、検察官はこう付け加えた。

「検察官は、被告人の音声と動画の一部を静止画としたものを証拠として請求しましたが、弁護人の反対により、証拠として採用されませんでした。文字起こしによっては、本件の実態は伝わりにくく、人によっては受け取り方が変わってしまう恐れもあるため、現時点でも、動画そのものや、音声を直接、確認してほしいと考えています。

裁判員の皆さまにとってはショッキングな内容かもしれませんが、今回の事件の内容を最低限ご理解いただくために必要な証拠です」

画像は、女児が泣きながら性的暴行を加えられている様子を克明にとらえており、正視に耐えないものだったという。裁判員には、顔をしかめたり、一瞬、目をそむける人もいた。

そして弁護人の言葉通り、友野被告は被害者への謝罪の言葉を口にする場面はあったものの、裁判を通して事件について話すことはついになかった。検察官は「卑劣で悪質な犯行」と懲役28年を求刑。弁護人は「懲役14年が相当」としている。

5人の少女たちを恐怖に陥れて深い心の傷を負わせた重い罪を認め、謝罪の言葉を口にしながらも、事件について自身の言葉では語ることのなかった友野被告。裁判員は彼にどのような判決を下すのだろうか。

 

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  • 取材・文・写真中平良

中平 良

記者

愛媛県出身。1999年~2003年、フライデー記者として「本庄・保険金殺人事件」など主に 事件を取材。その後、フリーライターを経て、2010年から現在までフライデー記者。事件 を中心にスポーツなど、幅広く取材。

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