先住民遺骨収集 東大が初めて謝罪声明 返還など検討機関設置

東京大学=東京都文京区で2021年6月15日、武市公孝撮影 拡大
東京大学=東京都文京区で2021年6月15日、武市公孝撮影

 東京大は、アイヌなど先住民族の遺骨を研究目的で収集・保管してきた歴史の中で先住民側の尊厳を傷つける行為があったとして、謝罪する声明を発表した。併せて、東大が保管する先住民遺骨を調査し返還方針などを定めるタスクフォースを学内に設置したことを明らかにした。

 声明は17日付。東大の謝罪と返還に向けた方針は、先住民遺骨を保管している国内の大学や博物館などにも影響を与えそうだ。

 東大が先住民遺骨の収集・保管について謝罪声明を出すのは初めて。6月に非公開であったオーストラリア先住民への返還式典では、藤井輝夫学長が「返還にこれほど長い年月がかかり遺憾に思う」とあいさつ。7月には北海道小樽市のアイヌ団体への返還式典で、職員が「アイヌ民族の方の意向に寄り添うことなく行われ、尊厳を傷つけたことを誠に申し訳なく思う」と謝罪していた。

 タスクフォースは林香里副学長を座長に、人骨資料を多数管理する東大総合研究博物館や、研究倫理を専門とする東大医科学研究所の教授らで構成。学内で保管する遺骨の情報整理や返還方針の決定、返還を求める地域や個人との協議などについて検討する。保管された遺骨は古いものが多く、調査には時間を要するとみられる。

 先住民遺骨は、人種の違いやヒトの進化の歴史を探る人類学の研究対象として、18世紀末から欧米を中心に集められた。墓地を盗掘するなど倫理的に問題がある収集もあった。先住民遺骨を保管する欧州の大学や博物館は近年、先住民側への返還を進めている。

 東大は1877年の創設以来、日本の解剖学や人類学の草分けである小金井良精(よしきよ)名誉教授(59~1944年)をはじめ複数の研究者が国内外から先住民遺骨を収集してきた。文部科学省が2017年にまとめた調査では、アイヌ民族の遺骨201体以上を保管していたことが判明。現在、出土地域のアイヌ団体への返還や国立慰霊施設への集約が進められている。また、24年11月に米ハワイ先住民へ10体、今年6月に豪先住民へ7体をそれぞれ返還している。

 日本の大学や博物館に保管されている人骨資料の詳細が明らかになるケースは少ないが、毎日新聞の取材で、東大と東京科学大、京都大に計28体以上のインドネシア先住民の遺骨がある可能性が判明。先住民遺骨コレクションの存在が指摘される大学は他にもある。

 この問題に詳しい北海道大アイヌ・先住民研究センターの加藤博文教授は「謝罪後の大学としての取り組みが重要になる。他大学の今後の対応も注目される」と指摘した。【三股智子】

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