福岡県は10月20日、田川市の松原保育園に対し、児童福祉法第46条第3項に基づく改善勧告を行った。
県が実施した特別指導監査により、複数の保育士による虐待および不適切な保育行為が確認されたためである。
県は今年8月14日から10月17日まで、規定に基づき特別指導監査を実施。
園内に設置された室内カメラの映像、職員からの聞き取り、保護者アンケートなどを通じて、福岡県の条例および保育所保育指針に抵触する事実を確認した。
福岡県は、児童の心身に有害な影響を与える行為が行われていたとして、速やかな改善措置を求めるとともに今年11月20日までに改善報告書の提出を求めている。
改善が図られない場合や報告がない場合、福岡県が法に基づく改善命令や事業停止命令の措置をとる可能性がある。
不適切保育に注意・報告なし 県の条例や国の指針に抵触する事実
「職員の一般的要件」および「保育所職員に求められる専門性」に抵触する事実
松原保育園では、保育士が不適切な保育等を行っていることを当該保育士以外の職員も把握していたにもかかわらず、当該保育士への注意や助言が行われず、また施設長等に報告、相談も行われておらず、これらの行為が広がり、深刻化することとなった。
「保育所の社会的責任」に抵触する事実
松原保育園では子供に対する威圧的な態度など子供の人権に配慮した保育が行われておらず、子供の人格を傷つける行為が行われていた。
「職場における研修」に抵触する事実
「子供の人権・人格の尊重に関る保育」の観点での保育の振り返りが不十分であるほか、自己評価結果が職員間で共有されていないなど、子供の人権に配慮した保育を行う組織的な取り組みが十分ではなかった。
「保護者との相互理解」に抵触する事実
保護者アンケートの結果によると連絡帳や保育参観、定期的な保護者会がないため、保育所内での子供の様子が分からず、保育所の保育内容が不透明であると感じている回答が複数あった。
また、一部の保育士から日頃の挨拶がないなど、保護者とのコミュニケーション不足が指摘されており、保護者との相互理解への取り組みが十分でなかった。
「保育の内容」および「養護の理念」に抵触する事実
列挙した事実を踏まえると松原保育園では保育士等による細やかな配慮の下で子供の生命を保持し情緒の安定を図る、という「養護」の理念を踏まえた保育の展開が十分でなかった。
【改善勧告】不適切な保育が生じた原因の検証と再発防止に向けた取組方針の整理
不適切な保育が生じた原因の検証と再発防止に向けた取組方針の整理
松原保育園には不適切な保育が行われていたことの原因について、特に以下の点を踏まえて、十分な検証を行い、書面で報告することが求められる。
・指摘した内容について、施設の職員が不適切な保育に当たる行為として認識していたか。
・不適切な保育を誘発しないために求められる、保育士が行う日常の保育に対する管理職などの複数の目が届く環境や体制、また施設内部の相談・報告体制について、保育所の職場環境にどのような問題があったか。
・原因の検証に当たっては、組織全体の問題として捉え、施設長をはじめ、他職員の責任についても十分に検証すること。
・検証結果を基に、今後、不適切な保育の再発防止に向けた施設としての取組の方針(重点取組事項、スケジュールなど)を整理すること。
【改善勧告】不適切な保育に係る職員間での認識の共有の徹底
不適切な保育に係る職員間での認識の共有の徹底
検証を踏まえて、職員の一人一人が、県条例で禁止されている虐待などの内容、指針で規定するこどもの人権の配慮や人格の尊重、保育所職員に求められる資質について認識し、職員間での認識の共有を徹底していくよう、研修などの計画を作成し、定期的に実施していくことが求められる。
具体的には、以下の措置を講じたことを書面で報告する必要がある。
・こどもの人権の配慮や人格の尊重、職員間での認識の共有を徹底していくよう、今回の不適切な保育の内容について詳細を明らかにした上で、各職員に自らの保育の振り返りを行わせ、書面で報告を求めるとともに、それに基づき職員間で話し合いを行い、今後の保育について職員間での認識の共有を図ること。
・職員会議において、虐待防止、こどもの人権への配慮や人格の尊重及び職員倫理について、定期的に議題として取り上げるとともに、職員一人一人が主体的に会議に参加し得るよう会議の運営方法の見直しを行うこと。
・虐待などの防止、こどもの人権への配慮及び職員倫理の醸成のための外部講師による実践的な研修などを計画し、早期に実施するとともに、今後も最低年1回、定期的に実施すること。
・2005年8月にこども家庭庁が改訂した『保育所や幼稚園等における虐待の防止及び発生時の対応等に関するガイドライン』に記載の保育士会チェックリストなどを活用すること。チェック結果は職員会議などにおいて活用し、日々の保育実践における振り返りを行うこと。
・保育所の自己評価及び保育士の自己評価の評価項目に「こどもの人権の配慮、一人一人の人格の尊重」を位置づけ、自己評価を行うこと。
【改善勧告】再発防止に向けた職場環境の整備
再発防止に向けた職場環境の整備
検証を踏まえて、今後、再発防止に向け、施設内部の運営体制を確立し、各保育室などに虐待などに対する防止の目を届かせる仕組みづくりを行うなど、職場環境の整備を実施することが求められる。
具体的には以下の措置を講じたことを書面で報告する必要がある。
・こどもの人権に配慮し、人格を尊重した保育を行えるような適切な職員が配置されているかを検討した上で職員配置すること。
・虐待などの不適切な保育の防止に係る指導担当職員を明確にし、施設長までの報告体制を整備すること。また、指導担当職員には必要な研修を受けさせ、指導助言が行えるようにすること。
・改善の取組を確実にするため、福祉サービス第三者評価の受審など、専門的知識を有する第三者の客観的な評価や意見を受けるとともに、その評価内容を踏まえ、更に改善を進めること。
【改善勧告】保護者に対する信頼回復
保護者に対する信頼回復
保護者に対する信頼回復のため、今回の事案についての県及び市の指導結果並びに不適切な保育が生じた原因の検証結果と再発防止に向けた今後の取組方針などの内容について保護者に対する説明会を実施すること。
福岡県は2025年11月20日までに改善状況の報告を行うよう求めている。
松原保育園に対する改善勧告は
職員間で虐待に対する注意・報告なし、子供に威圧的態度、保育内容が不透明で保育士の挨拶なし福岡県が松原保育園に改善勧告②
2部に分けて掲載しています。