NY株見通しー底堅い展開か、GMやコカ・コーラなど主要企業の決算に注目
- トレーダーズ・ウェブ
10月1日に、ある銀行が誕生した。その名を「d NEOBANK」という。
正確には、この名前の銀行ができたわけではなく、住信SBIネット銀行の新サービスブランドだ。同行はこれまで、さまざまなパートナー企業に銀行機能を提供してきた。JAL NEOBANK、高島屋NEOBANK、ヤマダNEOBANK、第一生命NEOBANKなどがその例だ。
「d NEOBANK」もそのうちの1つのように見えるがとんでもない。2025年5月にNTTドコモは住信SBIネット銀行の買収を発表、着々と子会社化を進めてきた。それが結実したのだ。
ポイント経済圏を強化したいドコモにとって、自社グループの銀行を持つのは悲願だった。ようやくそれが叶ったのだから、誰でもそうとわかる“ドコモ銀行”なる名称をつけそうなものだが、意外にも控えめな船出となった。
■いずれは銀行名が変わる?
「d NEOBANK」というサービスブランドについては、公式サイトにこう説明がある。『ドコモグループの銀行としてのさらなる成長を目指し、「NEOBANK」にドコモの「d」を冠したサービス名といたしました』。
ちなみに、新社名ではございませんと釘を刺しているが、これは当座しのぎの話だろう。いずれは銀行名が変わる可能性もある。
『(銀行名の)変更内容については、ドコモグループの銀行サービスであるということが、社名からもわかるような名称を検討しておりますが、お客さま影響やシステム影響、その他営業上の影響が大きいため、様々な影響を鑑みて慎重に対応する予定です。』とあるのだから。
なんともすっきりしないスタートにも見えるが、仕方ないのだろう。現在はSBI証券への投資用資金口座として「SBIハイブリッド預金」へ資金を入れている住信SBIネット銀利用者が少なからずいる。しかし、ドコモとの関係いかんで、そのメリットは宙に浮きかねない。
兆候はすでに出ていた。先ごろSBI新生銀行がSBI証券の買い付け資金として利用できる「SBIハイパー預金」をスタートさせたが、その預金金利は住信SBIネット銀をあざ笑うかのように高くつけた。
「SBIハイブリッド預金」(住信SBIネット銀)が年0.21%に対し、「SBIハイパー預金」(SBI新生銀)はその2倍にあたる0.42%。さらに、SBI証券への投資に際して2つの預金は併用できないとある。どちらかを選択せよというのだ(金利は税引き前)。
なかなか露骨だが、SBI証券側は「うちで投資を続けたいなら、新生銀行に口座を移してよ」というスタンスに見える。投資家側も「これまで住信SBIさんにはずいぶんお世話になったし、いきなりそんな不義理は……」なんて浪花節的なこだわりに縛られる人などいないだろう。
潮が引くように“ドコモ銀行”から新生銀行へ資金が移っていく――などという危惧をしていたところ、どうも当たったらしい。
SBI新生銀行は、取り扱い開始からわずか2週間でSBIハイパー預金の残高が2000億円を突破したと発表した。それが主にSBIハイブリッド預金からの流出分だとすれば、ドコモ側にはかなり痛い開業祝いとなったに違いない。
■銀行が“ポイント経済圏”のキモ
NTTドコモが銀行を欲しがった理由は、ポイント経済圏の中軸となる存在だからだ。
そもそもポイントとは、原則として消費によって付与されるもので、消費のツールとなるのはコード決済およびクレジットなどのカードだ。コード決済を使うにはクレジットカードの紐づけや銀行口座からのチャージが必要になるし、クレジットカードの利用料金は銀行口座から引き落とされる。お金が出入りする元はいずれも銀行口座というわけだ。
決済におけるポイント還元率を引き上げる条件として、カードの引き落とし元をグループ銀行に設定するよう条件づけるのは当然のことだろう。そのため楽天カードは楽天銀行、PayPayはPayPay銀行、auPAYはauじぶん銀行というように、ポイント経済圏ではひも付け用に同じブランド名の銀行を抱えている。
グループ銀行があれば、決済ツールのチャージ用あるいは引き落とし用に、利用者は毎月一定額の資金を入れてくれる。その口座がメイン口座に昇格すれば、公共料金や通信費、保険料等の固定費引き落とし分をカバーすることができる。いずれは住宅ローンの成約にも結び付くかもしれない。
個人の資産形成にもメイン口座化は欠かせない。給与が振り込まれるようになれば、積み立て定期や、グループ証券会社と連携してNISA積立、またはクレカによる積立、株式や外貨購入などにもスムーズにつながる。その武器となる証券口座連携預金が、先に書いた「SBIハイブリッド預金」や「SBIハイパー預金」だ。
ポイント経済圏にとって最も大事なのは、スマホ決済のアカウントやクレジットカード利用者を増やすことではなく、利用者のお金の流れをグループ内に封じ込めることだ。収入も支払いも資産形成も、すべて我が経済圏の中で完結するエコシステム、その確立のキモが銀行であり、その存在感はますます強まっていくだろう。
■d NEOBANKならではの戦略は
話を戻して、新しい“ドコモ銀行”のメリットを確認しておこう。
むろん、一番の武器はdポイントだ。まずは口座開設キャンペーン。12月31日までに口座を開設し(先着15万名)、普通預金10万円以上、そしてドコモ関連サービスの引落実績(dカード、ahamo回線含むドコモの回線料金、ドコモ光、ドコモでんき、ドコモガス)が確認できれば、1万ポイントがもらえる。
さらに10万円以上の給与・賞与受取口座に指定し、dカード(GOLD/GOLD U/PLATINUM)の新規入会あるいはアップグレード、通信プランをドコモMAX/ドコモポイ活MAXの新規契約あるいは料金プラン変更で、さらに5000ポイントがもらえる(※別途、ドコモサービスの加入期間等の定めあり)。
新規口座開設と入金だけならハードルは低いが、ドコモ関連サービスが絡んでくるとちょっと面倒だという印象が拭えない。実質ドコモユーザーにしかメリットがないように見える。
そのほか、住宅ローンの借り入れでも1000ポイントがもらえる(フラット35の借り換えは対象外)。さらに対象期間中に2500万円以上の借り入れとドコモ対象サービスの契約で最大30万ポイントをプレゼントというが、30万ポイントは1億5000万円以上のローン借り入れが必要なので、まあ庶民には無縁な話だろう。なお、これらのキャンペーンで付与されるdポイントは期間・用途限定ポイントとなる。
いずれも、通信プランやdカードの保有などが必要条件になってくるので、住信SBIネット銀行時代の利用者が残る意味はあるのだろうかと、やはり気になってくる。
ちなみに、これまで三菱UFJ銀行に軒を借りて展開していた、dポイントがたまる銀行サービス「dスマートバンク」は2026年1月29日で終了すると発表があった。2022年12月からスタートした本サービスだが、わずか3年ほどの運用に終わったことになる。三菱UFJ銀行も新たな自社経済圏を構築中のため、発展的解消かもしれないが……。
■ブランド名統一は避けられない
悲願だったグループ銀行を軸に、お金とポイントの循環を構築したいドコモにとって、引っかかるのはやはりブランドネームの統一だろう。
PayPay経済圏でも、日本初のネット銀行という歴史を持つジャパンネット銀行の名称を、2021年にPayPay銀行にした。同じタイミングで証券取引もOne Tap BUYからPayPay証券に社名変更している。同じブランドネームでないと経済圏として認知されにくいのは事実で、いつまでもSBIをくっつけたままでは難しい。
これまで住信SBIネット銀行は高金利定期預金キャンペーンや低金利の住宅ローン、振込手数料の安さなど、ネット銀行ならではのお得感や機動性が魅力だった。そのイメージを保ったまま、“ドコモ銀行”にモデルチェンジできるかが課題だろう。通信プランやカード加入をどんどん推していきたいならなおさらだ。
ちなみに、ドコモ経済圏のグループ証券会社といえばマネックス証券で、こちらも歴史ある老舗ネット証券だ。いずれはドコモ証券という社名になるのだろうか。ドコモ経済圏の新しい船出は、まったく波の立たないベタ凪と言えそうにない。
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東洋経済オンライン
最終更新:10/21(火) 5:31
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