Photo by gettyimages

道徳的優先順位

進歩的な運動における道徳的優先順位が不可解になりがちなのは、何もウォーク運動だけの問題ではない。どの政治運動も、どの政党も、同じ問題を抱えている。アメリカ合衆国では毎年50万人が癌で、5万人が腎臓疾患で命を落としている。それなのに、この大きな数字にふさわしい緊迫性をもって、この問題に取り組もうとする政党も、活動家グループも存在しない。これは、政治的な論説が一般に抱える病と関係している。政党や社会運動は全体にとって重要な問題ではなく、浮動票の獲得につながる、あるいは政敵の不利になる問題を取り上げる。

Photo by gettyimages
イメージギャラリーで見る
-AD-

「世論を分けるテーマ」はほぼ間違いなく、重要ではないとは言い切れないまでも、比較的重要性に乏しい。腎不全が大きな問題だということには誰もが納得するので、これをテーマにしたところで、政敵よりも有利な立場に立てない。政治的な論説が象徴および文化的な方向へ移りやすいのも、同じ理由で説明できる。マンハッタンの私立ドルトン・スクールのカリキュラムで、「ミゲル・デ・セルバンテス」の授業が「批判的人種理論」で置き換えられると、ほとんどの人の生活にとってはこの変更が何の変化ももたらさないのに、政治的には主要なテーマになるのである。

おすすめ記事