「ふぁぁ………着いたか…」
外を見るとすっかり夜中で、都市ならもう数時間で「裏路地の夜」が来る。
駅から出て目にしたのは、あの連邦生徒会の所よりもより近未来の世界。
前々から思ってるけど、やっぱK社の雰囲気だよなあこの世界…
流石に大半の奴らは寝てるのか、電灯ぐらいしか明かりがないが、それでも十分ではある。
「ミレニアム……何処だ?」
夜中にくるのが不味かったか。かと言ってこのまま徹夜するのも億劫ではある。
とりあえず歩いて1時間ほどすると、まだ開いてそうな料理店が見えた。まだこの世界でまともな食べ物を食べたことが無いな。どんな感じか確認してみるか。
自動ドアをくぐり中に入ると……まんま巣にあるデカめの居酒屋だった。この世界って酒とかあるのか?私は嫌いだが…
よく見てみるとこの世界で度々見た、外郭にいそうな化物共が飲んでいる。
「お嬢ちゃん!こんな時間にふらいついて学校に怒られないのかい?」
「あ〜、大丈夫です。…とりあえず、焼き鳥セットと枝豆ください」
「はいよぉ!」
待っている間、これからの事について考える。
シャーレとの連携は必須。この世界においてシャーレもとい連邦生徒会は多大な力を持っている様だ。
それで、この世界での私の役割。すべき事だ。
それはまぁ多分「先生の護衛」だろう。
聞いた感じ先生は冗談じゃないぐらい弱い。銃一発で致命傷だとか何とか。
そんなんでよく今までこの世界…いや、確か外の世界から来たと言っていたな。
多分都市ではないが…それだと都市以外にもう二つの文明が出来ていることになる。この中だとやはり都市が一番治安が悪いか。
「へい!嬢ちゃん!」
「…どうも」
届いた焼き鳥を食べながら……これ思ったより美味いな。後でまた頼むか。
先生の護衛と言っても、四六時中側にいる訳にもいかない。私は愚かにもアビドスの面々に恩を売られてしまったのだ。それに私個人として調べたい事もある。
まさか先生も毎日こんなあちこちに回って現地でどうこうしてる訳ないし、普通業務の時に片付けよう。
「隣、良い?」
「良いですよ…」
隣に座ったのは20代後輩…ぐらいの若い男の大人。ワンチャン私より年下の可能性もある。
「この子と同じのと……度数低めのってあるかな…」
「おう兄ちゃん!こいつがおすすめだよ!」
「じゃそれで!」
見た感じこの人もここに来るのは初めての様だ。注文が辿々しい。
「君は……ミレニアムの子?」
何故話しかけてくるんだ…
「…いえ、用事があってこっちに…」
「へぇ〜、ミレニアムにって言うと…やっぱり武器改造とか?」
「それもしたいですが、また別ですね」
「また別…?あ、もしかして…」
…バレたか?
「アリスに会いに来たのかな?」
「…誰ですか、それ」
「ち、違うか〜。じゃあ何だろう…」
「言わないですからね」
「そ、そんなぁ〜」
「へい!お兄ちゃん!」
「ありがとうございます!」
よくある度数が低めの酒だ。私は好きではないが……
「…そんなに見てもあげないからね」
「いりませんよそんな物」
「元々生徒がこんな夜中にふらつくのもダメなのに…学校からは何か言われないの?」
「何も言われませんよ。そういう学校なんです」
そもそも入ってる学校にすら行ったことが無いのでね。
「何処の学校なんだろう……教えてくれる?」
「言う訳がありません」
「そ、そこを何とか…」
うっそだろこいつ……
「…しつこいですよ」
「そ、そんなに拒むならこっちだって手があるんだからね」
「すみません!焼き鳥セットもう一つ!」
「あいよぉ!」
こいつ…物で釣るつもりか。
「焼き鳥が好きなのかなぁって…」
「…食べませんからね」
「で、でも折角頼んじゃったし…」
「あなたが食べれば良いでしょう…」
「い、いや私はもうお腹一杯で…」
「その手がつけられてない焼き鳥を見てもですか」
「いや…あ、そうだ、これを上げるから…」
「いらないと言ったでしょう」
「そんな事言わずにさ〜」
あろうことかこいつは私の口に焼き鳥を押し込もうとする。流石にそれはライン越えだ。
脇腹を少し強めに突く。
「ぐっっっ!??!」
余程効いたのか腹を抱えている。
「やり過ぎです。次は首にやりますからね」
「わ、わかったよ……で、でもせめてモモトークぐらいは…」
執念が強すぎる。私に追いかけられたシロコの気持ちがわかったかもしれない。
「はぁ……わかりました。それぐらいはいいでしょう」
「や、やった!じゃあこの焼き鳥も………ご、ごめんなんでもない」
首を刺す角度で手を構えると、焼き鳥を持っていた手を下げる。
「モモトーク、と言っていましたね」
「うん。今スマホ持ってる?」
「持ってますよ。ID送りますから後で招待くださいね」
ホシノ、シロコと交換した時に使い方は習っている。
「はい。これです」
「うん。ありがとう!」
ID見せるついでに時刻を見る。都市なら丁度「裏路地の夜」
の真っ最中だ。外に大量の掃除屋が…見えない。
「ま、そりゃそうだよな…」
「ん?どうしたの?」
思わず声に出してしまった様だ。
「いや、何でもないです。そろそろ私は時間なので…お暇させていただきますね」
「そっかあ……ん?」
「店主!私の支払いはこの人にお願いします!」
「あいよ!兄ちゃん気前いいねぇ!」
「え、ちょっと待っ」
……多分アレが先生って奴だろうな。感じとしてはちょっと独特だが、都市の誰よりも優しそうな大人だ。
だからこそ。
いつの間にか撮っていた私と先生のツーショットを眺める。脇腹を突いた時に撮ったから多分気づいてはいないだろう。
「…証拠写真ゲット」
多分今日私は野宿するかミレニアムに忍び込むだろう。見つかっても、生徒にこいつを見せて交渉、もしくは動揺させてるうちに逃げれる。
「あぁ〜またユウカに怒られる〜(泣)」
───────────────────
「ここかぁ…」
私は今ミレニアム、正式名称「ミレニアムサイエンススクール」の入り口前に立っている。
中に入れはするが、遠目で見ても警備ロボットがなかなかな数いる。
別に先生に頼めばいいのだが、今会ったら色々言われそうだ。ということで外周を回って入れそうな場所を探す。
この世界の最大勢力の一つ、ミレニアム。ゲヘナ、トリニティと並ぶ最大手の学校。だからか、外周を回るだけでもまぁまぁな時間がかかる。
「……いけるか?」
一つだけ外周からすぐ近くに建物がある場所を見つけた。
ただ、フェンス…というかよくわからん壁がある。そいつを越えようともするが、外周には至る所に監視カメラがあり、こんなうろちょろしてたら今すぐにでも誰かが来そうだ。
「諦めるかぁ…」
今日は仕方なく野宿だ。幸いもう4時近くだからそこまで待つ必要はないだろう。6時にもなったら訪問すれば良い。
近くに良い野宿場がないか探してみる。……こんな所にアジトを立てる様な馬鹿はいないため、空き家でも見つかれば…
「…ない」
冷静に考えればここに住む様な奴は大体ミレニアム校の生徒だ。それなら当然学校の寮を使う筈で……というか高校に行くなら家とかいらないから…
…つまり、空き家どころか家すら無い可能性がある。
それはマズイ。野宿とはいえ地面にそのまま寝る訳にはいかないのだ。何か公共施設があれば良いが…
都市の公共施設は主に北部と西部に多かった気がする。どちらも決闘広場やらなんやらの良くはないものではあったが。
公共施設…公共施設…あっ。
「……背に腹は変えられない、か…」
「………今何時だ?」
絶賛私は、駅のサービスエリアで寝ている。
良いことにソファまでついていたので、横になりながら眠ろうと四苦八苦している。
現在5時半。一応今から向かえば丁度良く6時ぐらいに着くだろうが、あんまり早くには行きたくない。
モモトークを見る。先生からいくつかメッセージが来ている。いつ見ても便利な物だ。
6時半にミレニアム入り口に来いと書かれている。どうやらエンジニア部なる物に私の事と武器改造について話したらしい。いちいち余計な事をする大人だ。助かりはするが。
わかりましたと返信をしておいて、身支度をする。コインランドリーに入れておいた服を回収し、買ってもらった銃を手に持つ。未だに打ったことがないが、いつか打つ機会もあるだろう…
時刻は6時ちょっと。ちょっと早足じゃないと間に合わない距離だ。
「…綺麗だな」
太陽が見えてきている。都市にも勿論こんな景色はあるが、なぜかこちらの方が断然綺麗に見える。
「もの思いに耽っている暇はない、よな…」
ダッシュでトリニティに向かう。
まだ朝だからか歩道に人が少なく、安心して走れる。
「………気持ちが良いな、いつまでも……あぁ、いつまでも走っていたい」
10分程でトリニティに着く。早く来すぎたのか先生の姿が見えないが、もう中に入れはする様だ。
「大人しく待つか…」
しかし、これではまるで私が楽しみにしていた様な感じになって……正直かなり不愉快だ。
何とか言い訳を思いつかなければ…
「あれ、もう来てたんだ…早いね」
思いつく暇もなく来てしまった。
「丁度今来た所です。物事は早い方がいいから」
「うん、そうだね。エンジニアのみんなも待ってるから早く行こうか」
はいと返事してついていく。
やはりアビドスと比べて規模がデカい。建物一つ一つがアビドスの校舎並みだ。
「ここだよ、入って」
言われて中に入ると……
「君が銃器改造を頼んだ例の子か……い…?」
「あ…あれはまさか…!?」
「ふふふ…やはり私の勘は当たりました!」
明らかに目が輝いてる奴らがいた。
ユウキ君(アカシア)の性格がまぁまぁ変わっているのは神秘による若返りで少し性格も歪められた影響です。
神秘すげえ!
この作品は…
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ギャグ
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シリアス
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適度にどっちでも…