やっと序章終わるで…
「ぐっっ…ぁぁぁぁ!!!」
なんとか声を抑えようともするが、2秒も持たない。L社ですらこんな痛みは…
…痛みは………
…何故か、感じた事がある。
いつも最初に感じていた、あの生まれるような感覚。
産声を上げて、この世界に飛び立つようなあの感覚と、似ている。
身体中が生まれ変わるような、魂ではなく器を変えられるような感覚。
「がぁっ……はぁっ、はぁっ…はぁっ…」
連続する痛みが無くなる。実験は終了したのだろう。だが、痛みが引く様子はない。
その時、誰かが鏡を私の目の前に置いた。
その時、私は人生で最大の恐怖と驚きを感じた。
少しくすんだ藍色の髪は、純粋な深みのある青へ。
180に届きそうな身長は恐らく160前後程へ。
顔すら、一見どちらかわからない中性的な顔へ。
もう戻らないと思っていた鮮血な赤色の目は、澄むようなあの水色へ。
「はぁ…ふぅ…?」
声すら中性的な声に。
そして…
頭の上には、あの輪っかが。
橙色で、外側には雷のような跡。内側には、氷のような透明感を持つ青が棒状に貫く。
どこからどう見ても、あの輪っかだ。
だが…他の、ホシノやシロコとは明確に違う部分があった。
欠けている。私の輪っか…
ここまで来て、ようやく痛みが引いてきた。ぼやける目であの集団を見ると、何かを喋っているようだ。まだ残る痛みで何も聞こえないが。
「はぁっ…はぁっ…」
「クックック…クックック!!あぁ、やはり招待して正解でした!」
「…人が痛める姿を見て…趣味が悪いぜ」
「クックック…あぁ、マエストロも、他のゲマトリアも喜んでいます」
「……いくら成功と言ったって、そんな喜ぶもんか?」
「私達としては久しぶりの成功なのです………あぁ、立てますか?」
「立てる。赤子じゃ無いしな」
「外見的な身体の損傷もなし…」
「めちゃくちゃ外見は変わったけどな」
調査してくる義体集団をなんとか潜り抜け外に出る。
「なんか久しぶりな感覚だな」
「実際は2時間程度ですが」
「あぁ………え?」
嘘だ。建物に入ってから実験開始からは十分も経ってないし、終了後も二十分ぐらいしか経っていない筈。
「あなたは実験中何度も気絶していたのですよ。その度貴女の体が放電して大変でした」
「…面倒な体で悪かったな!」
「いえいえ、その体だからこそ耐えられたというものです」
「…それにしても、何でこんな姿に…」
「これは私個人の考えですが……神秘が自分の器として最適な形へ変形させた、と考えています」
「……神秘って結局なんだよ」
「まだ確信的な事は言えません。神秘が生徒たちの体を形作っているのか、生徒たちのあの姿はあくまで器に過ぎないのか……私は後者だと思いますがね」
「だからってこんな貧相な姿になるか?」
───────────────────
「……そういや、シャーレはここから何キロぐらい?」
「もう近くです。十キロも歩けば着きますよ」
「もうそんな所まで…いや、俺として………は……こほん。私としては近い方がよっぽどいい」
妙に言葉遣いが幼くなっていると感じていたが、まさか一人称まで変わるとは。
「……お前にもう用は無い」
「あぁ、少し待ってください」
少々気恥ずかしくなって早く別れようとする。
「何だ?もう実験には付き合わないからな。アレを毎回はたまったものじゃ無い」
「いやいや…」
「こちら、報酬です」
黒服が紙にしては厚めのを渡してくる。
「……何だこの紙切れは」
「それを使うと、お金を代わりに払ってくれます…勿論、限度はありますが」
「便利だな…と言いたいんだが、この手の詐欺には騙されないんだ」
未だ軽々しく……いやさらに軽くなった感じのあるエネルギー刃を向ける。
「い、いえ……報酬に支援と言いましたが、それがそのカードです」
「……これが嘘なら次会うときには確実に鞭打ちの刑に処す」
「クックック……それは怖い。それでは行ってらっしゃい、
「…何だその名前は」
「貴女は今はもう生徒の一人。先生に会う立場として相応の名前です。学籍も作っておきました。そのカードに載っています」
「お……私の名前は決まっている。私の名前はこれからもユウキ・カストル・サーだ」
「…そうですか」
序章
FIN
コンコンコン。
「…誰かいるか〜?」
コンコンコンコンコンコン。
「…せ、せんせぇ〜?」
「………どうしよ」
何回ノックしてもせんせいが出てくる気配はない。
いっそドア蹴飛ばして……
「先生は今外出中です」
「こ、こんにちは」
人の気配はしてたが、思ってたより近くにいた。こりゃ図書館に帰ったら特訓し直しだなぁ。
相手はメガネを掛けた青目の女性。どこか優秀そうな雰囲気を醸し出している。
「先生は今ミレニアムに外出中です。何かご用件なら連邦生徒会で対処します。……まぁ、あらかた生徒募集でしょう」
「えぁ……はい。生徒募集でせんせいに会いにきました」
「……イントネーションに多少問題があるようですね。先生、です」
「せ、先せい」
「先生」
「…先生」
「……多少マシにはなりましたね。それでは、連邦生徒会に来てください。シャーレ所属として学籍の変更手続きをします」
「はい。よろしくお願いします」
連邦生徒会…ってあのデカい建物か?あんな縦長にする必要なんて…
「シャーレ付近とはいえここも安全とは言えません。早足で行きましょう」
連邦生徒会につくとこれまたエレベーターが出てきた。黒服のアレとは違いちゃんとエレベーターだ。
まぁまぁ高めの階につくと、早速手続きが行われるらしい。何か色々持ってきた。
「変更手続きなのですが…名前と学校名、学年と組まで。入っていれば部活名をこの紙にお願いします」
……マズイ。これどうすればいいんだ?学校名なんてアビドス以外全く知らないし、なんだ年と組って。シロコ達が自己紹介する時に言ってたあれか?
アビドスを書くわけにもいかないし…
「……シャーレ、とはどういった意味でしょうか。シャーレは立ち位置としては部活に近い物。学校ではありません」
慌てて文字を消す。ただ、シャーレ以外だと全く架空の学校を作らないといけない。この人優秀そうだし、そんな嘘っぱちすぐにバレそう。
……博打ではあるが。
「……えっと…学校に入っていません…」
青目が細くなって睨んでくる。
「学校に入っていない……というのは、退学…ということですか?」
「い、いえ、退学ではなくて、本当に学校に入っていないということで…」
退学の意味はわからないが多分それでは無いだろう。
青目の人は大分驚いた顔をしていた。
…あ、待てよそう言えば…
ポッケに入れといた例のカードを見せる。
「証明書ですね。確認させていただきます」
黒服はこれに学籍を書いたと言っていたから……大丈夫だと思うんだが…
「…あぁ、最近できたあの学校ですね。確かにあの学校は名前がまだ正式に決まっていません」
ほっ……なんとかなった。
「ただ、部活が……「鎮圧委員会」とはどういう?」
なんてものに所属させてんだあの義体。
鎮圧なら得意だが…
「そ、そのまま色々鎮圧するやつです」
大分苦しいがなんも言わないよりはまだマシ。
「……風紀や正実と言ったものでしょうか。副委員長として励んでいますね」
…なんかよくわからない単語が色々出てきたが考えるだけ無駄だろう。
「では、この規約に同意したら丸をここに」
都市に比べたら大分短い規約書を確認する。まぁあらかたシャーレと連邦生徒会に害をするようなことはするなという内容。特にそんなつもりはないので丸をつける。
最後に青目の人がハンコを押して、これで恐らく手続き終了だろう。
「これで明日からは貴女はシャーレ所属の生徒の一人です。恥の無い行動はしない様に」
「…はい」
青目の人は忙しいのかすぐに奥に行こうとするが、ちょっと待ってほしいと肩に手を掛ける。
「あの…先生に会いたいんですけど、ミレニアムってどの方角でしたっけ…」
「……あちら側の方向です。電車に乗れば数時間で着きます」
…電車。
…で、電車………
歩きで行こうかな…
「はぁ〜〜」
結局電車を使うことになった。ここは都市じゃ無いしそんなことはないが…怖いもんは怖い。
電車に乗ると大体の人が俺を…私を見てくる。いや、正確に言うと私の背中についてる武器だろう。
扉近くの席に座り発車を待つ。アレと違って意外とすぐ発進するのか振動が伝わってくる。
…そう言えばここに来てから寝たことが無いな。
いや…一応アビドスで一夜過ぎたが、あれは私は寝てない。ていうか見知らぬ場所で寝れるはずがない。
なんかここは安心感がする。都市臭がするからか?都市にいて安心したことなんてほぼない気もするが。
どうせあっちに着くまでには数時間はかかるんだ。ちょっとぐらい寝ても…いいよな。
今日中にもう一個出せるかチャレンジやね
この作品は…
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ギャグ
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シリアス
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適度にどっちでも…