We are…Lethal Protector !! 作:ヌルノルヌール
#0 MONSTER IN BLACK
「ハァ…ハァ…!!」
暗く、臭く、薄汚い、そんな下水道をただひたすら走り続ける男
彼はとあるギャングのボスだった。仲間を集め、武器を揃え、ホロウにやってくる調査員や治安官、ホロウレイダーやプロキシから物資を奪い、稼ぐ悪党だった
彼らはみるみる強くなり、山獅子組や赤牙組にも負けない程に大きくなった
治安局やほかのギャングが来ようが負ける気はしない彼らはまさに絶好調
今日、この日までは
「なんだよっ!!なんなんだよ!!あの化け物は!!」
アジトに現れた謎の怪物により、仲間も、武器も、何もかも失った
エーテリアスでは断じて無い全く別の怪物
3mはある黒く大きな身体
ナイフのように鋭い爪と槍のように尖った歯
白く濁りつり上がった目
蛇のような長い舌
身体から伸びる黒い触手が部下を一人一人吊り上げ、地面にたたきつけて行く様を見た男は必死に戦う仲間達を置いてただ1人逃げ出した
自分たちの庭と化していたホロウを経由し、惨めったらしく大慌てで下水道へ駆け込んだ。あの怪物に追いつかれないように、何回も角を曲がり、人がいる場所に向かって…
「あと、あと少しで…ルミナスクエア…!!治安局に行くんだ、あそこに行けば…!!保護してもらえ…」
「保護してもらうだって?お前が食い物にしてきた連中に助けを求めるなんて都合が良すぎると思わないか?」
地を這うような低い声が下水道に響いた
男は足を止め、ゆっくりと振り返るがただ暗闇が広がるだけで何も無い。何かが近づいてくる様子も、足音しない
ピシャン、ピシャンと水が滴り落ちる音しか聞こえない
それなのに、男は動けずにいた。今動けば確実に死ぬと男の勘が告げていたのだ
「な、なぁ!何が欲しい!!なんでもやるよ!!女か?金か?お、俺と組もうぜ!!そしたら…アンタだって…!!」
男が何も無い暗闇に向かって震える声で話しかけていると突然足を掴まれ、逆さまに吊り上げられる。
足に巻きついた何かを必死に取ろうともがいていると、何も無かったはずの空間から黒い怪物が徐々にその姿を現していった
「ひっ!」
「悪いが仲間は必要ない。女も、金も要らない。欲しいのはただ1つ」
怪物の人差し指が男の頭をコツンとつつき、凶悪な笑みを浮かべる
「軽い運動をしたあとには欠かせない…
「ま、待て待て!!待ってくれぇえ!なんなんだよォお前はァ!!!」
「ほう?オレ達の名前を知りたいか。それなら冥土の土産に教えてやろう…」
「オレ達はヴェノムだ」
怪物はそのまま男の頭に噛み付こうとするが…すんでのところで男を壁に叩きつけて気絶させた
「…〜〜ッ!なんで食ったらダメなんだ!?ホロウにいた連中もコイツも人を何人も殺してるぞ!食われたってしょうがないクズ野郎どもだ!!」
怪物は胸に手を当て、下水道の壁を何度も何度も殴りつけ始める
周りには気絶している男しかおらず誰も怪物に話しかけるものは居ないのにも関わらず、怪物は1人で騒いでいた
「それならチョコと運動量を増やせ!人の脳ミソが食べれないならお前の脳ミソからの分泌量を増やすしかないぞ!!」
そして大きくため息を着くと怪物は気絶した男を引きずりながら下水道を歩き出す
「はぁ、もういい…コイツらを裸にひん剥いて治安局の前に捨てておこう。自分たちがいかに愚かでマヌケなことをしたかわからせるためにな!」
新エリー都には怪物が現れる…と噂されるようになったのはつい最近のことだ
その内容はと言うと3m程の黒く大きな身体、ナイフのように鋭い爪と槍のように尖った歯で鉄さえ容易く切り裂き、白く濁りつり上がった目で睨まれれば最後、逃げることは出来ない…と
もちろん信じる人はいなかった、と言うよりかはホロウという脅威に加え、別の怪物という未知の脅威が現れたなんて信じたくはなかったと言うべきだろう
とある動画がインターノットにアップロードされるまでは…
『お、おいなんだあれ…!!』
『ホロウから出てきたぞ…!?エーテリアスじゃないのか?』
小声で喋るふたりの男性、その視線とカメラの向こうにはホロウから出てくる怪物の姿が映っていた
『すげぇ…!あの噂本当だったんだ…!!怪物は本当に!!』
「お、おい!早く逃げるぞ!バレたら…あっ!」
興奮する友をなだめようとしたその時、1人がバランスを崩し、物音を立ててしまった
『やべっ…うわぁあああああああ!!?』
カメラを持つ男性が宙に浮き、大きな口を開けた怪物を映したところでカメラの映像は終了
新たな驚異が現れたとして、新エリー都中が恐怖に包まれた
一方その頃、怪物はと言うと……
「ポートエルピスに行こう、あそこは良い。人の食べ物を取る悪くてグルメなカモメが沢山いる。何匹か居なくなったって誰も困らないだろう?」
カモメ狩りに行こうとしていた