『パパ感謝するよ』『“幻魔”を取り除き完全復活だ』
最近、讃頌会の動きが活発になってきている気がする。
それを感じ取ったマネモブは、ついに完全復活を果たし、有り余る活力でミアズマを刈り取っていた。
ミアズマを刈れば、それだけミアズマ製エーテリアスが出現しにくくなる。讃頌会への地味な嫌がらせだ。
『いいねぇその一途さ』『よしっブッ倒してやるぞ』
マネモブはミアズマの残滓をたどり、建物の中へ入る。
あてもなく外を刈るより、先に屋内のミアズマ掃除をしてしまおうということだ。
『なにっ』
ミアズマ掃除の最中、マネモブはあるものを見つけて手を止めた。
「ここが待ち合わせの場所だね」
リンだ、パエトーンのリンがなぜか建物の一画にいる。
どうやら誰かと待ち合わせているようだ。独り言から察するに待ち合わせ。待ち合わせということはまさか……こんなホロウでデート!?
後方保護者面のマネモブはそう思った。
『息の根を止めるべきです』『クククク待ってろよ』『すぐに殺してやるから』『焦るなよ』『今殺してやっから』『“生まれてきてすいません”って思いをさせてやるよ』
マネモブはいつも忍辱の衣をまとっているつもりでいるので忍耐力は高い。
だからこそ、ここでリンを見守りつつ待ち合わせの相手を待つことにした。コインを弄びながら。
ピィーン
パシッ
ピィーン
パシッ
ピィーン
パシッ
(……さっきから何の音だろう?)
リンは気になったが、待ち合わせの時間が迫っているので訝しみつつもスルーした。
そして数分が経過した頃、件の人物達がやってきた。
「目標はもう少しであります!」
『待て、止まれ! 何かいるぞ!』
マネモブの目――あるいはそれに相当する器官――には見えている。
向こうから、角と尻尾の生えた少女と、姉妹達とよく似た少女が迫ってきているということを。
『あ、あいつは……!』
「なぜこここに……」
パシッ
『カモがネギしょってやってきたぜェグへへへへへ…』
謎に顔が影で見えないが、マネモブは二人の少女を見ていた。
「高濃度侵蝕体マネキン・モブ……」
『えっ』『なにっ』『な…なんだあっ』『まさかゲイってわけじゃないでしょ?』
まさかの少女、しかも二人。いや、良く見れば尻尾が喋っている。知能構造体だ!
他人の事情にどうこう言うことは無いが、かなり不健全ではないか?
マネモブは訝しんだ。
『ま…まさか』『まさかゲイってわけじゃないでしょ?』
『何の話だ』
「え、どうしたの……あ、オルペウスと鬼火隊長に11号も。来たんだね……ってマネモブも!?」
『人面獣心のクソ野郎と言ったんですよ本山先生』『人を指導する立場でありながら家庭環境に問題のある中学生を愛人にして孕ませたって聞いた時はさすがにビックリしましたよ』
「えぇ!? 何!?」
『本当に何の話だ』
マネモブはリンに詰め寄った。
流石に三人はダメだろという思いだ。
『
「何がダメなの!?」
『むつみ』『こんなナンパな男とつきあうのはやめろ』
マネモブはリンも含めて全員に説教している。
しかし、何が言いたいのか全く伝わっていなかった。
出会いがしらにいきなり謎の説教(らしきもの)をかまされて怒ったのは鬼火だった。
『お前の言っていることは何一つとして分からん。だが我々の邪魔をするというのなら、お前をホロウの奥地へ送り返してやろうか?』
『ほいだらおどれはあの世へ送ったろかあ――ん?』
「ヒィエエエエ……隊長もやめてくださいであります!」
一触即発。
鬼火が今にも発砲するか、マネモブが拳を繰り出すかという直前、意外な者が声を上げた。
「死人のように生きてるクズ・蛆虫。あなたが怒っているのは分かるが、今は争う時ではない。どうか拳をおさめてほしい」
『な……なんだあっ!? おい、何故罵倒している!?』
「11号!? もしかしてマネキン・モブって言いたかったの!?」
「そう」
11号だった。
パエトーン相手にもやっている名前間違いが進化した、あまりにも唐突な罵倒と要請に対し死人のように生きているクズのマネモブは……
『しょうがねえなプライベートで飲んでる時に………』
あっさりと殺気をおさめ、11号に飴(激辛)を渡していた。
『おいっ、11号もそんなもの受け取るな。何が入ってるか分からん』
「問題ない。この前にも同じものをもらっている」
『なにっ』
「あわわ、オボルス小隊の隊員が買収されてるでありますっ」
『何でもいいですよ』
「ダメでしょマネモブ、いつもの感覚でお菓子渡したら」
『すみませんちょっとやりすぎました』『でも僕はまだ能力の半分も出していないです』
ツイッギーを始めとしたシルバー小隊姉妹にゲロ甘なマネモブは、もちろん11号にもゲロ甘だ。
姉妹同士で毒蛭・観音開きをかけあっていようが満足そうに頷いているので、多少罵倒された程度で思うことは何もない。
それよりも、マネモブは彼女達が何を目的にホロウへ来たのかが気になっていた。
『宮沢熹一の殺し方を教えてくれよ』
「な、何の脈絡もなく知らない人の殺し方を聞いてきたでありますよ!?」
『こいつを低危険度エーテリアスに分類した奴は無能のようだな』
「ま、待って! このセリフは何かを教えて欲しそうな時に良く使うセリフだよ! マネモブは何か知りたいんじゃないかな?」
「もしかして、今回の作戦について?」
『イエス! イエス!! イエースッ』
『バカな。こんな奴に極秘任務について喋ることなどないだろう。大体、この脳ミソも詰まってなさそうな面に内容が理解できるとも思わない。時間無駄だな』
『ククク…ひどい言われようだな』『まあ事実だからしょうがないけど』
お互いの第一印象が軍人についてる尻尾とマヌケそうなエーテリアスなので、いくら罵倒し合おうが好感度が下がることは無い。なぜなら好感度はもう最低だからだ。
『こいつのことは放っておいて、さっさとアイアン分隊と合流するぞ』
『嫌でもこっち側に引きずり込んでやりますよクククク』
「引きずり込むとか言っている割には付いてくる側であります……」
合流地点へ向かう美少女達を追いかける服も着ていない屈強なエーテリアスの姿は、まぎれもなく変態だった。
途中で讃頌会の信者やエーテリアスがいたが、マネモブは瞬く間にぶちのめしている。
『チィッ、流石は高度侵蝕体か。実力は認めざるを得んな』
『あざーす』『おねーさんゲイノー人? 美人だよね』
『……おい、適当に褒めていないか? それとも何だ、銃の美醜が分かるのか?』
『そうですね』『その気持ち分かります』
『……』
『…』
『何でお前が同意してるんだ』
『アイッ』
全く答えにもなっていないのでシバかれるマネモブだった。
(次のストーリーが来てしまったら収集がつかなくなるから)急げっ