AIイラストについて、少し自分の考えがあります。
デジタル絵には オーバーレイ というレイヤー効果があります。
これは演算によって色をより鮮やかに見せるもので、多くの絵師が好んで使っています。オーバーレイの影レイヤーを一枚重ねるだけで、透明感がありつつ鮮やかな表現ができるのです。
ここで「厚塗り」と比較することもできます。
•厚塗り の特徴は、色を重ねて練り、すべての色の関係を自分で判断することにあります。これは「過程重視」の訓練であり、本当の意味で色感を養う方法です。
•一方、オーバーレイ のようなレイヤー効果は、演算によって美しい結果を瞬時に得られる「結果重視」の手法です。効率は高いですが、過程は省略されがちです。
そして、AIイラストはこの光譜のさらに先に位置しています。
•厚塗り は人間の絵師が長年積み重ねてきた経験や技術を反映し、その価値は「過程」にあります。
•オーバーレイ は補助的な演算で、結果を美しくする一方で、過程の比重を軽くします。
•AIイラスト は人間の過程をほぼ完全に排除し、「結果」だけを提示します。
つまり、AIイラストをめぐる現在の議論も、やはり 「過程 vs 結果」 に集約されるのだと思います。
AIイラストの「美しさ」は膨大なデータと演算から生み出されたものであり、絵師が苦労して培った手触りや色感による、人間的な「美」ではありません。
結局のところ、焦点は あなたが重視するのは『結果』の美しさなのか、それとも『過程』の価値なのか ということです。
結果が華やかであれば十分だと考える人もいれば、効率や完成品のインパクトを優先する人もいます。
しかし一方で、過程そのものに価値を見出し、それを機械には絶対に代替できないと考える人もいます。
最終的には、誰もが自分の心の中に「物差し」を持っています。
他人に自分の考えを押し付けることもできませんし、技術の発展を止めることもできません。
ですが、私たちは自分自身がどちらを大切にするか――「過程」なのか「結果」なのかを選ぶことができるのです。
そしてその選択こそが、芸術の一部なのだと思います。
770K
Views