コロナ対策の政策評価 日本は合理的に対応したのか
新型コロナ感染対策でよく議論になるのはワクチン接種だが、これについては医学的な結論がまだ出ていない。明らかに過剰だったのは、初期の緊急事態宣言などの行動制限である。本書はこれに絞って、経済学的に検証したものだ。

中でも大きな影響があったのは、2020年4月に西浦博氏の発表した「何もしないと42万人死ぬ」という被害予測である。彼はそれにもとづいて「接触の8割削減が必要だ」と主張し、安倍首相に直訴して、緊急事態宣言の発令が決まった。

結果は42万人どころか、60日間で800人しか死者は出ず、緊急事態宣言で多くの飲食店が廃業するなど膨大な社会的コストが発生した。本書の中心は西浦モデルの欠陥を詳細に明らかにすることだ。

特にひどいのは(当時から指摘されたことだが)西浦氏が新規感染者数(フロー)としてカウントした数字が、実は既存の感染者を含む感染者数(ストック)だったことである。


SIRモデルでは、接触に比例して新規感染者が減るので、右の図のように接触を8割減らすと、ただちに新規感染者数は8割減るはずだが、西浦モデルでは数十日かけてゆるやかに減ることになっていた。これは感染したまま治癒していない患者をカウントしたからだ。

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