なぜウクライナ戦争は終わりそうにないのか…「絶対に引かない」プーチンとヒトラーの"最悪すぎる"共通点
■現代に蘇ったロシア皇帝 【黒井】私が知っているゴルバチョフ末期からエリツィン時代は、それが突き抜けてましたが、そもそもソ連時代からそうですね。ヨーロッパよりちょっとアラブ世界と似ているかもしれません。 ロシアの今後を予測するということを考えた時に、主義主張のような建前の部分に加えて、権力内部の力関係の部分も重要です。それらを融合して予測する必要がありますが、そこが難しい。でも、特にこの十数年はどんどんプーチン重視になっていると思います。そういう意味では、予測がだんだんとしやすくなってはきています。 【小泉】我々に見えるものがふたつあります。ひとつは国家としての建前があって、もうひとつはプーチンを中心とする裏事情。実際は両方あるのですが、だんだんプーチン個人の存在が圧倒的になってきたということでしょう。 【黒井】ニュース映像ですごく印象的だった場面があります。2014年にクリミアを勝手に併合した際のクレムリンでの集会です。プーチンが会場に降臨すると、ロシア政界の要人が全員、教祖を見るような目で一心不乱に拍手をして称(たた)えている。「ああ、彼は皇帝になったんだな」と、その光景はダイレクトに示していました。あれはちょっと異様でした。 【小泉】涙を流している人とかいましたね。 ■暴君プーチンが犯した失敗 【黒井】マイダン革命後のクリミア奪取が、プーチンの皇帝化を決定的にしたと思います。振り返ると、マイダン革命自体はプーチンも想定外だったでしょうから、あの時はそこまでやる計画が最初からあったわけではないでしょう。 あの時は、とにかくロシア黒海艦隊の本拠であるセバストポリを守るという意識から策を講じたわけですが、米国が強硬に対応してこないのを予測して、強気の手を打ったら成功した。プーチンはそれまでもロシア国内や旧ソ連圏では強硬派でしたが、クリミア奪取の成功で、いっきに暴君化していったのかなという気がします。 【小泉】そうですね。プーチンはその延長で、ウクライナを手に入れたかったのでしょうね。 【黒井】プーチンのキャラクターの特徴をひと言で言うと、精神的マッチョ志向のナルシストだと思います。先ほど言ったように、原動力はメイク・ロシア・グレート・アゲインだと思うのですよね。それに加えて、ウクライナがロシアの一部だという思想は、もともとあったでしょう。 そんななか、国際的なパワーポリティクスの環境が変わり、西側がどんどん内向きになっていった。特に米国が、です。オバマと第1期目のトランプです。バイデンは国際社会への民主的な介入をやろうとしたのだけれど、アフガニスタン撤退時のドタバタを見れば、プーチンからするとたいして強敵でもない。 西側がもうそれほど怖くないなとなった時に、FSBが「ウクライナは簡単に落ちるだろう」という報告をプーチンに上げる。それで容易ならやってしまおうと判断したということだと思います。彼は自己正当化が最優先なので、失敗しても認めません。