なぜウクライナ戦争は終わりそうにないのか…「絶対に引かない」プーチンとヒトラーの"最悪すぎる"共通点
■ヒトラーと同じ政治手法 【黒井】私は情報機関関係のニュースを追っていたので、プーチンがFSB(ロシア連邦保安庁)長官に引っ張り上げられた時くらいに初めて意識したのですが、当時のモスクワ政界では小物(こもの)でした。当時のモスクワ政界の中心はエリツィン派ですが、ほぼ全員が腐敗した汚職人脈でした。 他方、当時はSVR(対外情報庁)初代長官や外相、首相を歴任したエフゲニー・プリマコフの派閥がまだ力を持っていましたし、ユーリ・スクラートフ検事総長がエリツィンの汚職疑惑を追っていました。エリツィンは引退後の保身が最重要課題で、後継者候補となる首相ポストを頻繁にすげ替えますが、最後に無名だったプーチンを指名します。 しかし、プーチンはモスクワでFSB長官、首相、大統領代行と歴任する間に、着々と昔のKGB仲間を呼び寄せ、世直しの構想を練っています。大統領選の当日にはもうエリツィンからの電話を無視しています。 大統領になってすぐ、メディア王と呼ばれたオリガルヒ(寡占(かせん)資本家)のウラジーミル・グシンスキーを逮捕し、メディア支配に乗り出します。そして、オリガルヒとその背後にいる欧米西側主要国、それと強力なマフィアがいたチェチェン人を「敵だ!」と人々に提示して、愛国主義を煽動する。 政府内では治安機関系の組織からプリマコフ派を排除します。プロパガンダ宣伝、民族主義・愛国主義、敵認定の排撃煽動、治安機関強化と、ほとんどすべてがヒトラーの手法のコピーに見えます。 ■コネがルールに優先するロシア社会 【小泉】プーチンは第1次政権時に相当に権力を固めましたね。石油王のミハイル・ホドルコフスキーに脱税の嫌疑をかけて会社を解体し、本人も投獄した。これでエリツィン政権期に権力を握ったオリガルヒたちを押さえつけたわけです。で、自分の権力に逆らわないオリガルヒたちには利権をごっそり与えて服従させました。 さらにプーチンの権力掌握で決定的だったのは、大統領の3選禁止の規定からメドベージェフに代行させた後に、大統領に再び戻ってきた2012年以降だと思います。誰もが「プーチン様には逆らえないよね」という空気は、あの時期から決定的だったかなと思います。 典型的なパトロン=クライアント関係ですね。プーチンのパトロネージュを得られるかどうかですべてが決まっていく。縁故主義的ですが、もっともロシアは昔からそういう社会ではあります。コネで解決する。その巨大バージョンを、プーチンはやっているのかなと思うのですよね。ロシアではルールは絶対視されない。ルールより権力者の意向です。法に対するニヒリスティックな意識が強くあります。