「失敗させない」が思考力とやる気を奪う

② アドバイスが多く、指示も細かすぎる

「部下を失敗させたくない」と思うあまり、過剰に口を出してしまうリーダーも少なくありません。しかし、これは部下の“考える力”を奪ってしまう大きな要因になります。

事例
食品会社の企画部の田中課長(女性・45歳)は面倒見がよく、部下の成長を心から願っています。ただ、提案書の作成を任せると、細部にわたり逐一チェックを入れ、「ここはこう直して」「この順番に変えて」と具体的に修正指示を出してしまうタイプ。

入社3年目の中堅社員・佐野さん(男性・28歳)は当初「学びが多い」と感じていましたが、次第に「どうせ自分で考えても直される」と思うようになり、指示を待つ姿勢に変わってしまいました。結果、田中課長の負担は増え、佐野さんの自主性は育たないという悪循環に陥りました。

リーダーとしては部下を成長させるために与えたアドバイスが、実は部下の挑戦心を奪っていたのです。

甘やかしは部下のためにならない

③ 部下のためを思った行動が逆に成長を止めている

一見「思いやり」に見える行動も、部下の成長機会を奪うことがあります。

事例
自動車会社の製造部の山口係長(男性・42歳)は、若手に厳しい現場を経験させるのは酷だと考え、トラブル対応や顧客クレームなどの“難しい案件”をすべて自分で引き受けていました。

その結果、入社2年目の斎藤さん(女性・25歳)は、日常業務はそつなくこなせるものの、突発的なトラブル対応には全く慣れていません。ある日、山口係長が不在時にクレーム対応を任され、大きく動揺してしまい、顧客の信頼を損なう事態になりました。

「部下に負担をかけたくない」という思いやりが、結果的に“経験不足”という形で成長を妨げていたのです。

以上の3つの事例に共通しているのは、「リーダーの行動がそのまま部下の成長に影響する」という点です。またそれにより、リーダーが陥りやすい落とし穴が発生します。