「デマ、差別は人を殺す」 横行する外国人ヘイトに抗する街頭アクション 新宿、川崎など全国各地で

東京新聞10/21(火)6:00

「デマ、差別は人を殺す」 横行する外国人ヘイトに抗する街頭アクション 新宿、川崎など全国各地で

JR川崎駅前でデマや差別に反対を訴えた街頭アクション=18日

 「外国人優遇」などのデマ、外国人らへの差別に警鐘を鳴らす街頭アクションが17〜19日にかけ、東京、埼玉、神奈川、大阪など全国各地であった。17日の新宿駅前のアクションでは、弁護士やミュージシャン、学生らが「デマ、差別は人を殺す。看過してはいけない」「デマに満ちた社会は変えられる。私たち一人一人が実現していこう」などと訴えた。(飯田克志)

◆差別のない社会をあきらめない

 7月の参院選では各政党が外国人に対する規制強化を競うように主張。交流サイト(SNS)でも「外国人犯罪が増えている」などのデマが相次いだ。弁護士の太田啓子さん、音楽プロデューサーの松尾潔さんらは、この状況を懸念し「デマと差別が蔓延(まんえん)する社会を許しません」を掲げ、新宿駅前での街頭アクションを企画。SNSで連動したアクションを呼びかけた。

 新宿駅前では、冒頭に太田さんが「差別のない社会をあきらめない。おかしいことには一つ一つおかしいと言い続ける」と宣言。法政大元総長の田中優子さんは「多くの情報の中で、事実をお互いに確認しながら生きていくことで、デマや差別で人を傷つけたり殺したり、戦争を起こしたりする道を閉ざせる」と訴えた。

◆参院選のころからひどいデマ、許せない

 ノンフィクションライターの安田浩一さんは、埼玉県南部で暮らすトルコ国籍のクルド人たちがヘイトスピーチや盗撮などの被害で、おびえながら暮らす現状を報告。「私たちの社会は一部の人に怖い思いをさせながら、治安、生活を守ろうとしている。それは正されないといけない」と語った。

 ほかに、「デマで金もうけをしている人がいる」としてSNSの投稿による収益システムの問題や、デマと差別の子どもたちへの悪影響を指摘するスピーチもあった。

 「デマ やめろ」と書かれたプラカードを手に参加した会社員小出友理さん(28)は「参院選のころからSNSで外国人についてのデマがひどくて、許せないと思った。これからも反対の意志を示していきたい」と話した。

◆周囲の人に差別をさせない働きかけを

 18日に川崎市のJR川崎駅前であった街頭アクションでは、参加者は「NO HATE」「あらゆる差別に反対」などと書かれたプラカードを手に並び、それぞれの思いをスピーチした。

 同駅でヘイトスピーチが起きないよう警戒しながら本を読む川崎駅前読書会の木村夏樹代表(57)は「関東大震災でデマにあおられた多くの人たちが朝鮮人を虐殺した。この惨事は遠い過去のもののように感じない。二度と起きないようにデマと差別と戦わなければいけない」とアピール。横浜市から参加した女性は「デマや差別のない社会のために一人一人が考えていきましょう」と語りかけた。

 飛び込みで加わった30代の会社員女性は、難民申請中でも強制送還を可能にする入管難民法改定に反対する同市での学習会を開催してきたといい、「自分が差別をしないだけでなく、周囲の人に差別をさせない働きかけが大事だと再認識した。自分にできることをしていきたい」と話した。

 太田さんらは7月、デマや差別に反対するアピールを発表し、オンラインで国会議員にデマや差別に加担しないことを求める署名を募った。8月に最初の街頭アクションを行い、9月に集まった署名約4万2600筆を各政党に渡した。

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