雅やか英雄様!誤字報告ありがとうございます!
それではどうぞ!
〜百鬼夜行〜
コツ…コツ…と廃墟に4人の足音が響く
“こんな廃墟に連れて来て、一体誰がこんなところで待ち合わせするように言ったんだい?”
「ええとね、それは…」「おい、余計なことを喋るな」
「…シャーレの先生…次余計なことを喋ったらただでは済まないと思え」”…わかった”
そしてまた4人は歩き始める
「…こんなところに連れて来て…まさか…?」
そしてそのやりとりを聞いている人が、1人いた
「多分あそこに向かうはず…どこかに天井裏への入り口が…」
キョロキョロ、とイズナがあたりを見回す
「あった!ここに入れば…」
イズナは天井裏へと潜り込んだ
「命令通り連れて来たっす!」「連れて来たっす!」
「……貴様はじっとしていろ、余計な事をするな」”分かってるさ”
「…やっぱり、ここの部屋に…」
イズナが天井に空いている穴から下を覗き込もうとしたその時
「よくやった魑魅一座、やればできるじゃないか」”…その声は”
「また会えて嬉しいよ、シャーレの先生」”…商店街の会長のニャン天丸じゃないか”
そこにいたのは片目に眼帯をつけたニャン天丸がいた
「ふん、わしの本名はニャン天丸じゃない!」”じゃあなんだって言うんだい?”
「儂の名はマサムニェ…」
「路地裏の独眼竜!ニャテ・マサムニェとは儂のことじゃ!」”…古い友人が聞いたら憤死しそうな名前だな”
「ふん、強がりを。しかし…類稀なる指揮能力を持つシャーレの先生とやらに邪魔をされたと聞いて、誰のことかと思ったら…おぬしだったとはな」
“百夜堂であったな、まぁなんか疑問に感じる言動はしていたけど、ほんとに貴方だったとは”「ははっ!こんな状況で余裕でいれるとは、大した奴だな」
ニャン天丸…もといマサムニェが笑う
「だが、私は物語の悪役とは違うのでな、悪いが通じないさ…そんなものは。やれ」「了解っす!」”な、何をする!”
魑魅一座が先生のポケットをひたすら探る
「見つけたっす!」”…スマホか”
「ああ、歳をとると用心深くなるでな、これは没取するとしよう」
「さあ、これで…「待て、マサムニェ」……なんだ」
魑魅一座の一人が話を遮る
「背中に何か隠しているな」”…なんのことkうわっ!?”
魑魅一座が先生の体を触る
「…防弾ベストの割には小さい…そしてお腹の方にはない…」”そ、そんなに体を触られっておい!”
魑魅一座が先生のシャツをグイと引っ張り上げる
「……タブレット端末か、こんなところに隠していたとは」”…まさかバレるとは”
「ほお!おぬし、よくやった!」「…まぁ、とりあえず渡しておく」”…まずいなぁ”
もし、今魑魅一座の持つランチャーを撃たれたら、マサムニェが銃を隠し持ってて先生に向けて撃ったら
それだけで先生は死ぬ
本来ならアロナが防いでくれるが、アロナの守りは消えた
“…狼はいつもこんな感じなんだな…”「…なんだ?」”いや?流石にちょっとまずいな〜って”
「さあて、これでおぬしが助けを求める手段はない、心の中で叫んだところで奴らには聞こえぬし、来ることもない」
「孤立無援…いや、飛んで火に入る夏の虫と言うところかな?先生」”…どうして祭りの邪魔を?”
先生が問いかける
“…薄々違うとは思ってるけど、伝統を守るためかい?”「伝統…?ああ、花火の事か…どうやら人の話をしっかり聞いているらしいな」
「だが違う、儂の目的は金だよ、金」”…金か”
「ああ、百夜ノ春ノ桜花祭、これが開かれるたびに莫大な金が動く。その金を管理しているのがお祭り運営委員会…まだまだ幼いガキどもだ」
「儂はそれが気に食わん、祭りを素敵なものに?そのためにミレニアムに大金はたいても構わない?」
マサムニェが怒りを露わにする
「なんと言う青い考えだ、儂ならもっと遥かに金を呼び込めたと言うのに!」
“…それでお祭りの邪魔を?”「そうさ、桜花祭を中止に追い込めばお祭り運営委員は責任をとって降りる。自然と次の役目は儂にまかされるだろう。もし違うとしても儂の権力でコントロールもできる」
“…そのために、イズナを利用したと?”「イズナ…ああ、あの自称忍者のちびっ子か」
「そうだな、あいつは実に役立ってくれたよ、九郎茶屋に襲撃をかけた時は焦ったがそれを除けば大した金をかけず、ちょっと
“……お遊び、だって?”「ああ、バカなガキの幼稚なごっこ遊び、あいつの言う忍者は物語に出てくるやつだけだ」
「雇い主としてご命令を〜、ご命令であればなんでもこなすのが忍び〜だとか、笑いを堪えるのが大変だったわい」
「少し乗ってやれば忍びとして全力を〜だとか言ったとこは思わず笑いがとまらなかったさ!」「けっ!あの年で忍者とか笑えるぜ!」
「正直堪えるのが大変だったっす!」「………」
「ああ!ほんとに便利なやつだった、実に経済的で、馬鹿だったな、ふはははははっ!」
“……金のためにイズナを、イズナの夢を利用したと?”「…夢?何を言っている」
「あんなバカの妄想を夢と!なんとも付き合いのよい、先生とはいえ大したお人よしだ」
「話しを聞くと、イズナが儂の命令で動いてると気づいてたのだろう?それでノコノコイズナと動くなんてよっぽどおぬしは馬鹿だな、罠だって思わなかったのか?」
「まさかこれほど上手く行くなんて思いもしなかったわ!あいつもよく働いてくれたよ、ふはははっ!」
「……っ!」
全て聞いていたイズナは悔しさで身を震わせる
自分が騙されていたせいで、自分の夢を馬鹿にせず応援してくれた人が、酷い目に遭っていると
“…まぁ、イズナと一緒にいたのは迂闊だったかもね”「なんだ、馬鹿のくせに反省できるのか」
“…同行は私が決めたこと、イズナは何も悪くない”
「…先生?」
“それに…忍者ごっこ、だっけ?”「?ああ、存外そのごっこ遊びも役に立ったがな」
“…1つ言わせてもらうけど、忍者っていうのはね…?”「…?」
“実在するんだよ?”「……は?」「へ?」「はい?」「………まさか」
「…なんだ、気が狂ったか?」”何を言ってるんだい?確かに実在するんだよ?忍者は”
「…くっ」
「くはははっ!これは傑作だ!シャーレの先生というから少しは話が通じるかと思っていたがな!ここまで馬鹿だっだとは!」
「こんな馬鹿なら説得しても時間の無駄だな…シャーレの先生、儂の計画を邪魔しなければ良かったものを。構えろ」「…ああ」
魑魅一座が拳銃を懐から取り出し、先生に向ける
“…こういう時に、命を賭してまでも助けに来てくれる…そう”
“それこそが忍び…そうだよね?狼”
その瞬間、キィン!と魑魅一座の手に何かがあたり、散弾銃を取り落とす
「な、なんだ!?一体何が起こった!」「い、今のは」「…この痛み…銃じゃない、ナイフ?」
「シャーレの先生、貴様一体何をした!」”うん?忘れたのかい?言っただろう?忍びは実在するって”
その時、廃墟の壊れている窓から何かが飛び込み、先生の隣に着地した
「…お迎えに参上致しました。先生殿」“来てくれるって信じてたよ、狼”
「き、貴様!百夜堂にいた!」「……マサムネ…だったか」
「違う!わしは路地裏の独眼竜、ニャテマサムニェだ!」「……」
「しかし貴様、不意打ちを決めて得意げだが、数の有利はこちらにある、それをどう覆す!」「……」
「…言い忘れていたな」「なんだ?降参でもするのか?」
狼がチラと上を見る
「…忍びは、1人だけではない」「……何を言ってドカァァァァン!!
しかし、マサムニェの言葉は大きな音によってかき消された
「な、なんだ!?なぜいきなり天井が落ちる!」「けほっけほ…わ、わからないっす!」「…ああ、なるほど。そこにいたのか」
「キヴォトス最強を目指す忍び、真の主君と師匠の窮地を救うために、今ここに参りました!」”イズナ!?一体いつから…”
「なっ!イズナ、貴様どうやって!」「…全て見て聞いていました!雇い主の話も…どんな時も先生がイズナの夢を笑わない理由も、その理由の根拠も!」
「イズナはついに見つけました…」
「イズナが使えるべき真の主君と、忍びとは何たるかを教えてくれる、その師匠を!」「くっ、イズナ、貴様裏切るのかっ!」
「…先生…いえ、主殿!そして師匠!」”えっ?主殿って私?”「……師匠は…俺の事か…………?」
「はいっ!今からイズナは、全てを真の主君たる主殿に捧げ、主殿のために戦います!師匠!どうかイズナに見せてください!忍びの戦い方を!」
「………俺は、師匠では…ない」”とりあえず天井落ちた音で魑魅一座が集まってくるだろうから、2人とも戦闘準備!”
「はいっ!わかりました、主殿!」「…承知した」
「くそっ!魑魅一座!であえであえ!曲者じゃあ!」「うおおおおっ!」「やってやらあ!」
マサムニェの掛け声で魑魅一座が集まってくる
“うわぁ結構きた!構えて!”「はい!では、参ります!」「…参る」
イズナは銃を構え、狼は楔丸を引き抜いた
ここまで読んでくれてありがとうございます!
上手く書けたでしょうか…心配だぁ
でも、楽しんでくれたのなら…嬉しいです
次回、お楽しみに
狼「銃…か…」
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新たに調達するべきか…
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このまま使い続けるべきか…
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先生殿に聞いてみるか…
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…エンジニア部…とやら…うむ…
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イズナに聞くか……