主を失った狼、透き通る世界に行き着く   作:けんどーさん

89 / 127
こんにちはけんどーです

ご友人とインドカレー食べに行ったら友達が辛くて食えんって言ってたカレーを辛さをそこまで感じず食べてる自分に驚いたんだよね

南極出身のヤドカリ様!誤字報告ありがとうございます!

それではどうぞ!


類稀な強者との戦い: 美甘ネル その2

〜ミレニアム、大部屋〜

 

「あっ!待て!やめろ!」「……」

 

ズガン!とネルのツイン・ドラゴンに向けて仕込み斧が叩きつけられ、斧の仕掛けにより、爆炎がほと走る

 

そして斧が叩きつけられた場所には

 

 

 

 

 

無惨に叩き折られた マシンガン(ツイン・ドラゴン)があった

 

「…これで、一つ」「……」

 

狼がネルを見るとネルは遠目でもなんとなくわかるほど震えていた

 

「……(武器を壊した…たったそれだけで..物怖じするとは…)」

 

狼が少し残念な気持ちになり、移動しようとしたその時

 

ダン!と銃声が響いた

 

キィン!

 

狼が銃弾を弾く

 

「……ほう……これは」「…おい」

 

ネルが口を開く

 

「てめぇよくもあたしのツイン・ドラゴンを!」「…」

 

ネルが殺気だち、狼は刀を構える

 

「おらおらおらぁ!」「……」

 

ネルが狼に向け走りながらズダダダ、とマシンガン(MPX)を撃つ

 

狼はそれをその場から動かず弾く

 

ガキィン!カァン!

 

「なんだ?銃一丁の銃弾は避ける必要もなく防げるってか?舐めんな!」

 

ネルが空になったマガジンを抜き、狼に向けて投げつける

 

それを狼は刀で弾き飛ばす

 

「はっ!引っかかったな!」

 

ネルは狼がマガジンを弾き飛ばした隙にリロードを終え、切れた鎖を狼に向けて鞭のように飛ばす

 

それを狼は弾こうと刀を動かすが、鎖が刀に巻き付く

 

「おらよっ!そんなもん没収だ!」「!?」

 

ネルがグイと刀を引っ張ると狼の手から楔丸がスポッ、と手から滑りネルが楔丸をキャッチする

 

「目には目を、歯には歯を、武器壊すクソ野郎には同じ目に会ってもらわないとなぁ!」「……」

 

狼はなんとなくこの後の展開が読め、やめておけと口を開こうとしたが

 

「へぇ…随分ご立派な刀だな」

 

狼が喋るより先にネルが楔丸を床に突き立てて

 

「おらぁ!」

 

と思い切り楔丸の刃の側面を蹴った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガアァァァン!

 

「痛ってええええ!」

 

蹴られた衝撃で楔丸は地面からすっぽ抜け、ネルは足を抑えその場に倒れた

 

「……やはり、か」

 

狼はその様子を見て少し呆れるような目を向けた

 

楔丸は今まで強弓から放たれる矢を防ぎ、雷を返し、人ならざる者、大猿の強大な一撃を弾き、剣聖の剣さばきをしのぎ、そしてこの世界に流れ着いてからは数多の銃弾を弾き、それでなお刃こぼれ程度で済む刀である

 

神秘を持つ生徒といえど楔丸は子供の脚力で折れるほど柔い刀ではないのである

 

狼は足を押さえて悶絶しているネルを横目に楔丸を回収する

 

「ああっ…脚が…くそっ!」「……歩けるか」

 

「…は?」「…歩けるか、と聞いている」

 

「この野郎!舐めやがって!」

 

ネルがガバ、と立ち上がるが

 

「いっ、畜生…」「……」

 

その場にへなりと座り込んだ

 

「なんなんだよ…あんな硬い刀見たことねぇよ…いてぇ…」「……」

 

狼はなんとなく申し訳ない気持ちになった

 

「…少し、物足りないが…」

 

狼は楔丸を納刀し、ネルに背を向け体育館を去ろうとしたその時

 

「待ちやがれ」

 

ダダダダ!とマシンガンの銃弾が狼に向けて飛ぶ

 

それを狼は横へ飛び、傘を展開して防ぐ

 

「まだだ…まだ負けてねぇ…」「…お主」

 

ネルはまだ痛みが残ってるのか少しふらついているが、まだ戦意を無くしてはいなかった

 

ダブルオー(勝利の象徴)が足が痛いなんて泣き言言って負けてたまるかってんだ」「……」

 

狼は楔丸を抜刀する

 

「第二ラウンドだ!今度こそその刀ぶっ壊してやる!」「…参る」

 

狼は持ち物からある物を取り出し、ネルに向けて投げる

 

「ああ?何やってんだ!そんなもん投げてる暇あんのか!」

 

それを避けたネルがまたマシンガンを狼に向けて撃つ

 

それを狼は楔丸で弾く

 

「ちっ!めんどくせぇ(銃は刀で弾かれ蹴りは体勢が崩れてこっちが不利になる。有効打がねぇ…)」

 

「……」

 

狼は何かをまたネルに向けて投げる

 

「先から何投げてんだ!戦え!(だったら攻撃を誘って隙を見て銃弾を打ち込むしかねぇな)」

 

そして狼はガシャン!と忍具を切り替え、さらにネルから距離を取るため走る

 

「おいこらっ!逃げるな!」

 

ネルが追いかけようと走り出そうとするが、やはり足が痛みうまく走れない

 

「ちくしょう、足さえやられなければ…」

 

その時、狼が走るのをやめて腰を深く落とし、スライディングを決めるかのようなポーズをとる

 

「あぁ?今度は何を…」

 

ネルのその言葉は途中で遮られた

 

狼が一瞬で距離を詰め、ネルに刀が突き刺さり、踏みつけられるかのような衝撃が体を走る

 

奥義、大忍び刺しである

 

「いっ!?(いまの一瞬であの距離を!?くそっ、反撃を…)」

 

ネルが反撃しようとマシンガンを正面に向けるが

 

「…は?どこに…」

 

その時

 

バリン!「うわっ!?なんだ?何かかかったぞ!」

 

ネルが後ろへバックステップをすると、いつの間にか上から降ってきた狼がスタっと着地する

 

「てめぇ!メイド服だけじゃなくスカジャンまで台無しじゃねえか、一体何かけて…」

 

ネルは浴びた液体が妙に粘性があることに気づく

 

「これ…もしかして…」

 

油か?

 

 

その時

 

 

 

狼がネルへと近づき、義手から仕掛けが作動し

 

ボウッ!と爆炎がほど走る

 

義手忍具、火吹き筒、バネ式である

 

「くそっ!炎か!」

 

ネルが後ろへ飛び、炎を避ける

 

 

 

狼はネルを踏みつけた時に油をほんの少し楔丸にかけ、残った油をネルに投げていた

 

狼は楔丸を義手の仕掛けがあるところに引っ掛け、炎が楔丸に纏われ、狼は踏み込みつつ楔丸を振る

 

そしてネルに炎が燃え移る

 

 
 

 

 

 

 

 「あああ!?くそっ!火が!!」

 

奥義、纏い斬り

 

一部の義手忍具使用後、刀に義手忍具の効果を、纏わせる派生攻撃

 

牙と刃が一体となる、忍び義手技の奥義である

 

この奥義を最後に、仏師は忍義手を捨てた

 

極め、殺しすぎた。怨嗟の炎が漏れ出すほどに

 

 

「熱い!ちくしょう、消火しねえと…」

 

ネルが火を消そうと地面に寝転び転がる*1

 

ネルがゴロゴロ転がり始め、狼はなぜ転がるのか困惑する

 

「……(今まで戦ってきた者は火がついても少し怯むのみ…何事もないかのように戦っていたが…)」

 

狼は追撃を仕掛けるためにネルに近づき刀を振り下ろす

 

「あっぶな!?てめぇ卑怯だぞ!」「……」

 

ゴロゴロ転がり消火しながら避けるネルに対し、卑怯とは、忍びの己に言われてもな、と考え狼は楔丸をまた振り下ろす

 

「ちくしょう、テメェやっていいことと悪いことがあるだろ!建物に火がついたらどうするんだ!!」

 

ネルは焦っていた。ただでさえ銃が片方壊され、メイド服とスカジャンが燃やされ、もし建物に火が燃え移れば大惨事ではすまない大事になる

 

「お前せめて火は使うな!もし建物燃やせば放火魔として捕まるぞ!」「……うむ」

 

流石に建物に燃え移れば大惨事になるだろう、と考え狼は火を使うべき場所を考えることにした*2

 

「やっと火が消えたな…お前、絶対にぶっ殺す「!?(纏う気配が変わっ)ぐはっ!」

 

狼はネルの素早い蹴りに反応できず、腹に蹴りが直撃する

 

おまけに当たった場所がカリンの狙撃銃が当たった場所であり、鋭い痛みと塞がった傷が少し開き、血が流れる

 

「おうおう、なんだ?あたしの蹴りが早すぎて反応できなかった?」「…ぐっ」

 

狼が痛みを抑えるために瓢箪を持ったその時、ダダダダと銃弾が狼に向け飛んでくる

 

「呑気に水分補給なんてさせるか!ふざけてんのかお前!」「…ちっ」

 

狼は瓢箪をしまい、走って迫ってくるネルの攻撃を弾くため刀を構える

 

「おらぁ!」

 

ネルがドロップキックを繰り出す

 

狼はそれを右へ飛び、ネルはキックを外す。が

 

ダダダダ!と狼の不意を撃つように銃弾が飛んでくる

 

「ぬおっ!?」

 

狼は咄嗟に楔丸を構え、銃弾を防ぐ

 

しかし、幾つか防ぎきれず、右肩に一発被弾してしまう

 

「ぐうっ!」「はっ、ようやく当たりやがった、な!」

 

ネルが追撃に狼を蹴る

 

肩の痛みで狼はうまく弾けず、衝撃で吹っ飛んでしまう

 

「…ああ?なんだ?一発で出血してるのかぁ?」「……」

 

 

 

 

 

だが幸運にも吹っ飛ばされた方向は出口がある場所であった

 

「…仕方なし」

 

狼がフラッシュバンをネルに向けて投げ、出口へと走る

 

「ああ!?テメェ逃げる気か!待ちやがれ!」

 

ネルがフラッシュバンの閃光を手で防ぎ、狼を追いかける

 

「ちっ!止まりやがれ!」

 

 

 

ネルがダダダダ!とマシンガンを撃つ

 

しかし狼は飛んでくる銃弾を避け、当たりそうな物は防ぎ、大部屋から出た

 

「くそっ!ここまでやって逃げるなんて許さないぞ!」「……」

 

走りながら狼は考える。なぜ己は戦うことを選んだのだろうか

 

追い詰められたとしても煙で姿を眩ませば戦わずに逃げてたかもしれない

 

なのに、なぜ俺は楔丸を構えた?

 

 

「くそっ!足が痛くてうまく走れねぇ!」「……今、考えるべきではない」

 

狼は不穏な考えを振り払い、走り続ける

 

かと思いきや、目の前にシャッターが降りており、止まる

 

「やっと追いついたぞクソ野郎…観念しな」

 

それと同時にネルが狼に追いつく

 

「……」

 

狼は観念したかのように楔丸を納刀する

 

ネルが銃を構えたまま近づいてきたその時

 

「……さらば」「…は?」

 

狼は窓ガラスに突っ込んだ

 

ガッシャアァァァン!

 

「…は?はぁ!?」

 

ネルが慌てて割れたガラスに近づく

 

「おいおい、ここは20階…痛いで済む高さじゃねぇ…骨の2、3本はヒビはいるかもしれねぇ高さだぞ…?」

 

ネルがガラスから覗き込むと

 

ヒュパリ、ヒュパリと飛んでいる狼が居た

 

「…なんなんだよあいつ…くそっ」

 

疲れからか、ネルはその場にヘタリと座り込む

 

 

 

「…次は絶対ぶっ殺す」

 

色々焼けて台無しになったスカジャンとメイド服を見てそう呟くネルであった

*1
実際に服に火(着衣着火)がついたらストップ、ドロップ&ロールと呼ばれる火の消し方が有効らしい。

*2
使わないとは言ってない




記憶のかけら、美甘ネル

類稀な強者、その戦いの記憶のかけら

戦いが完全に終わらず、未完成な記憶がかけらとなる

美甘ネル、蹴りと銃による近接戦を得意とした強者であった

またあい見えた時、戦いの記憶は完成するだろう
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。