主を失った狼、透き通る世界に行き着く   作:けんどーさん

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こんにちはけんどーです

さぁて、どんどんいくぞー!

以下に感謝を

白沢 恵様!誤字報告ありがとうございます!

それではどうぞ!


少女の懺悔、優しげな嘘

〜ミレニアム、第三校舎屋上〜

 

「嘘だ…なんかの間違いだ…多分きっと…」

 

カリンは脂汗が流れ、震える手で狙撃銃のスコープを覗く

 

覗いた場所はさっきカリン自身が狼を撃ち抜いた現場である

 

そしてそこには…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遠くからのため見づらいが、確かに血だまりができていた

 

 

 

 

 

「ひっ」

 

カリンは短い悲鳴をあげた

 

「どうして…なんで血が…沢山…普通当たってもちょっと痛いぐらいだろ……」

 

狙撃銃が手から滑り落ち、カリンはハッと思い出す

 

「た…確か…キヴォトスの外から来たヘイローのない人は小口径弾一発でも瀕死になるって…まさか!?」

 

ふとカリンは思い返す

 

あの敵はヘイローのある生徒だったのか?

 

「ああ…あああ…」

 

カリンはもはやすでに気づいていたが、やはり理解したく無いと現実から目を逸らしていた

 

「わ…私は…人を…人を…」

 

しかし、カリンは理解してしまった

 

「…私は人を…殺した…のか…」

 

「ああ…私…私は…」

 

「ごめんなさい…ごめんなさい…ごめん…なさい…」

 

カリンは一人、誰の耳にも届かぬ声の大きさで、ひたすら泣きながら懺悔していた

 

 

…自らの手で人を殺した

 

その事実は、まだ幼い少女の心を壊すには十分すぎる事実であった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜ミレニアム、路地裏〜

 

「……(骨は治っておらぬが…傷は粗方塞がった…か)」

 

狼は丸薬をいくつか噛み砕き、瓢箪の薬水を飲み干す勢いで飲み、なんとか傷を癒していた

 

流石に骨や抉れた肉は治りきっていないが、それでもなんとか動けるぐらいには傷が治った

 

「……(急がねば)」

 

狼はビルの路地裏から出て狙撃手から見えない所から回り込む事に決めた

 

 

 

 

 

しかし狼はこれでも不安を感じた

 

…先程の正確な一撃、あれは狼の嫌な記憶を思い出させた

 

かつて源の宮、その湖に潜り探索しようとした時、いきなり感じた殺気

 

どこからともなく飛んでくる雷、そして死

 

しかしあやつは雷こそ脅威だったが、近づけばそこらの雑兵と変わらぬ実力であった

 

恐らく今回も近づけば勝機はある

 

 

そう思って移動している最中…

 

「ねぇ…あれ…血じゃ…」「え?何言って…嘘…え?どう言う事!?」

 

「ど、どうする!?とりあえずヴァルキューレに…」「な、なぁ…これ、骨じゃ…」

 

「……見られたか」

 

だがあれぐらい些細なことだ、大事にはならないだろう

 

そう考えているうちに恐らく敵がいるであろうビルを見つけ、ヒュパリと鉤縄を投げる

 

ガチン!と音を立ててクナイがささり、ヒュンと飛ぶ

 

それを繰り返し、屋上にスタッと着地した狼が見た光景は…

 

 

 

 

 

「ごめんなさい…ごめん…なさい…私…私が…ヒック」

 

「…………」

 

恐らく己を撃ったであろう少女が泣きじゃくっていた

 

「…………………」

 

さて、この光景を見た狼は困り果てていた

 

何を隠そう、泣いている女には良い思い出が無いのだ

 

だが、目の前にいる女と三味線を引いていたあの女は流石に違うだろうと思い狼は声をかける事にした

 

「…おい」「きゃあああ!?」

 

「……」

 

…話しかけただけで叫ばれたのは何度目だろうか

 

「え…あなたは…」「…お主」「……え?」

 

「…何故、泣く…」「あ…」

 

「あ、あなたは…」「……なんだ」

 

「…なさい」「……?」

 

「…ごめん…なさい…撃っちゃって…殺してしまって…ごめんなさい」「……は?」

 

狼の言葉にビクッ、とカリンは怯える

 

そして…

 

 

「ごめんなさい…許して…ください」「………??」

 

カリンは綺麗な土下座を作った

 

「ごめんなさい…あなたを…撃って…殺して…しまって…ごめんなさい…許して…ください…」

 

「……」「どうか…どんな罰でも受け入れます…だから…」

 

狼は困惑気味に喋る

 

「…俺はお主に…殺されていない」「…え?」

 

「で、でもさっき…私が撃った銃弾が…あなたの脇腹に…」「……」

 

狼はなんとかこの場を切り抜ける方法はないかと考えた時、ちょうど良いことを思いついた

 

「…あれは…幻だ」「……え…まぼ…ろし?」

 

「……そうだ」

 

狼が忍具を切り替える

 

まぼろしクナイ

 

手裏剣車に仕込まれた、まぼろしお蝶のクナイ

 

幻は形代を消費する

 

投げると音が鳴り、クナイを追ってまぼろしの蝶々が飛ぶ

 

まぼろしの蝶々は、敵を追って飛び、

 

まぼろしであるが故、盾や鎧を貫通し、ダメージを与える事ができる

 

「…これは…蝶々?」「…これはほんの一部に過ぎぬ」

 

狼は銃弾が当たった脇腹を見えないようにしながら喋る

 

「…もし死んでおれば…今頃物言わぬ骸になっているはずだ…」「…そ…そう…か」

 

ペタリ、とカリンがへたりこむ

 

「よかった…私は…私は…」「………」

 

嘘とは基本避けるべきものである

 

だが時に優しい嘘をつくこともある

 

毒が薬に、薬が毒になるように




ここまで読んでくれてありがとうございます!

その…書いてる途中で魔が刺して…

カリン…大丈夫だよ!あれは幻なんだよ!

え?ヴァルキューレから人の血と骨と思われるものがあるって通報が来たって?

…知らぬが仏だよ、カリン
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