「慶應大くらい2年で合格できる」永住権目的で日本に押し寄せる中国人留学生が解く「中3レベルの入試」の中身
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■永住権に必要な滞在期間が5年→1年に短縮 大きな転機は、2015年だ。日本政府は同年、中国に対して一定期間内に何度でも日本へ入国できる「数次ビザ(マルチビザ)」の発給要件を大きく緩和した。記者は、この時の記憶が今でも消えない。多くの中国人が記者に対して、「これは大ニュースだ! すごい、すごい! 嬉しい!」と、歓喜の声を何度も上げるほどだった。 まさにここからである。大量の中国人、それも富裕層ではない一般の中国人が、1年に何度も日本を訪れるようになり、そして間もなく「爆買い」「インバウンド」「コト消費」などの新しい言葉が次々と生まれるようになった。 こうして大きな波が出来上がると、日本側の勢いは、もう止まらなくなった。中国人の歓喜の声から2年後の2017年。当時の安倍政権は、永住権の取得要件緩和にも、いよいよ大胆に手を付ける。研究者など「高度外国人材」に対し、従来、永住権の取得申請に必要な日本滞在期間を5年としていたが、最速1年に大幅短縮した。日本に1年住めば永住権が取れるというのは、他の先進国ではほぼみられない好待遇だといえる。 さらにその「高度外国人材」の対象も一気に広げ、従来の研究者などだけではなく、アニメやファッション、デザイン分野などで働く一般の人にまで加えたのは、まさに画期的だった。こうして日本移住、日本永住の門戸は大きく開かれることになり、そこに今、多くの中国人が吸い寄せられているというわけである。 ■中国人の親世代が「留学という選択肢」を子供に与え始めた 話を再び、一川文研の李沢楠校長のインタビューに戻す。中国人留学生が日本に殺到する背景にはもう一つ、中国の親の意識の変化もあると言う。どういうことか。 「これまで、中国人の親は、子供に高考(ガオカオ)(中国の大学入試)で良い点を取らせて、中国の良い大学に進学させることしか、考えてきませんでした。しかし今は、中国の国内だけで熾烈な受験競争をさせることに、親でさえも疑問を持つようになりました」と話す。 「中国では急速な経済発展で2010年代に中間層が一気に増えました。その結果、経済的にも、子供を日本や欧米へ海外留学させるという選択肢が生まれてきて、今の中国の親は、子供に選択肢を与え、自分で『良い選択』をしてほしいと、そんな風に考えが変わってきたのです」という。
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