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【裁判ルポ】参政党が元公設秘書を提訴──証拠なき訴訟の実態を傍聴して見えた“構造的圧力”


2025年10月17日、参政党が原告となり、元公設秘書のN氏を相手取って起こした**損害賠償請求訴訟(請求額450万円)**の第1回公判が開かれた。
筆者はこの日、東京地裁での傍聴と、終了後の記者会見に参加した。
この記事では、その現場で見えた裁判の構造と証言内容を整理する。


◆ 裁判の概要──証拠なき「音声流出」疑惑

問題となっているのは、藤村晃子氏のYouTubeチャンネルで公開された「参政党内部会議の音声」である。
参政党側はこの音声の流出元をN氏と断定し、「藤村氏に録音データを渡した」と主張している。
しかし、藤村氏本人は「Nさんから音声を受け取った事実はない」と明言しており、物的証拠も一切存在しない。

それにもかかわらず裁判が成立し、元秘書であるN氏は弁護士費用など多額の経済的負担を強いられている。
一方の参政党は国政政党として公金や寄付金を背景に潤沢な資金力を持ち、両者の経済的な力の差は歴然だ。
「物証がないのに裁判が開かれるのはおかしい」。
傍聴した筆者の率直な印象である。


◆ 赤尾由美氏の証言──“平岡さんのメッセージは本物”

この日の証人として登壇したのは、元参政党共同代表の赤尾由美氏だった。
赤尾氏は神谷宗幣代表との関係を「2016年からの知り合い」と述べ、2022年参院選の際には比例候補として出馬を依頼された経緯を語った。

証言の中で最も注目されたのは、故・平岡氏(元スタッフ)に関する部分である。
赤尾氏は「平岡さんが私に送った“神谷氏への不満を綴ったメッセージ”は本物である」と断言した。
これは、参政党支持者の一部が主張していた「捏造説」を完全に否定する内容だ。
嘘をつけば偽証罪に問われる法廷での証言だけに、その信憑性は極めて高い。

さらに赤尾氏は、平岡氏が生前うつ状態にあり、神谷氏への協力を深く後悔していたと述べた。
「心ある人たちが次々とやめさせられていった。私もその一人です」
赤尾氏は涙ながらに語り、参政党の内部体質を告発した。


◆ 内部崩壊と“5レンジャー”──神谷代表が約束を翻した瞬間

赤尾氏はまた、2023年6月に神谷氏を除く幹部4人が「独裁体制を改めるよう提言した」と明かした。
神谷氏は一度「再出発しよう」と応じたものの、直後に弁護士の上原氏がその提言を“拒否する”意向を伝えてきたという。
この発言は他の証人とも一致しており、神谷氏が約束を翻したことを裏付ける内容だった。

「参政党側は“クーデターだ”と非難するが、実際に体制を壊したのは神谷氏の方だった」
この証言は党内の権力構造を示す決定的な一言だった。


◆ 録音は“日常的行為”──N氏を狙い撃ちする理由は不明

赤尾氏の証言によれば、会議の場では多くの出席者がパソコンを開き、録音していたという。
「誰が録音してもおかしくない状況だった」と明言しており、N氏だけを疑う根拠は極めて薄い。

実際、松田学氏も「自分も盗聴されていた」と発言しており、録音や情報の持ち出しは党内で恒常的に行われていた。
それにもかかわらず、N氏だけが訴えられたのは、見せしめ的な意味合いが強いと見られる。


◆ 弁護士の“挑発尋問”──圧迫と印象操作の法廷

参政党側の代理人を務めたのは、上原近子氏と近藤氏。
この近藤弁護士の尋問態度は傍聴人の間でも問題視された。
質問のたびに机を大きく叩き、証人に対して挑発的な口調で迫る場面が繰り返された。
「意図的に怒らせ、感情的な反応を引き出して信用を失わせようとしている」
そう感じた傍聴人は少なくない。

しかし赤尾氏は冷静に応じ、涙をこらえながらも一つ一つの質問に丁寧に答え続けた。
その姿勢が逆に、参政党側の焦りを際立たせていた。


◆ 藤村晃子氏の証言──「Nさんから受け取った事実はない」

続いて証言台に立ったのはジャーナリストの藤村晃子氏
藤村氏ははっきりとこう述べた。
「この音声はNさんから受け取ったものではありません。平岡さんから受け取ったと思っていただいて構いません。」

ただし、情報源を明かすことは「取材源の秘匿義務」により拒否。
「誰から受け取ったかを明かすことは、参政党の“犯人探し”に加担することになる」と説明した。

藤村氏が指摘したのは、「公益通報者保護法」の存在だ。
企業や政党内部の不正を通報した者を守るための法律であり、参政党が行っている“内部告発者の追跡”はこの法律に違反するおそれがあるという。
「斎藤元彦知事のケースではメディアが“犯人探しは違法だ”と報じたのに、参政党が同じことをしても沈黙している」
藤村氏はそう批判した。


◆ 平岡氏への“脅し”──「夜道は気をつけろよ」

藤村氏の証言の中で最も衝撃的だったのは、故・平岡氏への脅迫発言である。
「参政党の幹部から“夜道は気をつけろよ”と言われていた」
この発言が法廷で記録されたことで、平岡氏が受けていた圧力の実態が改めて浮き彫りとなった。

藤村氏はまた、平岡氏の住所が党の収支報告書に掲載されていた事実も指摘。
「党員の安全を守るどころか、晒している」と強く非難した。


◆ 判決は来年2月13日──“言いがかり訴訟”の行方

裁判は2026年2月13日(金)13時10分に判決が言い渡される予定だ。
物的証拠がなく、主要証人の証言も被告側を支持していることから、参政党が勝訴する可能性は極めて低いとみられている。

N氏は若く、政治経験も浅い。
そんな一般市民を相手に国政政党が高額訴訟を仕掛ける構図は、明らかに“見せしめ”であり、権力による圧力と言わざるを得ない。


◆ 結論──「信じる者を次々と切り捨てる政党」

この裁判を通して明らかになったのは、参政党がかつての支持者や関係者を“敵”として扱う体質だ。
党の体面を守るためなら、かつての仲間にも訴訟を起こす。
平岡氏の死を「外部の攻撃のせい」にすり替え、責任を他人に押しつける。
そうした構造が繰り返されている。

参政党を信じて尽くした人たちが、次々と排除され、今では裁判所に立たされている。
本件は単なる民事訴訟ではなく、“権力と個人の力の非対称性”を象徴する事件である。


今後の予定

筆者は今後もこの裁判を継続的に取材・報告する予定だ。
また、政治資金規正法違反に関する別件告発も進行中であり、参政党をめぐる“法の裁き”はこれからが本番である。

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