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Conversation

『昔話(リトルウィッチ編)』 さらに1年くらい後、たしか27歳。僕は貯まった貯金をはたいて、当時の友人と一緒に念願のゲーム会社「リトルウィッチ」を作りました。1000万もあればなんとかなるだろうと思って始めましたが今考えるとあまりに甘い見積もりで、2年後には1億近い借金がありました。 そんな中で「白詰草話」が出来ました。 シナリオは僕が全部書く予定でしたが、最終的には間に合わず、いろんな人の手を借りて帳尻を合わせることに。締め切りを守る、ペースを出す能力がありませんでした。 開発進行も非常に非効率的で、現場のスタッフの才能だけでなんとか完成したようなゲームです。 ゲームシステムも流行の一般的ADVではなく、FFDという新しい演出エンジンを作っての処女作。アニメOPも作りました。賭けでした。そして勝ちとも負けとも言えない微妙な結果となりました。売り上げはちょうど借金を払えるほどの金額。 会社を回すならここからさらに借金していかなければなりませんでした。 僕は最終的に会社を回すほうにさらに賭け、以後「Quartett!!」「魔法少女学リトルウィッチロマネスク」などを出して行きます。 同人活動もやめて専念しました。 僕のメンタルは削られていきました。数字を出さなければ業界では生き残れないのですが、数字を出す為には自分の好き勝手なことは出来ない。しかしそれなら何のために会社を作ったのか。 いつも帳簿は炎上していました。会社の口座には酷いときは2桁万円しかありませんでした。 そして致命的なことを悟りました。それは「僕の絵は一般メジャー向けではない」ということ。僕は苦しみながら意識的に絵の幅を広げていきました。 手を変え品を変え、いろんな手法を試しましたが、それこそが悪手でした。売れているブランドは同じイメージの作品を同じように作り続けることが上手いブランドだったのです。 ラーメン屋はずっとラーメンを作るべきで、カレー屋はカレーを作り続けるべき。多国籍風の創作料理で毎回違うものを提供してはいけないのです。 まさに自転車操業の8年。30半ばにして僕は「シュガーコートフリークス」をもってリトルウィッチを無期限休止にしました。 その後「天狐」というブランド設立に協力します。天狐は「英雄*戦姫」というゲームを作るためだけのブランドでした。「英雄*戦姫WW」は2025年の今でもオフライン版を作っており、10年以上制作が動いている息の長いゲームになっています。 僕はその裏で「少女騎士団」というサークルで同人活動を復活させ、オタクとしての感覚を取り戻していきました。「好きなキャラクターをもっとかわいく描きたい」という単純な思考サイクルはなかなか素晴らしい癒し効果があります。 このサークルでは13年、本を出し続けました。そしてつい数年前の2022年、コミケに出るのをやめました。理由は情けないのですが締め切りのプレッシャーです。 おかげ様で今はかなり自由に好き勝手に創作活動が出来ています。時代は変わり、創作環境も変わり、人の好みも変わったなと思います。今昔の僕の絵をそのまま出しても当時ほどには「異端」だとは言われないでしょう。 いろんなことをやってきましたが、過去のどの作品を見ても作りたいものはずっとあんまり変わってないな…と思います。「かわいい女の子はこうあって欲しい」という魂の根っこはずっと同じです。 (おしまい)