丸尾氏のこの投稿は「弁護士と相談してみます」との表現を行っており、丸尾氏が引用した投稿のアカウントを有する者(アカウント名「」)が、荻津の投稿のスクリーンショットを添付し、当該表現を一読した上で、「これはアウトではないでしょうか?」と意見を述べているものに対して「弁護士に相談しなければならないような法的問題が生じる、違法性のある投稿」と読むことができる。
丸尾氏が引用した上記アカウントの投稿は、荻津の投稿内容が、当該表現によって丸尾氏の名誉権ないし名誉感情を侵害する内容を投稿したと認識し、丸尾氏のアカウントに対して「メンション」(特定のユーザーのアカウントを表記することで、当該アカウントのユーザーに通知される機能)をしてこれを告知していることとなる。
引用元投稿の表現は「これはアウトではないでしょうか?」という表現で、かかる前提事実について自身の意見を表明したことに過ぎないが、丸尾氏は、当該意見について応じる形で「弁護士と相談してみます」との投稿を行ったものであり、かかる表現を一般閲読者の普通の注意と読み方を基準としてみれば、「荻津は丸尾氏の人格権を侵害する違法な投稿をする人物である」と評価されるものといえる。
また、当該投稿は、引用元投稿の「これはアウトではないでしょうか?」との表現と相まって、黙示的に「弁護士に相談し法的措置を検討しなければならないものであり、荻津の投稿は丸尾氏の人格権を侵害するものである」と評価されることが窺える表現である。
本件引用元投稿が投稿に添付した荻津の投稿は、丸尾氏が代表を務める「丸尾まきと暮らしのネットワーク尼崎」の政治資金収支報告書に不審な点があるとして指摘しているものであるところ、荻津が指摘している部分については、証拠等をもってその存否を決することができるものであり、事実摘示が真実であれば違法性が阻却され、他の部分についての意見論評については、その前提事実の重要な部分が真実であり、表現内容が人身攻撃に至らない場合においては、名誉権侵害となりえない。
しかしながら、刑法第230条の名誉棄損罪については、事実摘示の場合には同条によって処断されるところ、その事実摘示が真実であるかどうかにかかわらず、名誉毀損罪に該当するとされており、丸尾氏の表現行為は、荻津が「名誉毀損罪」を犯していることを窺わせるものであり、「荻津は犯罪者」との認識を与えるものである。
ところで、前述した通り、丸尾氏は、政治団体「丸尾まきと暮らしのネットワーク尼崎」の代表であり、それだけでなく、当該政治団体の会計責任者も兼務しているのであるから、政治団体の会計、その他政治団体の重要な部分について、当該政治団体の提出した政治資金収支報告書等の関係書類に対して、社会通念に照らして著しく合理性を欠く内容であると客観的に判断できる場合には、当該政治団体の収支報告書等を精査したものから、「問題がある」という評価をされる可能性があることを当然に認識していたといわざるを得ない。
なお、当該年度の収支報告書を端緒に、丸尾氏は、公職選挙法違反の被疑事実があると思料できるとして、刑事告発を受けた過去があり、これについては公知の事実である。
以上に照らせば、丸尾氏は、丸尾氏のおこなった引用投稿の前提事実である荻津の投稿の内容が真実であるかについて、当然に知りうる立場であったものであり、これらを隠蔽、隠匿する趣旨、もしくは、これら問題になる部分の指摘を免れる目的でこのような表現に及んだのであれば、名誉権侵害の違法性阻却事由の一つである公益目的性が否定されるものといえる。
そうすると、当該投稿によって荻津の名誉権を侵害したことは明らかで、違法性阻却事由のうち「公益目的性」を欠缺しているのであるから、違法性阻却事由は成立しない。
従って、丸尾氏は、本件投稿によって荻津の名誉権を侵害する違法な投稿を行い、不法行為となることは明らかである。
って俺に言われるよ?