──現状では、どのような対応がされているのですか。 

 学校や自治体にもよるのでしょうが、加害してしまった児童・生徒に対する体系的な教育はほとんど行われていないのが実情だと思います。以前、現役の教員の方から「加害児童に対する教育がまったくないことにショックを受けた」という話も聞きました。 

──万が一、わが子が性加害をしてしまった場合は、保護者が自主的にカウンセリングなどに連れていくしかないかもしれませんね。 

 その場合も、「ここに行けばいい」という相談先の体制が十分ではないし、情報も少ないですよね。子どもの加害を直視し、なんとか加害行為に向き合わせなければと真剣に考える保護者であればあるほど、「どうすればいいのか」と悩まれるようです。 

 ただでさえ、「自分の子どもが性加害をした」ことを認めるのは、他の非行・犯罪と比べても心理的ハードルが高いでしょう。性加害をした子どもについて、今後どうすれば再犯をしないように生きていけるのか、どう反省を深められるのかについて相談できる場を求めて苦しんだ親御さんの声を聞いたことがあり、切実だと思いました。

 もちろん、少年鑑別所に送られるようなことになれば、そこで専門家による働きかけは受けられるかもしれません。でもそれでは不十分です。それに、今は、特に荒れた生活をしているわけでもなく非行歴もないような、本当に「普通の子ども」たちがとてもカジュアルに盗撮などの性加害をしてしまうことが深刻な実情だと思います。 

 裁判所や鑑別所が対応することになる事案は、子どもによる性加害のうちのごく一部です。もっと当たり前の対応として、性加害をしてしまった子どもが自らの行為の意味をよく理解し、二度と繰り返さないように育っていくための教育の場を社会は用意すべきだと思います。そもそも、性加害を未然に防ぐためにも、包括的性教育を公教育の中に1日でも早く導入してほしいですね。 

(取材・文/仲藤里美) 

「特別なのはお前だけ」恋愛に見せかけた教師による性加害――保健室で明かされる被害の一端をマンガ家が描いた
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