「みんなで大家さん」集団訴訟、参加者は1000人超に 過去最大規模に発展も
不動産投資ファンド「みんなで大家さん」を巡り、出資金の返還を求める大規模な集団訴訟の動きが本格化している。被害対策弁護団を組織するリンク総合法律事務所によると、10月15日を締切とする第1次の集団訴訟には少なくとも1000人を超える投資家が参加の意向を示した。請求額は100億円規模に達する見通しで、11月上旬にも提訴に踏み切る方針だ。 弁護団では第2次訴訟の準備も進めており、11月以降に投資家向けの説明会を開催する方針だ。同事務所の小幡歩弁護士によると、過去の大規模消費者被害を巡る裁判では、出資者全体のうち2割程度が集団訴訟に参加するケースが多いという。「みんなで大家さん」に当てはめれば、最終的な参加人数は8000人と、同様の事例において過去最大規模の集団訴訟に発展する可能性もある。 「みんなで大家さん」は、不動産特定共同事業法に基づく小口投資商品で、共生バンクのグループ会社である都市綜研インベストファンド(大阪市)が運用主体となっている。全国の投資家約4万人から約2000億円を集めてきたが、約束の配当が3カ月も支払われておらず、運用期限を迎えたファンドの償還についてもめどがたっていない。 小幡氏は「時間が経つほど出資金の回収が難しくなる。いち早く勝訴を勝ち取り、相手方の資産を押さえることが重要だ」と提訴の狙いを語る。
解約希望者は8000人超、会社は返金に応じず
運営元である共生バンク(東京・千代田)グループの資金枯渇を理由とした、7月末の配当金遅延を契機に、同事務所には投資家からの相談が相次いでいる。9月17日には小幡弁護士らを代理人として、投資家5人が大阪地裁に計約6000万円の出資金の返還を求めて訴訟を提起。同19日には集団訴訟を視野に被害対策弁護団が発足した。これらの訴訟以外にも、多数の投資家が個別に出資金返還を求めた訴えを起こしている。 なお、共生バンク側は9月末になって唐突に「第三者譲渡契約」と称する新たな取引スキームを投資家に提示した。グループ各社を監督する大阪府と東京都は情報開示の不備を問題視し、10月10日に行政指導を実施。これを受けた運営側は10月15日を予定していた契約者の募集を延期している。 2024年6月に下された行政処分の是非を巡って、大阪府と共生バンク側が争っている訴訟の記録によると、25年4月までに約8200人から総額452億円相当の解約請求があったという。運営会社はウェブサイトで解約申し込みを受け付けているものの、その後の手続きに必要な契約書の発送を遅らせており、24年7月初旬以降の申し込みに関しては事実上返金に応じていない。
小野 悠史、佐藤 斗夢、本間 純