被告人前田記宏に係る令和6年刑(わ)2494号窃盗事件が窃盗に当たらないことを論じる

 

   警察は被告人が交番からパネルを持って行ったことを批難する上、本件のパネルは3500円の安物で一見ただの板のように見えますが一般市民と警察を結ぶ重要な導線でありこれがなくなることにより一時的にでも市民が迷われることを防止するなどしているからこれを持っていくことは交番機能を損害するとともに権力への挑戦でもあるとし厳しい非難が必要などとする。

  しかしながら、令和6年8月1日に、一件記録からするとむしろ被告人がみずからそのような状況を作り出し、その後に窃取しているものであるから、被告人はこれが窃盗にあたるとも理解できないで持って行ったことは容易に推認できる。

  次に3500円のパネルが交番からなくなったとて社会全体の統制に影響が出るとは思われない。3500円は被疑者が任意に支払えば済むようなもので本件が懲役1年に値するとは解し難い。

  裁判所は、種々理由を述べて、そのような理論は通らないようにいうが、被告人側からすれば、懲役1年の有罪判決が確定している以上、現時点で、この判決を覆す必要性がある。したがって、被告人が現時点でこの裁判について論じる必要性がないというのは理由がない。

 被告人は常日頃から警察に捕まることを恐れ、逃げ回っているのであるから、防犯カメラがあることくらい容易に理解できるであろう被告人が、わざわざ交番に立ち入ってパネルを持っていく動機が理解困難と言わざるを得ない。

  それ以外の理由についてはおって詳述するが、いずれにしても、懲役1年に結論は是認できない。

 

                               以上