母子確執の末に…山上徹也被告、我慢の限界の先にあった「けじめ」
毎日新聞
2025/10/19 07:00(最終更新 10/19 10:00)
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大阪拘置所に届く、母から子へ宛てた手書きの手紙にはこうあった。親として責任を感じています――。
数枚の便箋に淡々と。子の近況を伺い、表面的に謝ってはいるが、核心には踏み込んでいない。そんな内容だったという。
2022年7月8日に安倍晋三元首相が凶弾に倒れた事件を起こしたとされる山上徹也被告(45)は、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に心酔する母の下で育った。
動機として教団に対する恨みを挙げているとされるが、安倍氏を狙う理由になり得るのか、不明な点も多い。
事件から3年余り。取材を通じて浮かび上がってきたのは、母親に対する愛憎の感情に揺さぶられながら、怒りをため込んでいく被告の姿だった。母子の屈折した関係を抜きに事件の背景を説明することは難しい。
「オレも母子家庭だった。ただし貧困ではない。むしろ裕福だった」(19年12月7日、山上被告のツイッター=現X=から)
小さい頃から「お母さん子」
山上被告は1980年、3人兄妹の次男として生まれ、奈良県で育った。両親は名門の国公立大学を卒業。父親は建設会社の役員を務め、母親は資産家の娘だった。
母親は子どもたちに愛情を注いだ。自宅の庭でキャッチボールをして遊ぶ子どもたちの姿を、にこにこと見守る母親の姿が目撃されている。優しく、穏やかで、被告も小さい頃から「お母さん子」だったようだ。
ただ、山上家は不穏な空気に覆われつつあった。一族の精神的支柱だった被告の祖母が…
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