第10話

第一章「逃げ惑う命」第四話 託された者
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2024/07/11 19:15 更新
岡田ユウ
あ...あぁ...!!
ルミ先生が喰われた...目の前で...!
確かに...喰われた.....?
岡田ユウ
あぁぁ...!!
俺が...何もしなかったから...
俺の決断が遅かったから......
俺は...何をしているんだ......
岡田ユウ
何もせず、無責任に子供達を危険な間に合わそうとしているのか......?
岡田ユウ
俺は......
ゾーヤ
───センセイッ!!
岡田ユウ
───ッ!?
岡田はゾーヤに呼ばれ、咄嗟に我に帰った。
ゾーヤ
避けて...!そこにいたらセンセイまで...!
岡田ユウ
...そ、そうだね...!!
...そうだ、これはまだ鬼ごっこ中なんだ...
今は鬼ごっこに気をつけなきゃ......!
[ガルルルッ...!]
ハヤテ
くそ...っ!いつの間に3階に移動してたんだ...!
ライム
る、ルミちゃんは...食べられちゃったんでちか...?
ライオン
...っ!
...確かに、ルミ先生は私達の目の前で食べられた。
でも、そんな話は現実的にあり得るのだろうか?
ライオン
っ...
ライオンはライムにどう伝えればいいのかわからないまま、ライムの手を引っ張って走り続ける。
ダイゴロウ
いやだぁぁあ!こわいよぉぉお!!
ダイゴロウは恐怖のあまりに足が動かない。
ハヤテ
...っば、馬鹿!
ハヤテは咄嗟にダイゴロウの手を掴んだ。
間一髪で逃げ切れたが、ダイゴロウは泣きじゃくっている。
ユズリハ
ここにいるのも時間の問題ね...っ!
マドカ
お助けアイテムがあればいいのですが...
マドカ
今は3階から離れる以外に方法はないですね...!
ハヤテ
(この通路は一直線...スピード的にあいつの方が早いから追いつかれる可能性が高い...)
ハヤテ
...くそっ!全員2階に降りるぞ!!
ライオン
は、はいっ!
マドカ
ひえぇぇぇぇぇ...!
岡田ユウ
...もう来てないか...?
ゾーヤ
...あいつ、ワープしてるのかも。
岡田ユウ
え...?
アキ
わ、ワープ?
ゾーヤ
...さっきまで一階にいたのに、いつの間にか三階に移動してた。
ゾーヤ
階段を使おうとしても、あいつは大きくて入れない...
ゾーヤ
だから、三階にワープしたんだと思う。
ダイヤ
〜!?
カナタ
...?
カナタ
ね、ねぇ...なんか揺れが強くなってない...?
マモル
ま、まさか...
マモル
二階にワープしてきたってことですか...?
[グルワァァァア!!!]
岡田ユウ
っ!?
岡田ユウ
み、みんな隠れて!!
岡田の指示に従い、子供達は物陰に隠れた。
岡田ユウ
(くそっ...ワープしてるとしたら、迂闊に動けない上に子供達の安全が確認できないじゃないか...!)
ユリ
ユリ
残り5分だよ〜!あと半分の時間、鬼ごっこを満喫してね〜!
岡田ユウ
まだあと半分もあるのか...
だが、このまま耐えればいずれかはワープする...!
あとせめての辛抱...耐え切れ!!!
岡田ユウ
...っ!
あれはお助けアイテム...!
岡田ユウ
...でも、取りに行けない...!
あいつが廊下を往復しているせいで移動ができない...
...いや、待てよ?
むしろ逆じゃないか...?往復しているなら、いずれはタイミングを掴めるし、その間に行動できる...
...そうだ、見極めろ。
まだ行く時じゃない...
まだだ...まだ...
...っ今だ!!!
岡田ユウ
っ!!!
リンリン
っユウ先生!?
よしっ...!アイテムを取った!!!
岡田ユウ
...これは...ボール?
ユリ
ユリ
それはハナの大好きなおもちゃだよ。
岡田ユウ
うわぁ!?
ユリ
ユリ
あはは、びっくりした?
な、なんなんだこの子...神出鬼没にもほどがある...
ユリ
ユリ
それを投げたらハナが追いかけてくるから、よく考えて使ってね!
ユリ
ユリ
じゃあ、私はこれくらいで。
岡田ユウ
ま、まて!!
岡田ユウ
...ルミ先生は...どうなったんだ...
岡田は思わず質問した。
目の前で喰われてしまったのは岡田でも見たと言うのに。
岡田は現実を受け入れられていないのだ。
ユリ
ユリ
ルミちゃんは...私の友達になっただけだよ?
岡田ユウ
と、友達...?
岡田ユウ
一体どういうことなんだ...
ユリ
ユリ
...あ、そうだ!これ...ルミちゃんの。
岡田ユウ
っ!?
ユリは、血のついたルミ先生のネックストラップを岡田に渡した。
岡田ユウ
...っ!!
岡田は全てを察した。
これは夢ではないこと、自分の置かれている状況のこと、そして...
 ──ルミ先生はもういないことを。
岡田ユウ
...はぁ...!はぁ...っ!
岡田の息が荒れる。
岡田は感じていた、知人の死を。
死がこんなにも恐ろしいことなんだと、岡田は感じた。
岡田ユウ
...死にたく...ない......
岡田ユウ
オレは...あ、ぁぁあ...
岡田ユウ
嫌だ...嫌だ嫌だ嫌だ...!
岡田ユウ
俺は...
 
 
 
 
 
ルミ先生
─子供達を、頼みましたよ。
岡田ユウ
...っ!
ルミ先生はあの時確かに岡田にそう言った。
ルミ先生は、託そうとしているのだ。
子供達の安全を、岡田に託そうとしているのだ。
ルミ先生は信じているのだ、岡田ユウを。
岡田ユウ
ルミ先生...
そうだ、俺は保育士だ。
ルミ先生がいない今、子供達は誰が守るんだ?
それは、託された者だ。
ルミ先生の託したこの命は...
岡田ユウ
─無駄にできないっ...!
岡田は正気を取り戻した。
岡田ユウ
このボールをどこに投げればいいのかな...
岡田ユウ
...っ!
岡田ユウ
あれだ...っ!
岡田は廊下の先にあるエレベーターを見つけた。
エレベーターはちょうどドアが空いており、ボールを投げてでも入れられそうな距離だ。
岡田ユウ
...っやるしかない...
岡田ユウ
託された者の最初の一歩だ...!
岡田ユウ
...今だ!
岡田はボールを投げた。
予想は的中、ハナはエレベーターに突っ込んで行った。
岡田ユウ
よし、みんな!今のうちに逃げよう!!
マモル
は、はい!!!
リンリン
行こう!
ゾーヤ
そうだね...!
カナタ
今がチャンス...
ダイヤ
〜!!
アキ
早く逃げなきゃ...!
岡田ユウ
...ここからどこに逃げれば...
...これ以外に手段はないか...
岡田ユウ
...別々に逃げよう。
アキ
え?
岡田ユウ
全員で一斉に逃げても、おそらく危険だ。
岡田ユウ
だからこうしよう!
岡田ユウ
二階にユウ先生は残るから、みんなは一階と三階に3人3人で別れよう!
ゾーヤ
で、でもそれだとセンセイが...
岡田ユウ
ユウ先生は大丈夫だから...
岡田ユウ
ユウ先生が囮になってなんとか引きつけて見せる...!
アキ
...っ
リンリン
ゆ、ユウ先生...絶対に食べられないでね...
岡田ユウ
もちろんだよ、約束するよ。
リンリン
ぜ、絶対だよ...?
マモル
...行きましょう。
アキ
じゃ、じゃあワタシ達は一階に...!
ダイヤ
〜!!
カナタ
そうだね...
ゾーヤ
...
岡田ユウ
ゾーヤ...?早く行かなきゃ...!
ゾーヤ
...ボクも、センセイといるよ。
岡田ユウ
...っ!それはダメだ!ゾーヤには危険すぎる...
ゾーヤ
...センセイを一人にしたくないから。
岡田ユウ
...ゾーヤ...
岡田ユウ
...
岡田はゾーヤの手を握る。
岡田ユウ
...絶対にその手を離さないでね。
ゾーヤ
...うん。
作者
投稿が遅れてすみませんでした...!
作者
ここ最近ずっと多忙で書く暇がないんですよ...
作者
なるべくこれから更新するようにしていこうと頑張りますんでよろしくお願いします!

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