気づいてるか?
今回のワークライフバランス論争、経営者たちが「俺たちもハードワークしよう」と言っているが、彼らは決して「ハードワークしたいなら起業しろ」とは言わない。
なぜ言わないのかというと、それを言ってしまえば、優秀な人材が会社を出ていってしまうからだ。
経営者が「一緒に頑張ろう」と言うとき、確かにその熱量は本物かもしれない。でも、経営者と社員ではその“目的”と“リターン”の構造は根本的に違う。
経営者のハードワークは、自分の資産を増やすための行為。社員のハードワークは、お金を対価に、他人の資産を支えるための行為。これが資本主義の真理だ。だから同じ熱量でも、所有者が違えば意味が変わる。
つまり、今回のワークライフバランス論争、キーワードは「時間」ではなく「所有」だ。
自分の人生の時間を、誰の目的のために仕事として差し出しているのか。これを考えるきっかけにするべきだ。
会社員としてのハードワークは往々にして“他人の成果”の一部になる。もちろんそれが悪いわけじゃないし、ストックオプションなどで株主になっているのであれば少し話は変わる。チームでしか成し遂げられないこともある。
だからもし会社や組織のためにハードワークする意味を見出せているなら全然いい。それは最高に幸せなことだ。
しかし、“誰のために”が曖昧なまま働き続けると、どれだけ成果を出しても、どれだけ感謝されても、心のどこかに「自分の人生を生きていない感覚」が残る。
何に没頭するか、どこに時間を投資するか。それを自分で選べればワークライフバランスなんて言葉に縛られることはない。その哲学が自分の中にないからハードワークという言葉に過敏に反応してしまうのだ。
ハードワークを語る前に、まず“誰のために没頭したいのか”を決めよう。
それが決まればバランスなんて勝手に整う。
Don’t Work!