日本の歴史ある寺社が中国人の「BBQ会場」にされている…跡継ぎなき宗教法人を狙う外国人の「本当の目的」
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■見知らぬ中国人が「あの寺を買いました」 こうした中、この寺と同じ宗派に属し、別の寺で住職を務める男性に、ようやく話を聞くチャンスを得た。この男性は、中国人が買い取った寺の宗教法人の解散手続きにも関わったという。男性の話をまとめるとこうだ。 亡くなった住職の遺族は、寺の宗教法人解散後、私有財産となった寺の建物と土地を地元の自治会に寄付しようと考えた。だが、寺の維持管理には多くの費用がかかると判断され、結局、寄付は実現しなかった。 そうした中、ある日突然、「見知らぬ中国人の方が私の寺を訪れ、『あの寺を買いました』と、あいさつに来たのです」と、男性は振り返る。さらに「本堂にはまだ仏具などが残っていますが、本来はすべて京都にある本山に返却すべきもの。ですが、その中国人の方が『(仏具を含め)全体を買い取った』と言い張り、返却については、まだ先が見えない状態が続いているのです」と言って、男性は頭を抱えた。 ■SNS上で転売まで示唆されている 記者がこの寺を見つけたきっかけは、中国で人気のSNS「小紅書(RED)」による、こんな投稿だった。 「寺院物件販売中! 兵庫県宍粟市という美しい街にあり、100年以上の伝統を誇る、寺の物件をご紹介いたします。敷地面積は約1000平方メートル。この寺は、美しい建築様式に加え、本堂、鐘楼、薬師堂など複数の特徴的な建物を備えています。物件には、寝室6部屋、リビングルーム2部屋、キッチン一つ、茶室、そして5台分の駐車場も完備しています」 この投稿を見た時、記者はもう唖然とするしかなかった。あろうことか、投稿にはドローンで撮影したとみられる空撮映像まで掲載される手の込みようだった。記者はその写真を手がかりに、建物の形状や周辺の景観から、実際の寺と場所を特定するに至った。 そして、さらにここに来て、寺は新たな局面を迎えている。SNS上で転売が示唆されているのだ。「全くこれから先、この寺は本当にどうなってしまうのだろうか」。寺の近隣に住む元門徒のある男性はそう不安げに言って、唇をかみしめた。
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