スリランカ人の難民認定と在留資格求める控訴を棄却 なぜ「家族」の実態認めないのか
「本件訴訟をいずれも棄却する」 8月26日。東京高裁101号法廷での萩本修裁判長の判決読み上げに、ほぼ満席の傍聴席から「人権守れ!」との声が飛んだ。 【写真】週刊金曜日写真ギャラリー スリランカ人男性ナビーンさんと日本人のなおみさんは2016年に結婚。出入国在留管理庁も「実態のある結婚だ」と認めており、偽装結婚ではない。だがナビーンさんが過去2回求めた難民認定と在留特別許可はいずれも不認定。就労できない仮放免の状態に置かれている。このため不利益を被ったとして夫婦で不認定取り消しを求めたが、24年12月の東京地裁に続いての敗訴となった。 ナビーンさんはスリランカで父の政治活動を手伝ったことで敵対政党に襲撃され、日本語学校への留学生として04年に来日。その後、仲介業者に授業料をだまし取られ通学できなくなり、ビザの失効後は非正規滞在を余儀なくされた。しかし今回の判決は、敵対政党による迫害があってもスリランカ国はナビーンさんを保護する意思があると「推認」されるため「難民には該当しない」と結論づけた。判決後の記者会見でナビーンさんは「実態を見ていない判決。帰国すれば危険にさらされるのに」と落胆を隠さなかった。 数カ月おきの仮放免更新手続きで入管職員は「実子がいれば(在留資格が出るかも)」と説明する。だがナビーンさんはなおみさんの母と、なおみさんの前夫との間に生まれた子どもたちと平穏に暮らしている。この「家族」を、なぜ入管も裁判所も認めないのか。
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