大阪・関西万博が13日に閉会する。万博協会のサイトによれば、4日現在の累計来場者数は2682万8409人、3日現在の累計チケット販売数が2206万7054枚と、運営費の採算ラインとされた来場者数2200万人、販売数1800万枚を超えた。

 筆者も5月28~30日、3日連続で万博を訪れた。初日は大屋根リングを1周、2日目は西ゲートと東ゲートを往復し、入場予約のないコモンズ館(複数の国・地域の共同出展)を中心にパビリオンを回り、3日目は飛び込みで何カ国かのパビリオンと夜の水上ショーを満喫した。

 実際に行ってみると、多くの老若男女の日本人・外国人がいて驚いた。その当時から万博は黒字化すると予想しており、その通りとなった。

 筆者は開催前から、万博の意義を書いてきた。そこでは、万博の会場建設や運営による経済波及効果を2・9兆円と見込み、国内産業の活性化につながるとした。この経済効果は、ノーベル賞をとった産業連関分析によるので手堅い。

 経済効果が出ているのは、大阪府の国内総生産(GDP)の推移をみれば一目瞭然だ。

 最近10年間をみると、2012~20年度まで大阪のGDPの伸びは全国を0・4%下回っていたが、21、22年度は逆に1・4%上回っている。公共事業で1・8%アップとすれば、大阪府の名目GDPは43兆円なので、府内の経済効果は1・6兆円となる。

 いずれにしても、経済効果に関する万博への批判は、万博自体の好調な入場者数が明らかになって急速に少なくなった。見通しを外した人は今、息を潜めている。

 万博は、湾岸の最後のフロンティアといわれる夢(ゆめ)洲(しま)の有効活用策である。14年当時、橋下徹大阪市長と松井一郎大阪府知事の提唱が始まりだった。同時に統合型リゾート(IR)の候補地としても夢洲を推している。このまま夢洲を「負の遺産」として維持するのか、誘致活動のコストをかけても再生、活用するかの究極の選択であり、維新コンビは後者を選んだ。

 西ゲートから入場すると分かるが、夢洲の南が万博、北がIR用地となっている。そこで、壮大な公共事業が行われている。

 万博は、IRに向けた官民投資の序曲にすぎない。この意味で、筆者はこれまで万博自体の収支はささいな問題であると喝破しており、本質は夢洲の開発プロジェクトだ。万博は最終盤であるが、夢洲の開発プロジェクトの序曲だ。それは上々のスタートを切った。

(たかはし・よういち=嘉悦大教授)

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