主を失った狼、透き通る世界に行き着く   作:けんどーさん

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こんにちはけんどーです

以下に感謝を
真のノルド様!評価9ありがとうございます!ツバス000様!評価7ありがとうございます!

それでは、どうぞ


廃墟からの帰り道、そして少女は知ってしまう(今は未だ、知るべきでない事)

〜ミレニアム、廃墟〜

 

ドカァァァァン!ズガァァン!ダダダダ!と爆発音と銃声が響く

 

「ちょっと!?あれってゴリアテじゃない!?」「……またあの絡繰りか…」

 

“ユズ!そろそろ正面から増援が来るから、グレネードで吹き飛ばして!”

 

「は、はい!」「ゴリアテがこっち狙ってる!伏せて!」

 

ババババ!とガトリングの銃声が響く中、一行はなんとか廃墟の建物の中へ滑り込む

 

「……あれは…とてもでは無いが…到底弾けぬ」「先生、スーパーノヴァの最後の一発を使用しますか?」

 

“いや、それはまだだ…なんか、こう…嫌な予感がする”「嫌な予感?どうしたの?先生」

 

“…なんか、うまく…言葉にできないけど…見られているような、そんな感じがするから、まだとっておきたいんだ”

 

「……予感には素直に従うべきだ…早めに逃げ出した方がいい」「なるほど…必殺技は最後まで取っておくのですね!分かりました!」

 

“ええっと…とりあえずモモイ、奥に出口があるけど、オートマタが待ち構えているだろうから撃ちまくってくれ”

 

「分かった!ちょっとまってね…よし!」

 

モモイが銃を再装填する

 

「先生…私達、無事に帰れるでしょうか…」”大丈夫”

 

先生が喋る

 

“生徒を無事に帰すことも、「先生」の役目だ。絶対に帰ろう”「……いざと言う時は…俺が殿を務めよう…」

 

ここで狼は考える。果て、一体どうして俺はこの子らにそこまで情けをかけられるのか、と

 

情でも移ったか、それとも九郎様ならきっと助けるだろうとでも、無意識に考えていたのだろうか…

 

その時、狼は何かが近づいて来るのを感じる

 

「……隠れていろ…絡繰り兵だ…」”分かった。みんな、こっち側に”

 

狼が壁に張り付き、敵から見えぬように覗き見る

 

すると、5体のオートマタがこちら側へ来るのが見える

 

「……はっ」

 

オートマタが来る直前、一体を引きずりこみ、刀で首をザシュ、と斬る

 

思ったよりも刃が通り、オートマタの首が落ちる。残り4体

 

「■■■!」「……」

 

一体が追いかけるように来たところを手裏剣を投げ、追い斬りを放ち、致命傷を負ったオートマタは倒れる

 

残り3体。狼を確認した先頭にいるオートマタが狼に照準を合わせ、引き金を引こうとする

 

「…遅い」「■■■!」

 

それより早く狼が手裏剣を放った後手に持っていたシャドウファングを撃つ

 

バン!と放たれた44-40弾がオートマタの頭部を破壊する。残り2体

 

「■■!」「■■■」

 

オートマタが二体、同時に狼を狙う。しかし…

 

ズダン!ズダン!と仕込み短銃、散弾式が2回火を吹く

 

「■■■!?」「■■■■■!」

 

火に怯んだオートマタをスピンコックで装填したシャドウファングで打ち抜く。残り一体

 

「■■……?」

 

オートマタがハッ、と気づいたかのように前方を見る。が……

 

「……絡繰りが…まるで人のように怯む、か…」「■■■!?」

 

いつのまにか背後に回っていた狼が背後から刀を突き刺す

 

その様子はまるで、かつての平田屋敷で不意打ちを食らった時のように、胸に刀を突き刺していた

 

オートマタが最後の抵抗と言わんばかりに銃を後ろへ向けようとする。が…

 

「……御免」

 

狼は刀を抜く。そして一閃

 

オートマタの首と胴は泣き別れになった

 

「…おお!すごい!まるでゲームのワンシーンみたいだった!」「…凄かった…」

 

「狼はすごいです!凄腕の暗殺者みたいでした!」「……ねえ、狼さん」

 

「……なんだ」「そ、その…聞きたいんですけど…」

 

ユズが喋る

 

「……狼さんって…もしかして…忍び?」「…………」

 

狼が口を開く

 

「…………………言えぬ」「……それはもう、肯定してるのではないのですか?」「ミドリ、それ言っちゃダメでしょ」

 

「おお!狼は忍びなのですね!ドーモ。狼=サン!勇者アリスです!」「……?」

 

“……狼…ドンマイ!”「……」

 

なぜだろう、狼は目の前にいる大人に神隠しで驚かしてやろうか…と言う考えがよぎった

 

「つ、つまり…スマホとかゲームを知らなかったのも…忍びだから?」「……明かせぬ」

 

“あーみんな?これ以上ここにいると増援が来るから行こ?”「「「はーい」」」「は、はい!」

 

“狼、あそこの入り口に…スモーク投げて欲しい”「……何故、煙を?」

 

“揺動だよ、あそこに展開すればあそこから出て来ると敵が考えるからさ”「…承知」

 

狼がスモークグレネードを投げる

 

“よーし、みんなこっち!行くよ!”「…担がなくてよいのか?」

 

“も、もうそろそろ出口だから…”「……そうか」

 

一行は建物を出て,出口へ向かう

 

“よし、うまく行った見たいだね”「あはは!あいつらめっちゃバカじゃん!」

 

「……なんだろう、本当にあんなので上手く行くのかな…」”油断は禁物だね、みんな、周りを警戒して”

 

一行は少しづつ移動し始める

 

 

「……」

狼は考えた。敵は本当に気付いてないのか?本当に騙されているのか?

 

もしかしたら、陽動に気づいていて、罠を仕掛けているのでは?

 

 

その時

 

 

 

 

 

 

 

「!!」

 

狼が殺気を感じる

 

狼の直感が叫ぶ。危険だ、避けろと

 

しかし理性が告げる。妙だ、敵の姿が見えないと

 

そして狼はなぜか思い出した。昔どこかで感じた殺気を

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ああ、そうだ。落ち谷で遭遇したぬしの白蛇。それと似た殺気を

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

狼は真上を見る

 

すると、そこにはゴリアテとは別の機械が落下してきていた。しかし確実に()()は明確な殺意を持っていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

周りの景色がゆっくりと動く。そして狼は()()が落ちて行く先を見た

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして気づくと、自然と狼の身体は動いていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鉤縄をヒュパリと先生に巻きつける

 

“アロナ?どうし…ん?うわぁ!”

 

 

 

何も知らない先生は後ろへ飛ばされ、その反動を使い前へ出る。まずは1人

 

次に影に気づいて?を浮かべているモモイを蹴飛ばす。2人

 

上を見上げ固まっているミドリをユズが掴み、モモイの方へ逃げていた。どうやら狼よりは遅いが接近に気づいたらしい。何かを叫んでいるが、なぜか聞き取れない。4人

 

 

 

 

そして、狼は最後にこっちを見ているアリスを突き飛ばす

 

 

 

 

 

不意に、アリスと狼の目が合う

 

 

 

アリスは、何が起こっているのか分からないとでも言いたいような顔をしていた

 

当然だろう、真上からの襲撃なんて普通は考えないだろう、それにこの出来事は数秒とも言える時間だ、理解できないのも仕方ない

 

そんなことをなぜか考えた狼は、背中にズン!と衝撃を感じ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全て真っ暗になった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜先生視点〜

 

 

 

「先生!避けてください!」” アロナ?どうし…ん?うわぁ!”

 

アロナの声が聞こえた私は聞き返そうとした時、何かが体に巻きつき、後ろへ引っ張られた

 

見ると、狼が義手から鉤縄を出して前に飛んでいた。なぜか私の身体に巻きつけ飛んだらしい

 

そして、狼はモモイをいきなり蹴飛ばした

 

 

…どうして?何が?狼はなぜこんなことを?

 

先生の中で疑問が浮かぶ

 

しかし忘れてはいけないのが、周りに敵がいないとはいえ

 

 

 

 

 

 

ここは戦場であることを

 

 

 

 

 

 

そして疑問は迷いを呼ぶことがある

 

 

 

 

 

 

「…迷えば敗れる」

 

 

 

 

 

そんな聞きなれない誰かの声が聞こえた気がした時、聞きなれた声が聞こえて来る

 

 

「避けてぇ!」

 

 

 

悲鳴に似たその声を聞いた時、ハッと気づく

 

ナニカが、空から降ってきている事に

 

 

 

そして理解する。狼は助けてくれたのだ。アレの攻撃から、狼がその身を持ってして

 

 

狼がアリスを突き飛ばしたその時

 

 

ズガァァァァァァァァン!!

 

 

そしてグシャァ!とナニカが潰れる音とナニカ(ダメだ)が舞い

 

 

 

ビシャ!とアリスの顔に真っ赤なナニカ(ソレが何か理解してはダメだ)がつき

 

 

 

 

「……おお…かみ?」

 

 

ポツリ、とアリスが呟いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、そこには見慣れた義手が落ちていた






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