晴れ空と錆びた虹   作:うらしるちみん

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来週ヴァルプルギス来そうですね。管理人の皆さん、狂気のストックは用意できてますか?
私はかれこれ1ヶ月程ガチャ禁して、半天井分は確保しました...


2:閃光と剣のロマン

 

彼女らと俺は屋外のグラウンドへと移動した。

 

スーパーノヴァの砲撃は校舎の壁程度なら容易く破壊できてしまうため、防弾性にも優れたこの施設で試運転を行うことにしたらしい。

 

 

「先ほどの測定でドローンは処分し切ってしまったからね...マックスさん、すまないが光剣を上空に打ち上げてもらえるかな?」

 

「さっきの模擬戦ならともかく...ポンポン無駄遣いできるほど燃費良くねぇんだぞ?一応やるけど。」

 

次元鞄*1から予備のバッテリーを取り出す。

それを腕へ直接チャージして光剣を作り出すと同時に...

 

ファンの回転する音と共に、レールガンのチャージも進んでいく。

 

光剣を宙へふわりと放り投げた瞬間、小さき勇者はもうひとつの剣を天へ掲げ...

 

 

 

「光よ!!!」

 

 

 

 

 

ヴォンッ

 

 

 

 

眩い光線を、空の彼方まで撃ち放った。

的はあまりのエネルギーに耐えきれず、きらめく爆風と共に破裂した。

 

「出力、チャージ時間正常...違和感はない?」

 

「問題ありません、スーパーノヴァのHPは全回復しています!」

 

光剣が過負荷で潰れるまで、そう時間はかからなかった。

ロマンの一言で片付けるには惜しい、莫大な消費電力に見合った火力だ。

 

だが...それ以上に目を惹くものがあったのは言うまでもない。

 

 

天童アリス...彼女自身の戦闘スペック。

 

たった一度の砲撃、それだけで語るには充分だ。

あれだけの重量を持ち上げる膂力もさることながら、打ち上げるまでの姿勢に無駄が見られなかった。

アリスちゃんがスーパーノヴァを手にしたのはつい二週間ほど前のことだという。それにしては、扱いがあまりにも手慣れすぎている。

 

そして、射出時の姿勢。

足元が抉れるほどの負荷が加わっても、関節ひとつブラさずに撃ちきった。

 

やたら頑強な子揃いのキヴォトスにおいても、基礎能力という点では頭一つ抜けているだろう。

少なくとも、戦闘を主な機能として設計されている事は否めない。

 

 

 

「そういえば... マックスさんに依頼した要件はこれであらかた達成されましたね。今日はこれから帰られるのですか?」

 

「そうだな。置いてきた作業もあるし、この辺でお暇するか。」

 

エンジニア部の面子と向き合い、締めの挨拶を投げかけようとしたその時...

 

「アリス〜、点検終わった〜?そろそろ──」

「ちょっとお姉ちゃん、今行ったら──」

 

猫耳のヘッドホンをつけた、瓜二つの生徒二人。

もう一人の来客の方にも、迎えが来たようだ。

 

「あれ、そちらの人は?」

 

「こちらが噂のマックスさんです。

エンジニア部のドローンを1分で殲滅した、凄腕の前衛職です!」

 

「この人が噂の...!?」

 

「ホントにチーターみたいな強さじゃん!

話を聞きまくれば良いシナリオが書けs「今は我慢して。」ムググ...

 

...聞こえてないフリをしよう。

 

「たった今紹介に預かったマックスだ。ミレニアムの西部で工房をやってる。」

 

「こんにちは!ゲーム開発部の才羽モモイだよ!こっちが...」「妹のミドリです。アリスちゃんを迎えに来ました。」

 

アリスちゃんも所属として話していたゲーム開発部...ビデオゲーム、殊にレトロゲーに分類されるものに精通している部活だったか。

俺はボードゲームこそよく嗜むが、電子が描き出すタイプのゲームは専ら専門外。

それでも、開発者達の情熱が積み重なった結晶であることは疑いようがないだろうな。

 

「それより、アリス!『ロイコトミーコンツェルン』、プレイする約束だったでしょ?」

 

「その事もそうだけど...。長くなるなら連絡して。全然来ないからユズもソワソワしてたよ。」

 

「うぅ...ごめんなさい。スケジュール管理にエラーが発生してしまいました。

名残り惜しいですが、アリスはパーティより退出します...。騎士さん、またの機会にお会いしましょう!」

 

「その呼び名で定着すんのか...

ミドリちゃんの言った通り、あんま友達に心配かけんなよ?そんじゃあな!」

 

蛍光色の生徒達はこちらへ一礼して、足早にグラウンドを去っていった。

 

「さて、改めて締めの言葉だが...ミレニアム生という河童達に水練は不要だな。

先を駆ける者として大いに期待してる。これからも意味ある創造を続けてくれ。」

 

「言われずとも。私達のインスピレーションは留まる所を知らないからね。

技術交流に応じて頂いたことへ、部を代表して感謝するよ。」

 

「機会があれば、また来てほしい。マックスさんがいると、エンジニア部皆が活気づくから...」

 

こうして日常の隙間に生まれたささやかな時間は終わりを告げ...

斜陽と共に、帰路の後ろへと去っていった。

 


 

暗室にて、ひとつの影が孤独に佇む。

影の上にはワインレッドの蹄鉄が一対、そして完全な対称性の保たれた漆黒の環が浮かぶ。

 

その者の表情は、凪のごとく平静である。

胸の内もまた、波一つ立っていないと装うかのように。

 

 

 

 

──イーリス工房経営者、マックス・ポロコフ氏。

1ヶ月前、キヴォトス外の領域よりミレニアム自治区へと移住した男性...。

正式に工房の経営を開始して以来、指数関数的に業績を伸ばし始める。

現在は我が校も備品を主として該当企業より製品を購入している他、各部活との交流も盛んに行っている。

 

現在に至るまでは、ただ手腕の優れた新興事業者にすぎなかった。

...エンジニア部との交流行事にて、同氏の武力的な特異性が発覚するまでは。

 

調査の結果、イーリス工房そのものに軍需品を製造している痕跡は確認されなかった。

それ即ち、例の技術はポロコフ氏個人が所蔵するものであることを意味する。

 

彼はいずれ大きな変数になりうる。

その脅威性を正確に分析するには...現時点ではあまりにもデータが不足しているわね。

依然として対人戦の適性は未知数。まずはこちらのデータを収集する所から始めましょう。

戦闘のエキスパートを用意するのが合理的...()()()の出番ね。

 

 

生徒会長の名にかけて、計画は着実に遂行せねばならない。

彼が計画を揺るがしうるかどうか...その判断を早期より下さなければ。

 

*1
荷物を別次元に収納する鞄。現状、メカニズム等の詳細は不明。

都市要素が薄いですねぇ...

  • 他の都市民を転移させろ!
  • 翼の勢力をキヴォトスにも!
  • L社由来のアレコレを放つのです
  • 市民をねじれさせればおk
  • 語録差し込む程度でええんちゃう?
  • んなもん持ち込むなオイ。
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