山口大学が授業料20%引き上げ検討 決まれば地方国立大学では初、教職員有志は「白紙」求める
山口大(山口市)が授業料を現行の53万5800円から64万2960円へ10万7160円(20%)引き上げる検討を進めていることが分かった。2026年度に入学する新入生からの改定を予定している。値上げが決まれば、文部科学省令が国立大授業料の標準額を53万5800円と定めた05年度以降、大都市圏を除く地方の国立大では初となる。 同省令は授業料の上げ幅を標準額の20%以内と定めており、案は限度額いっぱいとなる。同大は、国からの運営費交付金が減り、物価高騰が続く中で教育、研究活動の充実を図るためだとしている。在学生や大学院博士後期課程は現行授業料のまま変わらない。 同大は9月25日、授業料改定の準備を進めているとの谷沢幸生学長名のメッセージをホームページ(HP)に掲載。関係者によると、今月下旬にも谷沢学長が記者会見を開いて検討結果を公表する見通し。今月27日まで、HP上のフォームで意見を募っている。 一方、同大の教職員有志は17日、来春に授業料を改定するスケジュールを白紙に戻し、学内外での対話などを設けるよう求める声明文を谷沢学長宛てに提出した。人文学部の桑畑洋一郎教授は「既に一部の入試では出願期間が終わっており、改定プロセスに問題がある。受験生や保護者との信頼を壊しかねない」としている。 文科省によると、05年度以降に東京大や千葉大などが授業料を標準額から約20%上げている。埼玉大と名古屋工業大は26年度の値上げを決めた。広島大は、越智光夫学長が昨年5月の記者会見で「2年以上前から検討している」と説明したが、引き上げは決まっていない。
中国新聞社