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【コラム】日本画家と南国 福岡市美術館特別展より<上>天と対話できる土地

2025/10/17 LINE はてなブックマーク facebook Twitter
和田三造「南洋風景」
(1919年、油彩・画布、北野美術館蔵)

 天を突く檳榔樹(びんろうじゅ)の並木。白い雲が青空にぽっかり浮かび、黒い影が赤土の道に落ちています。奥へと誘う道の両側にも、緑滴る熱帯の植物がさまざまに繁茂し、「南国」の熱い日差しを浴びています。

 和田三造(1883~1967)は福岡市の大名尋常小(後の大名小)を卒業後、1897年に県立中学修猷館(現修猷館高)に進学しますが、画家を志し、周囲の反対を押し切って退学。学校を飛び出したその足で上京した、という逸話が残っています。真偽は不明ですが、和田の豪胆な人間像が浮かびます。

 その後の和田は、文部省美術展覧会で最高賞を受けるなど華々しく活躍し、5年間のフランス留学も経験します。そして留学からの帰途、1914年に立ち寄ったインドと東南アジア(南洋)に魅せられ、2度にわたり合わせて3年ほど滞在しています。

 特に和田にとって南洋は、「天と直接対話のできる」土地でした。まっすぐに伸びる檳榔の木々を介して、天と人が交信するようなこの作品のイメージは、和田が南洋で得た自然観から生まれたものです。
(福岡市美術館・ラワンチャイクン寿子)

◇ ◇
 南国をテーマにした明治以降の日本画家の作品を集めた「珠玉の近代絵画『南国』を描く。」が福岡市美術館(福岡市中央区)で11月24日まで開かれている。同館の学芸員が注目する作品を3回にわたって紹介する。

=(10月17日付西日本新聞朝刊に掲載)=

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