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J/53  作者: 池金啓太
十七話「追い追われる先に」
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静希の朝

鏡花たちが警察署に到着する数時間前、朝七時頃に静希はオルビアに起こされて目を覚ましていた、丸一日行動していた疲れは少し残っているが、それでも一度睡眠を入れられたことで頭は随分とすっきりしていた


「おはようございますマスター、お加減はいかがですか?」


「あぁ・・・結構休めた・・・カエデさんは?」


「先程店の準備に、勝手ではありますが少々手伝わせていただきました」


オルビアなりの恩返しのつもりだったのだろうか、家の中と店は完全と言ってもいいほどにきれいに掃除されている、普段静希の家を毎日のように掃除しているため清掃の技術がかなり上がっているようだった


「悪いな、気を遣わせて・・・俺も起きるか」


布団を除けて立ち上がり体の調子を逐一確認する、筋肉痛はない、左腕の調子も悪くない、疲れはほんの少し残っているが行動に影響を及ぼすほどではない


「あら、おはよう、調子はどうかしら?」


「あ、おはようございます」


体の調子を確認しながらストレッチをしていると、様子を見に来たのかカエデがリビングに姿を現した、今日は短めのスカートにタートルネック、そして厚手の化粧という得も言われぬ様相をしている


何ともコメントに困る姿だが、恩人には違いない


「すいません、昨日はほとんどお礼もできず」


「いいのよ、オルビアちゃんがきっちり働いてくれたし、それよりもお風呂入ってきなさい、ちょっと匂うわよ?」


カエデの言葉に静希は自分の体の匂いを嗅ぐが、自分ではよくわからない


とはいえ警察に拘留されているから丸一日以上風呂に入っていない計算になる、動き回っているのに風呂に入らなければ、さすがに匂いもつくだろう


「ありがとうございます、いただきますね」


「はいはい、ちゃっちゃと綺麗になってきちゃいなさい、私はいろいろ準備しておくから」


カエデはそういってリビングから店の方へと戻っていく、静希は本当に申し訳なくなりながらオルビアに案内され風呂場へと向かい体の汚れを落とすことにした


シャワーで暖かい湯を体に当てると、芯まで温まるような錯覚に陥る、なにせこの季節の深夜に行動し続けていたのだ、そう思えてしまうのも無理もない話だ


「シズキ、今日はどうするの?」


「勝手にでてくるなっての・・・」


後ろから静希の首に腕を回して抱き着いてくるメフィを軽くたしなめながら静希はそれでも大きく抵抗はしなかった、むしろ自分の髪を洗わせるためにそのまま風呂場に居させることにした


「とりあえず今日は和田ってやつの情報集めと、夜にはまた実際に接触・・・昼間は外に出て、いろいろと見たいところがあるな」


「ふぅん、疲れてない?」


「まだ平気だ」


髪を泡立てながら僅かに心配しているのか、声音が優しくなる悪魔にそう答えると、静希は小さく息をつく


「あと、昨日手に入れた音声データは実月さんに送るつもりだ、万が一の保険として」


「保険って・・・そんなものかける必要あるの?犯人捕まえちゃえばいいんじゃないの?」


「犯人を捕まえるのは警察の仕事だ、俺は無実を証明できて、俺をはめたやつをぶちのめせればそれでいい」


警察が追っているのはあくまで実行犯だ、だが今回の事件の実行犯がそのまま静希を陥れた相手かと聞かれると、まだわからない


少なくとも静希の予想では実行犯と静希をはめた人間はまた別人であると考えている


静希の家に侵入した空き巣のように、恐らくは誰かしらに雇われた人間であると考えている、もっともそれを証明するようなものはなく、完全な静希の予想、所謂勘というやつだ


「なんでもいいけど、ちょっと退屈よ?そろそろ出番が欲しいかなって思うんだけど」


泡がつくことも厭わずに抱き付くメフィに苦笑しながら、静希は軽くその額にデコピンを打ち込む、その表情はわずかに邪笑にも似ていた


「安心しろ、きっちりとおまえが活躍できる場は用意してやる、少なくとも何もやることが無いってことはないから」


「そう?ならいいわ、期待してる」


メフィが妖艶な笑みを浮かべると同時に静希は笑みを収めて体中についた泡をシャワーで流し落す、今日からの行動が最も危険で重要になるだろう、なにせ相手は警察官だ


しかも静希に対して行動をとったという事はそれなりに静希のことを知っていて然るべきである、もし悪魔のことなどを知っていて、それに対しての対策も練っていたとなると面倒なことになりかねない


幸い静希が悪魔以外にも神格や霊装、そして奇形種の使い魔がいるということを知っているのは本当にごく一部の人間のみ、その対策まではできていないだろう


万が一戦闘になった時は人外たちを全員展開してでも生き残ることを最優先にするべきだと静希は以前の教訓で学んでいた


相手が国家機関である以上、変に手を抜いたらそれこそ踏みつぶされかねない、今静希ができる最善を尽くしておく必要がある


手は抜けない


自分の頭の中でありとあらゆる状況を想定しながら、静希は体を洗い終えメフィをトランプの中に入れてから風呂から出ることにした


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