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J/53  作者: 池金啓太
十七話「追い追われる先に」
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悪魔の興味

「電話終わったぁ?」


「お疲れ様、静希君」


静希の通話が終わったことで部屋に入り浸っている明利と雪奈が部屋から顔をのぞかせていた


険悪なままだった表情を和らげ、部屋からリビングへ戻るといつものように人外たちがその場でくつろいでいた


そしてその中でメフィはゲームのコントローラーを持ったまま空中をクルクルと回り続けている


画面には彼女のキャラクターが倒れ伏せているのが映されていた


最近になってメフィの興味がテレビのニュースやバラエティから離れ、静希が所有しているゲームにはまり始めたのだ


その相手として雪奈や明利は格好の相手だったようだ


「なんだメフィ、また勝てなかったのか?」


「仕方ないでしょ・・・私は初心者なのよ?二人とも容赦なさすぎよ・・・!」


どうやら負けて悔しいらしく髪を振り乱しながらコントローラーをいじっている


明利や雪奈が静希の家にいることが多くなってから、何か三人でできることはないかと考えた時に遊んでいたゲームにメフィが興味を示したのが発端だった


長年生きていようとも、ここ最近に生まれた技術であるゲームに悪魔であるメフィがふれたことがあるはずがなく、当然のように三人全員にぼっこぼこにされる始末だった


そんなにゲームが上手くない明利にもやられ、相当悔しいのかトレーニングなどを何度も重ねてもどうにもうまくならないようだった


「なんていうかさ、やりたいことと指の動きが連動しないみたいなんだよね、細かい動きが苦手みたい」


「あー・・・確かにお前細かいこととか苦手だもんな」


メフィはその能力もそうだが、細部にわたる物事が苦手でもある


彼女の能力は再現、何かしら誰かしらの能力を精度などを下げた状態で再現できる、ただ細かい制御自体が難しいために普段は球状にして放つだけという至極簡単な基本動作しかしない


物事を解決することに関しても、大体は破壊してしまえば問題ないという大雑把な思考回路をしているため、こういった細やかな作業の連続であるゲームなどは向かないのかもしれない


「なめないでよね?こんな人間が作ったお遊びなんてすぐに身に着けてやるんだから!」


「ムキになっちゃって、コントローラー壊すなよ?」


メフィの力は強い、能力を発動した状態の陽太と容易に張り合えるだけの膂力を持っているため、彼女が全力で握ったらプラスチック製のコントローラなど簡単に粉砕することだろう


再び雪奈と明利がコントローラーを握り相手になるべくキャラクターを選んでいく


今やっているのは複数人数でもできるシューティングゲームだ


戦闘機や戦車、白兵戦用の兵装を選択してフィールドで戦うモードで遊んでいる


メフィはオーソドックスな主人公、明利は足が遅い代わりに戦車の機動力の上がるエンジニア、雪奈はヒットポイントが低い代わりに戦闘機での機動力や旋回性能の上がるエースパイロットを選択しているようだった


三人の挙動を見てみると明利は白兵戦兵装の中でも地雷や手榴弾と言った爆発系の道具を多用しながら戦車をめざしている


雪奈はとにかく戦闘機へと一直線に向かい、敵に遭遇したら弾幕を張って牽制、いち早く空へと逃げて安全圏から射撃している


問題のメフィはというと最低限の移動方法は理解したのか、あちらこちらへと移動しているのだが、アイテムを拾おうとしたところで銃を乱射したり、銃を撃つような場面でなぜかジャンプしたりと、まだ行動と指の動きをつなげられていないようだった


完璧な素人の挙動に不意に笑うと、メフィがじろりとこっちを睨んでいる


「なによ・・・笑うならシズキもやってみなさいよ!この二人強いんだから!」


「・・・ほほう、いいのか?」


静希が笑みを浮かべながらもう一つコントローラーを出してさっさとキャラ選択してから再戦する


静希が選んだのは戦闘機や戦車の性能は下がるが白兵戦での移動速度と命中補正の上がる白兵戦用のキャラだ


フィールドの中で縦横無尽に走りながら静希はとりあえず高い位置を陣取り適当に手榴弾をばらまきながら牽制、そしてスナイパーライフルとアサルトライフルで目標をおびき出して仕留めるという非常にシンプルな戦いを繰り広げた


普段からこの手口を知っている明利と雪奈はほとんど引っかからなかったが、初見のメフィは何が何だかわからないうちに静希にあっさり倒されてしまう


そして残った二人もその数十秒後に静希に倒されていた


「これは俺のゲームだぞ?やりこんでないわけないだろ?」


「ぐぬぬ・・・!他には!?他にはなんかないの?私でもできるようなの!」


さすがにまったく勝てないのではつまらないのだろうか、それともあとでこっそり練習するつもりか、メフィはとりあえずこのゲームは切り上げたいようだった


「じゃあたまには金鉄でもやるか、これならルール覚えれば誰でもできる」


金鉄とは金太郎電鉄の略称で、日本全国、あるいは海外で物件などを購入していって日本を、ひいては自分の会社を発展させていくボードゲームだ


個人のプレイスキルも重要だが、最も大事なのは運


しかも友情をあっさりと崩壊させることもできるゲームである


明利も雪奈もこのゲームは嫌いではないのか、同意し、明利は静希の足の間に、雪奈は静希の足を枕にし、メフィは空中に浮きながら四人でゲームをプレイすることになった


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