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J/53  作者: 池金啓太
十六話「示した道と差し出された手」
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再び変装と偽設定

「・・・やるとは言ったけどさ・・・これは何なのよ・・・」


城島の許可も下りたところで静希達はすぐに対策を講じていた会議室に戻り、巫女の体調に関して調査しに行くということを報告すると、絶対に勘付かれないようにすることを条件に許可が下りた


実際に証拠も掴んできたことである程度信用が得られたのか、静希達の行動を封殺するということはなさそうだった


そして許可が下りてからすぐに静希は二人の変装に取り掛かった


明利は昨日よりも幼い顔立ちに、そして鏡花は少し老けた顔立ちにした


「なんなのって、お母さんと子どもをイメージしたんだが?」


「・・・結婚どころか彼氏すらいないのに一児の母かぁ・・・」


「よ、よろしくね?お、お母さん・・・?」


明利がそんなことを言うものだからさらに複雑な表情をしながら鏡花は項垂れてしまう


なんという幸薄いというか苦労していそうな顔色になってしまっている、この表情にしたのは正解だったなと静希は自分の仕事に満足そうにしていた


「今回は俺らはいいのか?」


「あぁ、俺らはバス停近くで待機だ、鏡花、一応携帯を通話状態にしておけよ、もし問題が起こったら悲鳴でもなんでも上げろ、助けに行くから」


「そんなことが起きないことを望むわよ、能力は使用禁止なんでしょ?」


明利以外はなと付け足して静希は軽く笑う


前回自分と明利が接触してしまったせいで今回自分が行動できないのはもどかしいがこれもまた致し方ない


相手に接触できるチャンスは少ない、有効に使うためには相手に違和感を与えてはいけないのだ


「少なくとも怪我はしないといけないわよね?どこにするの?」


「んと、もし触るなら手とかの方がいいな、そのほうがマーキングはしやすいし」


ここは明利の感覚次第なのだが、彼女は手のひらからよくマーキングなどを行うために、手を触れさせるほうが良いようだ


人によるが、能力にも発動しやすい個所だったり、発動のための所作のようなものが存在する


特に意味のないジンクスのようなものから、自己暗示に近いものまで様々であるが、それはこの班の人間にも言えることだ


例えば明利などは能力を発動する際によく手を祈るような形にすることが多い、鏡花は変換対象に手をつけたり、足を地面に叩き付けたりする


静希も指を鳴らしたりして発動と体の行動を一致させていることがある


特定の行動と自分の能力を使う感覚を結びつけることで発動をより容易にしているのだ


明利の場合、マーキングを施す際には手のひらで直に触れたほうが効率が良いのだろう


「手のひらかぁ、ちょっと痛いだろうけど、平気?」


「う、うん、我慢するよ」


手のひらは神経が密集しているために非常に触覚が優れている反面、痛覚が鋭くなっている、傷をつけて触れさせることで相手にマーキングすることが目的とはいえわざわざ傷を作らなければいけないのだから難儀なものだ


「子供の演技だったら泣きまねとかしなきゃな、子供っぽい泣き方ってどんなんだったっけ?」


「そもそも泣いたら化粧が落ちるだろうが、泣きそうな顔しておけばいいんだよ・・・問題はどんな傷をつけるかだ」


傷を作るのは明利も同意の上だし仕方のないことでもあるのだが、静希のいう通り問題はどの程度の傷をつけるかだ


ナイフなどでつければ明らかに人為的なものであるとわかってしまう


とはいえあまりに小さい傷だとこのくらい放っておいても平気だとか言われかねない


うまい具合に転んで手をすりむけばよいのだが、雑菌などが入って体調を崩されても面倒なことになる


「それについては私に任せて、自然な傷を演出してあげるから」


「ほう?何か考えがあるようだな」


静希の言葉に鏡花はふふんと胸を張りながら誇らしげにしている


思えば鏡花が変換して作るものは攻撃的なものが多い、彼女の性格ゆえか、それともただ単に能力を割り切って使っているのか


どちらにしろ任せろと言うのであればそうするのも吝かではない


「それじゃあそろそろ移動するか・・・ってバス出たばっかだな・・・仕方ない、飯でも食って時間潰すか」


「田舎だからな、しょうがねえって」


「こういう雰囲気も悪くないと思うけどなぁ」


「私はもう少し活気があるほうがいいわ、お店少なすぎるもの」


行動時間とその方法が限られているために非常に面倒ではあるが地方によっては仕方のないことでもある


都合よく昼を少し過ぎたあたりの時間のためついでに昼食をとることにする

と言っても近くに昼食をとる場所など限られている、蕎麦屋かファミレスかコンビニ程度のものだ


静希達はとりあえずファミレスに入って時間を潰すことにした


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