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J/53  作者: 池金啓太
十六話「示した道と差し出された手」
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明利の提案

「お前達としてはどうなんだ?この後どう行動するつもりなんだ?」


城島の言葉に静希達は互いに顔を見合わせる


どう行動するつもりか


と言われても証拠の確保はすでにした、後は捕まえるだけという気もする


住民の犯罪行為を止めることもできるだろうが、根本の解決ができなければやっても意味はない


静希達が悩んでいる中、明利がおずおずと手を上げる


自分の意見を城島に対していう事がほとんどなかった明利なのに、本当に今日は一体どうしたのだろうかと心配になるほどだ


「幹原か・・・言ってみろ」


「あ・・・あの、その・・・あの巫女の人だけでも、すぐに病院に入れるべき・・・です」


それは先程明利が言っていたことでもある、静希の話を聞いて明らかにその症状が薬物の副作用であることが分かったのだろう


聞いてわかるレベルにまで副作用の兆候が出ているとなるとかなり重度の中毒症状であると判断したのだ


「ふむ・・・だがその場合神父も一緒に逮捕ということになるな」


「だ、だったら逮捕した後で事情聴取で繋がりを掴めば・・・」


「難しいな、神父とかかわっているのがあくまで尻尾か、あるいはただの『つなぎ』の第三者である可能性だってある、そこから確実にすべてを逮捕するには直接神父と関わっている者の行く先を確認しなくては」


静希達はあくまで物事の一端を見たに過ぎない、その先に何があるのかは当の本人たちでも把握できていないかもしれないのだ


もし神父が薬を渡すのがただの仲介人だった場合、その先を掴むのはかなり難しくなるだろう


「で、でも・・・もし中毒症状が出てるなら体はボロボロのはずです・・・少しでも早く治療しないと・・・」


明利がここまで食い下がるのは珍しい、さすがに重症者がいるのがわかっていながら放置しておくというのは、彼女の性格的に考えても無理なのだろう

無論静希達も同じ思いだ、可能ならあの巫女だけでも保護しておきたい


静希と鏡花が大まかではあるものの状況を伝えているおかげで、主犯が神父、そして被害者、あるいは強制的に協力させられているのがあの巫女という認識だった


あんなまともな服もない、そしてまともな食事もとっていないだろう体を見てしまったら、そう思えるのも無理もないのだ


「幹原の言い分は理解できる、だがそう簡単な話じゃない、特に薬物なんてものが関わっていればなおさらな」


薬物というのは良くも悪くも簡単に作れてしまう


法で規制したところで、求める者はいくらでもいるし、供給する者もまた然り


末端を一つ一つつぶしたところで切りがないのだ


末端からたどって本体を潰さないとまた増えて際限なく被害が増える


警察もそれはわかっている、それと同時に町からそういったものを追い出したいという思いもある、だからこそ意見が分かれてしまっているのだ


「・・・一度確認しに行くのもありかもな・・・」


「確認・・・?」


静希の言葉に全員が首をかしげる


何を確認しに行くのかというものなのだが、城島はその内容を理解しているようだった


「だがその確認をして何の意味がある?ただ体が蝕まれているということが明確にわかるだけ、むしろ辛くなるかもしれないぞ?」


城島の言葉で、ようやくその場にいた全員が理解する、巫女が薬物中毒になっているかどうかを確認するという話であるということを


「まぁ、そうなんですけど、確証が得られるじゃないですか、俺らが撮影したのはあくまで原材料の植物とそれっぽい白い粉だけ、完全に薬物を使用しているっていう確証が得られれば向こうも少しはやる気出すかな・・・と思って」


静希のいう通り、撮影した物体だけではそれがいったい何なのかまではわからない


もしこれで薬物を身内に使っているということの確証が得られれば、万が一の考えとして近隣住民にもそれを使い出すかもわからない


あの町であのアラト教を信仰している人間はかなりいると聞く、そんな状態で薬物を無差別にばらまけば未曽有の事態となるだろう


万が一とはいえ町一つと、規模も分からない薬物の売買先、それを天秤にかけた時に即決で町を犠牲にできるような人間はいない


「・・・なるほど、だが少なくともそれを調べるためには幹原が接触しなくてはならないことになるが・・・」


「また変装するんですけど・・・今度は鏡花と明利に行ってもらいましょう、明利はあの時神父相手には声を出してませんでしたから接触しても気づかれることはないと思いますけど・・・」


服装と顔を変えてしまえばあとは何とでもなる、参拝者をいちいち確認して警戒しているような人間ならば注意が必要かもしれないが、能力を見ず知らずの人間に公開するなどと言う行動を行っている人間がそこまで警戒しているとは思えない


特にあの時、巫女は傷を癒す際に直接男性の肌に触れていた


接触の機会があるならば明利がマーキングをするだけの時間は十分ある


「何もやることが無いよりはずっといいわね、私はやってもいいわよ」


「わ、私もやる、できることはしたいし・・・」


鏡花も明利も乗り気のようだ、何もやることが無くダラダラしているよりはずっと有意義だ


これで解決が早くなるならなおさらである


「・・・わかったわかった、やりたいならやれ、だが警察の行動をぶち壊すようなことはするなよ?向こうにも一応報告しておくことだ」


城島の言葉に静希達はやる気を込めながら準備を始めた


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