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J/53  作者: 池金啓太
十六話「示した道と差し出された手」
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姉弟たちの成果

史桐の言葉に静希は絶句していた


正直、どう反応したものか困っていたのだ


今静希達は無能力者という体で動いている、こんな時、こんな状況を見せられて無能力者がどのような反応をするのか考えていたのだ


無能力者だって能力のことくらい知っている、だがどんな能力があってどんな効果があるのかまでを知っているものは少ない


それこそ能力者を魔法使いか何かと勘違いしている人間だっている


人の集まる都会ですらそんな認識なのだ、もし人の集まらないこんな過疎地であれば、能力を神の力と誤認してしまうのも無理もないかもしれない


無能力者は能力学を学ばない、その隔たりともいえる教育がこのような状態を作っていると言っても過言ではないだろう


人外に伺いを立てるまでもない、静希の私見でもあれは明らかに能力だ


「・・・まぁ信じられないのも無理はない、だがこれこそ神の御力なのだよ」


どうしたものかと悩んでいるその時間を、ただ単に驚いて反応できないと受け取ったのだろう、史桐は笑みを浮かべながらゆっくりこちらに歩いてくる


「こちらに引っ越してくるのであれば、ぜひアラト教への入信を勧めるよ、お父上にもそう伝えるといい」


ここで結論を出す必要などはないという事なのか、史桐は軽く静希の肩に触れながら笑って見せる


「・・・そうですね、すごいものを見ました・・・あの・・・教本とか聖書とかはないんですか?」


「・・・すまないが配布しているようなものはないんだ、何分マイナーだからね」


聖書などがあればその教えの内容を確認できたのだが、少なくとも配布するようなものはないらしい


確認できなかったのは残念だが、少なくとも能力のうちの一つは確認できた

今回はそれで十分だろう


「それじゃあ今日はこれで、他にもいろいろ見てみたいですし」


「そうかい、いつでも来るといい、神は君のことをお待ちしていらっしゃる」


そうですかと言って笑みを浮かべて静希は明利の手を取って教会から出て行く


教会の外に出てから振り返ってその外観をもう一度よく見ておくことにする


その中でいくつか気づいたことがある


とりあえずこの建物は本来二階建てのようだ


と言っても二階部分はもうすでに無い、教会のために二階分ぶち抜いている構造のようだった


その奥にある居住スペースがどうなっているかまでは静希には把握できないが後で明利に詳しく確認してもらうことにする


「お兄ちゃん、あれって・・・」


「そうだな・・・二人と合流したら詳しく話してやろう」


未だ兄妹設定を忘れずに演技している二人は手をつなぎながら教会から少しずつ距離をとる


ただ中に入っただけで十分な情報は手に入った


だが同時に今回のこれが少々厄介な部類に入ることも理解できた


これ以上は自分たちだけではなくもう一人の班のブレインの意見も聞くべきだ


町で聞き込みをしている陽太たちと同じように静希達も教会周囲の建物などで軽く世間話をしながら情報を集め、予定した時間に再び集まっていた


互いに変装しているせいで少し合流に手間取ったが、特に問題なく帰りのバスに乗り込む


時刻はすでに十六時を過ぎ、あたりは暗くなり始めていた


「で、どうだった?いい話は聞けた?」


「あぁ聞けたよ姉さん、聞くだけじゃなくて見ることもできた」


バスに乗り込みながらそういうと、鏡花はへぇと呟いて薄く笑う


今日こうして実際に町に出向いたのは情報収集がメインだ


その中で静希の手に入れた情報はかなり多い


鏡花たちも同じように情報を仕入れてきているが、これは警察署に戻ってから話すのが最適だろう


「そっちはどうだった?頼りになるお兄さんは役に立ったか?」


「えぇそうね、とっても頼りになる兄さんだったわ、ちょっと抜けてるところがあるけど、おおむね良好よ」


そりゃよかったと、静希は自分が指示したこの組み合わせが間違っていなかったことに安堵していた


陽太は良くも悪くもバカだ


それは初対面の人間にも見て取れるほどで、特に何も考えていないが故に裏表のない性格であるということがうかがえる


それはつまり警戒する必要がないということでもある


頭が良く、それでいてフォローのできるだけの人間と組ませると聞き込みなどの人とかかわるような状況では非常に有効に働くのだ


「よかったな兄さん、姉さんの役に立てて」


「ふふん、俺だってたまには役に立つんだよ」


自身がどんな形で役に立ったかなどと陽太は理解していないだろう


何せ陽太は特に何も考えずに普通に近隣の人たちと世間話をしていただけ、時折鏡花が聞きたいことを聞いたりフォローして情報を手に入れていたのだ


この二人はやはりうまく噛み合えばかなり良いコンビになるなと思いながら静希は頭の中で手に入れた情報を軽く整理し始めていた


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