昭和の遺産「円形校舎」次世代へ 扇形の教室、フィギュアの聖地にも
1950年代から60年代前半にかけて全国の学校で建てられた「円形校舎」。円筒形のモダンな建物の多くはすでに取り壊されたが、地域のシンボルとして未来につなごうとする人たちがいる。
ブームが起きるも急速に下火に
姿を消しゆく円形校舎を守る機運を高めたい――。そんな思いを共有する各地の市民が8月、北海道室蘭市の旧絵鞆(えとも)小学校でシンポジウムを開いた。オンラインを含めて約50人が参加した。
会合では建築史家の川島智生(ともお)さん(67)が、円形校舎の生みの親とされる建築家・坂本鹿名夫(かなお)(1911~87)に関する研究成果を発表。坂本が設計した校舎の特徴として「外観は全面ガラス張りで、建物中央にらせん階段と円形の廊下があり、外側に扇形の教室が配されている」と説明した。
昭和30年代にブームとなった背景にも触れた。「廊下が短くて壁の面積が少ないので、鉄筋コンクリート造りなのに木造並みのローコストで造れた」とし、教室の面積を多く確保できることは「児童の急増期には魅力的だった」と評した。
川島さんによると、円形校舎は54年に完成した金沢市の私立金城(現・遊学館)高校を皮切りに、他の建築家のものも含めて全国で100校以上建てられた。だが、58年に施行された公立学校施設費の国庫負担に関する法律で補助対象とならなかったことなどから、急速に造られなくなった。すでに多くが解体され、坂本による校舎で現存しているのは全国で17棟に過ぎないという。
川島さんは「誕生から70年が経ち、建築史の世界では研究対象になり、文化財にもなっている」と価値の高まりに触れ、「70年前を生きた人たちの生々しい記憶がある今が(保存活動を)盛り上げられる最後だ」と訴えた。
各地で保存の動き CF活用も
円形校舎を次の世代につなぐ…
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